報道のように見せかけた記事が実は宣伝、これをパブリと呼ぶ。
莫大な広告料を支払っている広告主にサービスするため、よく業界紙や業界雑誌などがこの手法を用いる。
テレビ局も報道ニュースでこれを用いることがある。
大晦日から新年にかけて、「日の丸」に「必勝」の文字を鉢巻する受験生の徹夜特訓が、毎年恒例のように報道される。
この学習塾はこのテレビ局に広告料を支払って、コマーシャルを流している。
あー、そういうことかと膝(ひざ)を打つ。
対米イメージ改善のために、パブリックディプロマシーと呼ばれる広報外交をアメリカ政府は今、力を入れている。
冷戦時代の対共産圏プロパガンダとして始まったアメリカの広報外交は、今アラブ向けにラジオ局「ラジオ・サワ(一緒に)」(02年6月開局)と衛星テレビ「アルフーラ(自由)」(04年3月開局)の政治宣伝を行う。
この2つは、アメリカ政府を批判し、多くのアラブ民衆に支持されているカタールの衛星放送アルジャジーラ
への対抗として、アメリカ
議会の資金援助により開局された。
しかしブッシュ政権の思惑通り進まない。
アルジャジーラ
のイラク支局を閉鎖させ、活動を制限する一方、アメリカの価値観を広くアラブ世界に伝えようにも、イスラムの価値観とは相容れない。
アメリカはメディア戦略を再構築、アメリカの政府高官の露出度を高めるムスリム・アウトリーチ(取材便宜)に舵を切った。
しかしアメリカがいくら自由、民主主義を声高に叫んでも、現実にはイラク
の一般市民を米占領軍が殺しているし、パレスチナ難民をつくったイスラエルが、容赦なくパレスチナ人を痛めつけているにもかかわらず、アメリカはイスラエルを擁護する。
その姿を見ているアラブ民衆には、アメリカの言うことは見え透いたスローガンにしか映らない。
ブッシュ政権はメディア
戦略よりもイスラエル寄りの中東政策を改めたほうが、アラブ民衆の信頼を得ると思うが・・
★ 05年4月24日メルマブログ「新聞批評」より。なおメルマブログは05年11月末で閉鎖されます。