前回の記事では、Alexa がトラフィック情報を収集する際の
メカニズムについて、概要を説明しました。

ポイントとしては、Alexa の情報は、Alexa Toolbar を介し

「少なくは無いが、かといって非常に膨大でもない
 あるPC環境のユーザーからのみ収集」

されるデータだということです。


方法としては、テレビの視聴率算出に似ていますが、
セグメントがAlexa Toolbar をインストールしている層に限定される
という点がポイントです。


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実は、この AlexaToolbar は、
過去には Internet Explorer や Netscape Navigator といった、
主要なブラウザすべてに標準で組み込まれていました。


つまり、ある時期 ( IE であれば、 IE 5 ) までは

「Alexa Toolbar をインストールしている層
 = インターネット上のほぼ全てのユーザ」


という図式がなりたっており、
非常に膨大かつ高精度のトラフィック情報を収集していたのです。


しかし、これは普通に考えれば、非常に横暴なことです。
あるユーザーがアクセスしているサイトの情報を一定の個人情報とともに、
無許可で収集していたのですから。


これが、インターネット上で問題になり、Microsoft は、IE6 以降は、
Alexa Toolbar の標準機能への組み込みをやめています。
今では、機能として標準採用しているブラウザはありません。


このような経緯があり、利用者が大幅に限定されてしまった
Alexa Toolbar ですが、
それでも、特にある層においては非常に高い利用率を誇っています。

それは、どの層でしょうか?


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ネットサービスの開発や、Webマーケティングを生業としている人たちです。


これはごく自然なことです。
Alexa Toolbar を利用すれば、各サイトの詳細なトラフィック情報や
機能の利用情報を、簡単に得られるのですから。

そりゃ、ほぼ 100% の人が利用していると言っても過言ではないくらいの普及率です。


その結果、何が起こっているか。
IE6以降、 Alexa の統計情報に徐々に特徴的な変化が起こりました。


Webマーケティングに関連するサイト、SEO 関係のサイト、
ブログなどのランキングサイトのAlexa ランキングがある時期を境にあがってきた
という結果になってしまってきています。


また、検索やコミュニティサービスに関しても、インターネットにある程度
精通した人が利用するサイトの方が、Alexa ランキングが高い傾向にあります。


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つまり、繰り返しになりますが、
Alexa の統計情報は、あるフィルターを通して収集しているので、
そのフィルターの特徴を差し引いて見る必要があるということです。


具体的には、Alexa Toolbar を利用している層が偏ってきていることから、
SEOや、ネットサービス関連のページはランキングが高くなる傾向があり、
単純に、他のサイトと比較すると、現状を見誤ってしまいます。


基本的に同ジャンルのサイト同士の比較という利用に限定するのが、
現状のAlexa 統計情報の正当な活用方法なのだろうと、考えています。

上記を意識してみることで、 Alexa はまだまだビジネスの第一線で
利用できるデータ精度を有していると思います。

それを具体的に検証するには、
ランキング Top100 位のサイトを対象に、カテゴリごとに分けた上で、
トラフィックの推移と、なぜそのトラフィック推移が生じたか(機能が増えた、
キャンペーンを行った...など)を分析してみるのも面白いかもしれませんね。
いずれちょっとやってみようと思います。


次回は、Alexa と双璧をなす トレンド把握のためのサービス
Google Trends を取り上げます。


それでは、今回はこのあたりで。


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