ゆきのひ

『ゆきのひ』

作・絵 エズラ・ジャック・キーツ

訳   きじまはじめ     偕成社



物語はいたって単純。


ピーターという男の子が

雪の日に外で遊ぶ。


雪をポケットに入れて持ち帰る。

お風呂に入った後ポケットを見ると

雪は溶けてなくなっていた。


悲しくなるピーターだけど


翌朝目を覚ますと

また雪が新しく積もっていて

今度はお友達と遊びに出かけるのだった。


こう説明すると

あまりにもシンプルだけれど

そのひとつひとつの場面が

強く子どもの心を捉えて離さない作品。


キーツ独特の貼り絵の世界。

雪という白いものが

角度によってはピンク、青、黄色などに見える

そのさまを鮮やかに描き出している。


ピーターが雪の中で遊ぶとき

私たち大人は

「あぁ、こんなことしたっけな」

子どもたちは

「こんなこと、できるんだ!」

「やってみたい!」

と心躍る

雪遊びの情景。


きゅっ、きゅっ、きゅっ。

ピーターの あしは、ゆきを へこませた。

ピーターは つまさきを そとへむけて あるいたり、

また、つまさきを なかへむけて あるいたりした。


ピーターは

おうちに帰って

お風呂に入っている間も

何度も何度も

雪で遊んだことを思い返している。


大人にとっては

刹那の雪遊びであっても

子どもには、わくわくの散りばめられた

密度の濃い、夢のような時間。


この絵本では

降ってくる雪は

雪の結晶の形をしていて

それはそれは綺麗な色をしている。


普段なかなか

雪を見ることの少ない

子どもたちにとっては

雪景色とは夢のような世界。


お友達を連れて

再び雪の中へ出かけていったピーター。

また新しい遊びを見つけてくるのだろう


ピーターのシリーズは他にもあって

『ピーターのいす』 などがおすすめ。


どれも、シンプルなストーリーの中で

ピーターの気持ちがよく伝わってくるので

子どもたちも感情移入しやすいようだ。