本日のネズミ番外編【Vol.4】トビウサギ。 | ネズラー通信編集部のブログ

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本日のネズミ番外編【Vol.4】
トビウサギ



トビウサギ科トビウサギ属
※写真は  http://ja.wikipedia.org/wiki/トビウサギ より。

「ミッシングリンク」という
言葉があります。
進化論という仮説を証明する上では、
進化の途中を示す証拠となる化石の
ことを意味しますね。

本日の主人公トビウサギは、
進化論という仮説の中で考えると、
一体、
何から進化してきたのか、
よく解っていない動物です。

また
分類学上も、
ネズミ目(げっ歯目)という
大括りでは
議論は終結しましたが、
『リスの仲間だ!』
『何を!ヤマアラシの仲間でしょ!』
ウロコオリスじゃないですか』
と意見がマチマチなのです。

ウロコオリスについては、
 本誌4号の「本日のネズミ」で
 登場しましたね。
 
トビウサギ科というのは、
 ヤマネ科とウロコオリス科の中間、
 と位置づけられる
 便宜的な分類です。
 分類学的には俎上の上です。
 分類学が社会的に何故必要なのか?
 という話題は別の機会に
 分割し詳述します。

トビウサギは
アフリカ大陸の東部から南部に
生息します。
体長は40cmほど。
尾長は40-50cmあります。
このシッポですが、
ふっさふさで、
先っぽが「黒い」のが特徴です。

耳が大変長く、
7cmあります。
体長から鑑みると
顔と同じくらいの
長さの耳がある。
まるで、
ウサギさんのようですね。

トビウサギについて
発見より200年以上経過しますが、
生態はよく解っていません。

理由は
完全な夜行性で、
真っ暗にならないと
姿を見せないことが
一番でしょうか。

また
水が大キライのようで、
雨季などは
巣穴から全く出てきません。

この愛らしい動物の
知られている
生態を記しておきましょう。

生活は
プレリードッグに似ています。
地下に広大なトンネル式の
巣穴を作り、
一つの群れで暮らしています。

穴を掘るための鉤爪が
前肢にあります。

耳には「耳珠」と呼ばれる、
耳栓ができる部位があり、
穴を掘るとき、
大きくて長いお耳に
砂が入らないように
閉じることができます。

トンネルの深さは1.2mほど、
横幅は42m!と広大です。
地下シェルターですね。

雨季の間、
食料を貯め込んで、
やり過ごすことが出来る訳です。
食性は
草食よりの雑食で、
穀物を食べるので、
ヒトにとっては
害獣となる場合もあります。

トビウサギの移動方法について。
見た目は
ワラビーのようですね。

見た目のままなのですが、
カンガルー方式で、
長い後肢の力で、
飛び跳ねながら移動します。
大変、脚力に優れており、
一度に、
2m近く-3m近く!
も飛べるのです。
身体の大きさを考えると、
凄く面白いですよね。

ハムスターのように
夜中は食料探しです。

一晩に10-20km移動すると
言われています。
特に乾季には水を求め、
40kmも移動すると。

最も、これらは
厳しい条件のときで、
一般的な生活環境では
巣穴の250m圏内で
用事を済ませるようです。

ネズミというのは
安産の神さまになるくらい
多産で有名ですが、
トビウサギは、
1産1子。
たまに2子。
ネズミの仲間にしては
特殊な部類に入りますね。

妊娠期間も、
78-82日と非常に長いです。

本誌3号で
チンチラの妊娠期間の
お話をしましたが、
チンチラの場合、
標高により
厳しさが変わりますので
妊娠期間も変わるというものです。

トビウサギの場合は
環境が大変厳しいという訳では
ないのですが、
(大きな巣穴で住んでいます)
これも不思議な特徴の一つです。

また子育て期間も長いです。
成獣になるのに
2年半を要します。

ネズミにしては
例外だらけの
愛らしい珍獣と言えそうですね。

さて、
最後にトビウサギについての仮説を。
アフリカの中新世(約2500万-1000万年前)
の地層から、
近縁種になる
原始的なトビウサギ属(Palapedetes)と、
巨大トビウサギ属(Megapedetes)の
化石が見つかっています。

しかし、
現在のPedetes(トビウサギ科)の
化石は
見つかっていません。

トビウサギは
何処からやって来たのでしょう?

ドイツのチメック先生は、
『トビウサギ類の直接の祖先は、
 げっ歯類の共通の祖先である
 パラミスから分岐した』と仮説を
立てています。

この推論が正しければ、
トビウサギは
新生代暁新世に登場し
初期の霊長類を
絶滅に追いやった、
というリスに似たパラミスの
DNAを継ぐもの
と言えるのですが、
あくまでも仮説の域を
出ないお話です。

一つだけ確かなことは、
近縁種が
中新世という
遥か昔より
アフリカ大陸に生息していた
ことより、
この愛らしい動物の仲間たちは
中新世から
アフリカにずっと暮らしている、
ということですね。

【次回予告】
 次回は誰しも名前は知っているけれど、
 イマイチよく知らない「あの動物」に
 スポットを当てます!
 近日公開予定!
 お見逃しなく!


ねずみのお話へ☆
 【ナキウサギ】
 【マーラ】
 【ハイラックス】
 【トビウサギ】

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