5人だけしか存在しない世界があるとしよう。
5人はそれぞれ農業をしたり漁業をしたり狩猟をしたりしていた。
この世界の文明はすでにある程度発展していて760万円のお金が存在しており、それぞれが持っている食材をお金を介して交換していた。

ある時点の彼らの現金保有状況は以下の通りだった。
A:500万円
B:100万円
C:100万円
D:50万円
E:10万円

Aは誰よりも狩猟が得意で他の4人には倒せない動物を倒すことができた。みんなその動物の肉がほしかったのでAにたくさんのお金を払って肉を買っていた。
その結果、Aはたくさんのお金を稼ぐことができ最も裕福になった。

ある時Aは思いついた。
Eは儲からない農業しかやっていなくてお金が底をつきそうだから、Eに100万円貸してあげよう、と。

AはEに100万円貸してあげる代わりに1年後に110万円で返してくれるように交渉した。
Eは狩猟に使う新しい武器が完成したところだったので1年でお金を増やせると考えAの提案を受諾した。


この話の続きがどうなったかはわからない。
でも、もうお気づきだろう。
この世界には760万円しか存在しなかったのに、1年後には770万円ないといけないことになっている。10万円分が金利ということだ。

Eは1年間でお金をたくさん稼ぐことに成功してAに110万円返すことに成功したかもしれない。しかし、その場合でも誰かが10万円足りないことになる。
10万円程度ならば、足りない人が余っている人からまた借りれば良い。
しかしその時にも金利がつくので、その翌年には790万円くらいが必要になるだろう。
時間が経つにつれて金利分は雪だるま式に大きくなっていく。


考えてみれば、金利とはもともと存在しないお金なんだ。
存在しないお金、つまり金利負担分は最初のうちは隣の人に渡して問題を先送りすればいいが、それはだんだん大きくなりいずれ時限爆弾のように爆発してしまう。

人間が60億人いる今の世界では、誰が時限爆弾を持っているのが分かりづらい。
どこに時限爆弾があるのかが分からないから、時限爆弾があとどのくらいで爆発するのかも分からない。

でも、分かったとしても元々ないお金なんだから返すことなんでできないんだ。



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