10月鑑賞映画まとめ | 三つ子の魂百まで…トラウマニア

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『13日の金曜日PART6/ジェイソンは生きていた!』(1986年/アメリカ)

ジェイソンを滅多斬りにし、地獄に葬ったトミーが大人になった。トラウマを克服するため、墓を掘り返したら1.21ジゴワットな稲妻がミイラ化したジェイソンの遺体に直撃!パート6から無敵の殺人鬼になったホッケーマスクのオッサンが多種多様な殺めテクで楽しませてくれます。

余所者をどうしても受け入れない頑固な保安官と、レーザー照準器付きピストルを使いたくてウズウズしてる助手という凸凹コンビが良い味だしてるんですよね!素手で首をねじ曲げたり、潰したりと今作は力業でゴリゴリとキャンパーを抹殺していくジェイソン先生。中の人(C.J.グラハム)は歴代ジェイソン・アクターの中でもかなりのイケメン。

保安官のじゃじゃ馬娘メーガンの屈託無い行動に心惹かれます。サバゲーのくだりとか、コミカルに描いているけど実際は相当エグい(笑)四肢切断に斬首…ペイント弾が命中し一瞬怯むジェイソンは演技力に長けてるなあ~♪

主題歌「He`s Back」をハードロックの始祖アリス・クーパーが手掛けていて、ものすごいカッコイイ!歌詞は「ヤツが帰ってきた!マスクの男がやってくる。」と思いっきり死亡フラグバリ立ちにも関わらず、呑気に飯の支度をするカウンセラーの車から曲がジャカジャカ流れてくるんだから笑うしかない。

まぁ結局幼い頃に溺死したボーヒーズさんですけど、帰巣本能があってクリスタルウォーター水の中が一番落ち着くみたい。鎖ぐらい外せるでしょ!ってな突っこみは無しにしても、バタリアンのフレディでお馴染みなトム・マシューズの起用はナイスでした。007のオマージュなオープニング場面。ジェイソンがスーパー殺人ヒーローになる記念碑的な1本。ジェイソンは子供を殺さない、子供は見るだけ。だってお友達なんだもん(*^▽^*)

【2017年10月12日(木)】1991年8月22日(木)放送 木曜洋画劇場の録画ビデオで鑑賞 ※初見は88年頃のビデオリリース時にレンタルビデオで

⚫トム・マシューズ(トミー):池田秀一
⚫ジェニファー・クック(メーガン):高島雅羅
⚫デビッド・ケーガン(保安官):樋浦 勉

 

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『アナベル 死霊人形の誕生』(2017年/アメリカ)

(※注意)ネタバレしています。


アナベル人形の表情に愛嬌があって怖くないのがかえって薄気味悪さ倍増。人形を活かすも殺すも孤児院の子供たち。封印を解き、好奇心旺盛なリンダは大胆な行動に出る。白い布がフワリと立ち上がり…。『ハロウィン』のオマージュである。我が子を失った悲しみから救いの手を求める為、悪魔と取り引きをしてしまった夫妻。人形に命を吹き込む職人が悪魔の母体を作ってしまうなんてこれほど救いようのない話はないのではないか。

夫妻はシスターと孤児たちを招き入れる。心の弱さ、理性を失った者に憑り付くのが「悪魔」。信仰心は全く役に立たず、いとも簡単に肉体が悲鳴を上げて崩れ落ちる。静寂さの中に、時折零れる明かりが子供達を優しく包み込む。照明効果が抜群に良いのも本シリーズの魅力。足の不自由なジャニスは病魔に打ち勝たないと(それを受け入れなければ)黒い影に脅かされてしまうという子供にとってあまりに残酷かつ大きな試練が待ち受けているというのも素晴らしい描き方だった。

全編に渡って飛び上がり、手に汗握るショック場面が多いのだけれど、一番心臓に来たのは肩ポンでしたわ(汗)子供たちが引っ越してくる最初のシーンで流れる"ザ・ハリウッド・フレイムズ"が1957年に発表した(劇中はカバーヴァージョン)R&B"Buzz Buzz Buzz"の選曲が良かったねー!アナベル(通称ビー ※蜂)、歌詞「ハチの羽音はブンブンブン、鳥のさえずりチュチュチュ…」まるでビーが獲物を歓迎するかのような歌に聞こえるじゃないですか。

納屋の案山子は13金2のズタ袋ジェイソンだし、階段下の物置はシックスセンスを思わせる。極めつけにJホラーのアレが出て来てホラー映画ファンの頬をユルユルにしてから完全憑依されたジャニスの猛攻撃が始まる怒濤のクライマックス!もう少し話を削っても良かったと思うけど、相も変わらず美術が素晴らしい。リンダがアナベル人形に命中させるレトロな紐付きボール銃。木製グリップにリールが取り付けてある。どう考えても子供のおもちゃにしては高価そうでしたよね。これもスタッフが丹精込めて製作したんだろうなあ(笑)自ら暗がりに歩んでいくシーンで「やめろ!」と叫びたくなるけど、あれは闇の方から引っ張られているんだろうね。

そして過去作と繋がる『バック・トゥ・ザ・フューチャー』的な伏線の張り巡らせ方も実に見事。まさかああなるとは…。現時点では時代設定が一番古いので、本作から見始めても全然違和感ありません。悪魔本体が丸見えになるのがあまりに露骨すぎて『アナベル 死霊館の人形』の時にガッカリしたんだけど、もうちょっとボンヤリさせてもいいと思うw

【2017年10月14日(土)】新宿ピカデリーで鑑賞

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『悪魔の起源-ジン-』

 (2013年/アラブ首長国連邦)

 

突然驚かせるショック演出が多すぎて見終わった後、とてつもない疲労感に襲われます!窓に鳥が体当りしたり、不気味な手が車をバンバン叩きまくる。なかなかに陰湿な悪魔だ!砂漠のド真ん中にポツンと建つマンションに越してきた夫婦が怪現象に悩まされる。トビー・フーパー監督のフェチズム全開!こだわりは住居を舞台にした恐怖。「悪魔の沼」では床下から少女の叫び声が聞こえてきたり「ポルターガイスト」は家フェチの集大成とも言えるスケールの大きなオカルト。そう、フーパー監督は幽霊映画も得意なんですよね!通風口を覗き込むシーンは緊張したなー。不意に人がバタバタ死んでいくのはやはり楽しい!

ヒロインがとても美しく眼福。やや単調なイメージがするけれど、アラブ首長国連邦で製作されただけあり、異国情緒溢れるオカルトホラーに纏め上げているのはフレッキシブル思考のフーパーらしい作品と言える。

本作を最期に他界したトビー・フーパー監督。型にはまらない自由な発想と、悪夢を具現化する達人、人知を越えた伝説の映像作家として、彼のザラ付き異形な混沌とした世界観はこれからも映画ファンを魅了していくことでしょう。ありがとうフーパーさん!安らかに。


【2017年10月14日(土)】
池袋・新文芸坐オールナイト上映「鳴りやむなチェーンソー!トビー・フーパーよ永遠に」で観賞

 

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    『エイリアン:コヴェナント』

            (2017年/アメリカ)

 

(※注意)ネタバレしています。

1作目の完全セルフパロディに徹し、アンドロイド(マイケル・ファスベンダー)のストーリーを主軸にしたリドリー・スコット監督が強い関心を抱く人造人間の知られざる可能性と謎と恐怖を描いている。

1作目同様クレジットに象形文字を採用したり、ジェリー・ゴールドスミスの音楽を全編に渡って流し続けるなど、オリジンへの印象が相当強く、まるでデジャヴのような世界観が広がっているのは熱心なエイリアンファンには大変胸躍る演出の数々でした。微粒子から媒介し体内に侵入したエイリアンの卵が急速に成長し、定石である「胸」ではなく、背中を食い破って誕生するシーンには意表を突かれました。これ正にスパイナルクラッカー(笑)

エンジニアが人類の創造主なら、アンドロイドは人間が造り上げた分身。ほぼクローンと言って良いほどの高機能を備え、人間の残酷な部分までも継承するとなると、リドリー・スコットが『ブレードランナー』で描いたレプリカントとの対立を想起させ、長らくSF映画のテーマになってきた人類対ロボットの戦争ヘとリンクする辺りに人間の愚かさや傲慢さが全人類を滅亡させる悲劇に繋がるという流れが絶望的で目を瞑りたくなる。神(エンジニア)が人類の暴走を食い止めようと作り出したのがエイリアンだと解釈したのだが、神が生み出した人間のクローンが神を滅亡させるという自然界の掟を根底から覆す設定に打ちのめされる…。

ここまで展開させればエイリアンは刺身のつま程度の存在で構わない訳で、エイリアンの脅威が薄っぺらくなってしまったのも致し方ないのかも。とはいえ、長年描き続けて来た「純粋で、道徳心の欠片もなく、繁殖するためだけに生まれて来た完全生物」のエイリアンが平坦だし、生理的嫌悪感がまるで感じられないVFXで片付けられてしまっているのには正直落胆の色を隠せませんでした。バリエーションが豊富でもあの動きと質感はエイリアンじゃない。むしろ幼虫の方がレベル的に上だと思うし、エッグチェンバーが開口するシーンやフェイスハガーの生々しさ、この辺りは創造主リドリー・スコット監督の本領が発揮されていて嬉しかったですね。

クルーたちが皆若々しいのも本作の特徴でしょうか。とりわけ女性陣が美形揃いなのもシリーズ随一と言って良いかも。個人的に最初の方で退場してしまうファリス操縦士がとても魅力的に映りました。ノストロモ号は貨物船だけど、それよりも20数年前の出来事なのに宇宙船のシステムとかデザインに格差があり過ぎて時代設定が良く分からないのも頭を抱えたくなるひとつだったかも。。さり気なく水飲み鳥が置かれていたのにはニヤリとさせられました。

第一作のオマージュで語るならば、シャワー中に襲撃される男女はパーカーとランバートが死ぬシークエンスと同じシチュエーションだし、母船を「マザー」と呼称するのも「おふくろさん」と呼ぶノストロモ号の乗組員と同じですね。不慮の事故で焼死したコヴェナントクルーの遺体を繭のように包み船外へ放出する場面はケインが死んだ後の葬儀シーンと全く同じです(遺体が回転しなかったけれどw) 宇宙船切り離し時にモニタに表示される「PURGE」もしっかり再現していましたし。

酸性血液を浴びてただれた顔面に貼る未来版キズパワーパッドみたいな絆創膏が面白かった。あと、ホラー映画ではお約束なんだけど、床の血で滑りまくるシーンも楽しい!まぁ、何を差し置いてもファスファス劇場だったって事ですかね…。完璧なものほど詰まらないものはない。人間には欠点がないとね。。

        【2017年10月20日(金)】

       シネプレックス平塚で鑑賞

 

 

 

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    『ブレードランナー2049』

           (2017年/アメリカ)

 

荒廃しきった希望のない近未来を描いたオリジナルよりも、ネオンカラーに染まるL.A.の街並みと現実的なハイテクノロジーをフルに活かした世界観はオルタネイト・ブレードランナーと呼ぶに相応しく、絵画を見ているような大変美しいヴィジュアルに圧倒されました。

ライアン・ゴズリング扮する捜査官Kとホログラフの彼女ジョイが醸し出す色気。まさに『ドライヴ』で見せた色使いじゃないですか。アナ・デ・アルマスはとってもキュートだけど、可愛すぎるんだよねえ。(完璧すぎてニガテかも…)ヴィルヌーヴ監督が得意とするダイナミックな俯瞰撮影の数々。窮屈なスペースでの大バトルシーン。正直言って大したストーリーじゃなく尺も長すぎるのだけど、画でぐいぐい引っ張りまくるから163分が全く飽きない。むしろこの夢から覚めないでほしいと感じる心地良さ。それが正式な続編『ブレードランナー2049』。

違和感を覚えないのは随所にローテクなSFX技術を駆使しているからでしょう。やはり手で触れられる「本物」に勝る映画はありません。レプリカントが人間社会に溶け込み、生身の人間より人間らしく生活しているのも素晴らしい発想でした。日々、労働に従事するデイヴ・バウティスタ。あれ工員にしか見えないですよ(笑)女アサシンの如く、一切の無駄を省いた完全なる殺人レプリ"ラヴ"を演じたシルビア・フークスのクールビューティさも見所の一つ。人造人間なのに自己主張は控えめ。ここがリドリー・スコット版と大きく異なる点だと思います。

壁ボン!や1時間45分を過ぎた辺りからやっとこ登場するハリソン・フォードいつものガニ股ダッシュも健在(爆)老けたけれど紛れもないリック・デッカードでしたよね。それにブラスターガンが全く色褪せない!もう、ホント惚れ惚れする!!ヴァンゲリスの"Tears In Rain"をハンス・ジマーがカバー。この曲が流れる度に「雨の中の涙のように…」の名台詞が頭の中を駆け巡ります。

雨と雪の質感。特にキャラを窓越しから切り取ったショットは窓ガラスに激しく叩きつける雨との遠近感がとても効果的。IMAXの3Dで見ましたが、これまでで一番最高のIMAX体験でした。映倫区分はPG-12でしたが、レプリカントのヘアが無修正で良かった。あそこで修正加えてたら作品が台無し。首チョップで吐血死する男にはビビる!デッカードの愛犬がウイスキー舐めるシークエンスが良かったね~♪エンドロールであの曲ね。咽び泣くよね。ドゥニ・ヴィルヌーヴは昔気質の者を満足させてくれる新進気鋭の監督。寡黙なゴズリンは相変わらず顔で喋って口説いてくるなあ~。ポリススピナーに乗ってみたい(逮捕されてもいいからw) "Skin Job!"←ハイ逮捕!w

        【2017年10月27日(金)】
        109シネマズ湘南で鑑賞
       IMAXシアターにて(3D上映)

           ※公開初日

 

 

 

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   『ハロウィンⅡ/ブギーマン』

           (1981年/アメリカ)

 

マイケル・マイヤーズ殺しのテクが格段にレベルアップ。病院を舞台に、1作目でブギーマンの標的にされたローリーと彼の因果関係が明らかになる秀逸な正統派続編。

前作のラストで忽然と姿を消したマイケル。その数時間後の出来事を描いているのが正にPART2を名乗るのに相応しいリアリスティックな設定。ザ・シェイプ(マイケル・マイヤーズ)にはスタントマンで、カーペンター作品や古くは『ジョーズ』で鮫と格闘するフーパーの代役(檻の場面)を務めたディック・ワーロック氏が扮する。忍者のような身のこなしと引き締まった体格に作業着ツナギが良く似合う。今作からモンスターマスクメーカーの老舗ドンポスト社がブギーマンのマスクを提供。低予算で新たにお面を作る余裕がなく、ドンポスト製『スタートレック』のカーク船長(ウィリアム・シャトナー)マスクを流用。全体を白く塗りつぶし、眼球周辺をくり抜いた後、仕上げにモミアゲをむしり取ったら地獄のピエロのような不気味な表情が生まれたのだから正にスタッフ苦肉の策でもある。警官としても脇で出演しているディック氏。なかなかイケメンな渋い人で好きなホラー映画役者さんの一人でもあります。

女子高生と言われれば「ああそうなのか?」と渋々納得するけど、ジェイミー・リー・カーティスの角ばった輪郭と恐怖に怯える怖い表情は冴えない田舎の売れ残り女といった感じ(失礼!)魔の手から間一髪エレベーターに乗り込むハラハラ度合いは前作の追跡劇の延長戦とも取れる見事なシークエンス。ノシノシと足を踏み締め憑けてくるブギーマンを表現した低音ピアノのリズムで否が応でも盛り上がる。『アナベル』のエレベーター場面を観た時、ハロウィン2を参考にしているんじゃないかと感じたくらいソックリで嬉しかったです。

頸動脈を裂かれ血液が飛び散り、知ってか知らずか空気の入った注射器をこめかみに突き立てる必殺仕事人風のヤリ口。そしてあの首をかしげるピュアな仕草。人間の皮をかぶった悪魔がふと見せる人間に乗り移った肉体の反射作用なのだろうか…。無計画なようで、もの凄く用意周到なマイケル。車のタイヤをパンクさせ、病院から出たり入ったり自由気ままマン。サスペリアPART2を連想せずにはいられない熱闘甲子園殺し!マイケルの皮膚は象の肌のように分厚くて火傷しないのだろうか(笑)

脱走させてしまった罪悪感から鬼のように追い続ける執念深い精神科医のルーミス医師。ドナルド・プレザンスは1作目で着ていた私物のスーツを大切に保管しており、この2作目で再び着用するに至った。銃の許可証は持っていると言っても、威嚇で乱射するのはどうにかならんのかと…。仮装していたマイケル似の少年は、人の命を救うルーミス先生が殺したようなものだし、暴走したらブギーマンと互角に渡り合えそうな危ないおっさんなのである!

悪夢を甘い夢に変えるコーデッツ版の"ミスター・サンドマン"は心が洗われるような素晴らしい選曲。厚みが増したシンセサイザーのテーマ曲も個人的にはこの2作目の方が思い入れが強い。ローリーに優しく接する看護師ジミーには『ジョーズ4/復讐篇』で主人公マイケル・ブロディ役を射止めたランス・ゲスト。『ジョーズ』の警官ヘンドリックスで馴染み深いジェフリー・クレイマーは検視官役で出演。ここでジョーズ1と4が繋がったわけだww ジョージ・A・ロメロ監督の処女作『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』をTVで放送中にブギーマンが殺戮を犯すというのも現実と虚構のバックボーンとして面白い設定だと思う。

       【2017年10月31日(月)】

       ホラー・マニアックスの

    HDリマスター版ブルーレイで鑑賞

(ドルビーTrue-HD 5.1chサラウンド・リミックスで)
     ※初見は1988年7月1日(金)
 日本テレビ「金曜ロードショー」のTV初放送