今から約30年近く前、「生産緑地」という制度ができました。
一般に農地の固定資産税(都市計画税を含む)は、宅地に比べて非常に低く設定されています。
しかし市街化が形成されている地域においては農地も宅地並みに課税されるため、今後30年間営農の継続を条件に、一定の市街化区域内農地を生産緑地として指定し、農地として評価課税してきました。
そして、来年30年を迎えます。
国は生産緑地法を改正し、「特定生産緑地」を制定して、今後10年更新で生産緑地と農地並み課税を維持するものです。
この特定生産緑地とするには、所有者の選択と行政の判断によるところとなります。
全てが特定生産緑地となるわけではありません。
そしてここで特定生産緑地としない場合、二度と生産緑地に戻ることはできません。
その選択の期限が迫っています。
平成4年に生産緑地に指定された土地の場合、来年の令和4年に30年となります。
それぞれの市区町村で異なりますが、その最後の選択の期限は、今年の9月や10月頃となっているところが目につきます。
部分的に特定生産緑地とする場合には測量が必要ですし、利害関係人がいる場合にはその同意が必要ですので、その期限には注意が必要です。
では、生産緑地(農地)と宅地とで、固定資産税はどのくらい違うのでしょうか。
東京都のある自治体(都下の市部)が参考例を挙げていました。
■例えばその市役所の敷地の一部が500㎡の生産緑地だった場合の固定資産税等(都市計画税含む)
833円 安!500㎡ですよ…
■同敷地が宅地(駐車場などの更地)の場合
645,348円! なんと775倍!
もちろん急激な負担増を避けるため、5年間の段階的緩和措置があります。
しかしそれでも翌年は395,832円に急騰します。
これが地価の高い世田谷区や練馬区などの23区であったら一体いくらになるのか。
恐ろしい話です。
しかし本稿は特定生産緑地の申請をしなければいけませんよ、という話ではありません。
現在生産緑地で営農されている方にもそれぞれご事情があると思います。
特定生産緑地とした場合、少なくとも10年間は営農を継続する必要があります。
後継者、生産性(収益性)、相続。。。様々なご事情を考慮して検討すべきことです。
既に2年ほど前から自治体からも案内があったり説明会があったりしていますので、早々にご判断をされている方もいらっしゃると思います。
特定生産緑地としなかった場合は、自治体に買取の申し出をすることができます。
(必ず買い取ってくれるとは限りません)
まだ特定生産緑地選択の申請をしていない方は、営農の継続、売却現金化、土地有効利用、一部営農等、様々なケースを想定し、早急なご検討が必要かと思います。
バックアップでは、そのような土地所有者さんのご相談を承っております。