この度、新しいブログに移転することにしました。
新ブログのURLは以下です。

http://globalmacro.blog.fc2.com/

ブログ移転の理由は以下の通りです。

新ブログでは有料サービス(30日間で315円)を始めます。
それにあたって、HTMLなどをもっと自由にいじれる方が使い勝手がよいので移転しました。

ブックマークやリンクを貼ってくださっている方、お手数ですけど更新を御願い致します。
また、今後も少しでもためになる記事を書いていけるように努力していくので、宜しく御願い致します。


澤村
http://globalmacro.blog.fc2.com/
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今日はアメリカが休日だし、金曜日だし、雨だし・・・とあまり投資家的にはやる気が出ない一日なのだが、相場をボケーっと眺めていたらこんなニュースを目にした。

「トヨタ株、年初来安値更新、1996年7月以来の水準」

トヨタの株価推移のチャート(出所)Bloomberg
photo:01



たしかに1996年以来の水準だ…
僕は個別株をほとんど取り扱わないので、普通ならこんなニュースはスルーするのだけど、今日は上に書いたとおり相場にやる気がないので、ふとこんなことを考えてしまった。

「株は景気の先行指標だよねー。給料は1年ごと更新されるから景気の遅行指数だよなー。ちょっと調べてみよう。」

ということで、厚生労働省が発表している賃金指数を用いて以下のチャートを作ってみた。
TOPIXと1年間遅行させた賃金指数を比較したものである。
※賃金指数が2005年3月末を基準にして計算されているので、2005年からのグラフにした。
(出所)厚生労働省、Bloomberg
photo:02



相関関係を調べたわけでもないし、完全に相関しているとは思わないけど、トレンドはあっていそうだ。

そんなことを考えていたら、トヨタの株価って1996年の水準だからトヨタの給料も1996年の水準程度まで下がってないと採算合わないはずだよね、と思ったわけだ。

日本の大企業はなかなか給料を下げないから、日本企業が今グローバル社会でどんどん競争力を失っているのも必然ということになる。

かなり安直な論理だけど、今日はやる気度ではこれが限界だ…



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昨日、イタリア10年国債利回りがユーロ導入以降初めて7%を超えた。
10年利回りの7%は自力で資金調達できるぎりぎりのレベルで、所謂危険水準とされていた。

下のグラフは、ギリシャとイタリアの10年利回りの推移である。
水準を合わせるために、イタリアの利回りは10ヶ月程度後退させた。
(出所)Bloomberg
photo:04



今後、イタリアの利回りの上昇が止まらず、イタリアがギリシャ同様マーケットから締め出されることになるのだろうか?
もしそうなれば、イタリアがEU圏で3番目に大きい経済大国であり、世界で3番目に借金の多い借金大国であることを考えれば、被害が甚大でないことは容易く想像できる。


僕はイタリアがギリシャのようになる可能性は30%程度の確率だと考えている。
これは、通常であればギリシャのようになるはずはないのだが、当局の対応で何かを間違えてしまったり、ファンダメンタルズ以外のリスクが突然発生してマーケットの歯車が狂ってしまえば、一気に破滅へ向かってしまう、というレベルだ。


イタリアが通常であればギリシャのようにならないと考えられる理由は、イタリアの財政収支が良いからだ。
下のグラフは、PIIGSと言われる国にドイツ、フランス、日本を加えた財政収支(対GDP比)である。(出所)Bloomberg (単位)%
photo:05



ご覧の通り、イタリアの財政収支はドイツに次いで良く、フランスや日本よりも良い数字である。
イタリアはここからさらに緊縮財政を進めると言っているのだから、もはや何の問題もないかのように見える。

では、イタリア国債はなぜここまで売られてしまったのか。

理由は2つある。

. イタリアの債務残高が非常に多いかつ、2012年の償還額が非常に多いこと
. イタリアの政情不安

イタリアの債務残高は約2兆ユーロあり、世界で3番目に借金が多い国である。
下のグラフは年別のイタリア国債の償還額である。
(出所)Bloomberg (単位)百万ユーロ
photo:06



ご覧の通り2012年に償還を迎える債務が非常に多いことがわかる。
また、月別に見ると、2012年2月が500億ユーロ、3月4月で各450億ユーロと非常に多い。

イタリアは近い未来に爆発するかもしれない大きな爆弾を抱えており、マーケットはとても神経質になっている。
そんな中、先日ベルルスコーニ首相が辞任する意向を表明(実質内閣不信任)、緊縮財政法案の通過が遅れるかもしれない、など政治がとても不安定だ。

今やまったなしかつ、ミスもできない状況にもかかわらず、イタリアの政治がこのような状態なのでマーケットはイタリア国債にいっせいに売りを浴びせている。


この状態を乗り越えるためには、より早く緊縮財政法案を通過させ、新政権樹立を目指すべきだ。

またこの他にも、EFSFの拡充について具体的で実効性の高い案が出てくれば、これもイタリアをサポートするだろう。


しかし、僕は、実はここにも落とし穴があるような気がしてならない。

それは「フランス」である。

EFSFの1兆ユーロまでの拡充で十分かどうかという問題もあるが、フランスが格下げされてしまえばそもそものEFSFのモデル自体を大きく変えなければいけない。
EFSFはAAA格を持つフランスの信用力を前提に作られているため、フランスが格下げとなったら、根本が変わってしまうことになる。

欧州危機のフェーズイタリアでは、当該国イタリア以外に、フランスが鍵を握る存在になってくるかもしれない。

フランスの格下げが、イタリアの炎上そして世界経済の破滅へのトリガーにならないことを祈るばかりである。


再度断っておくが、この記事に書いたリスクシナリオは、30%の確立で起こる可能性があると僕は考えており、起こるとしたら大量償還を控える2012年2月頃までの間だと思っている。



iPhoneからの投稿
特に理由や根拠があるわけではないけど、今年は欧州を中心に荒っぽい年末を迎える気がしてならない。

下のチャートはEUR/USDの25DRiskReversal(期間2M)である(データ:Bloomberg)
photo:01



リスクリバーサルとは、簡単に言ってしまえばコール-(マイナス)プットである。
この場合、EURコール-EURプットになる。

値がマイナスになっているということは、プットの価値が高いということである。
つまりマーケットではユーロの下落への備えが万全ということだ。

リーマンショックの時より明らかに下方向に位置しているので、もしかしたら備えすぎなのかもしれない。
また、ここまでガンマがあると、相応に下値でのユーロ買いニーズもあるはずだ。

ただ、なんとなく、本当に根拠は特にないのだが、今年の年末はこの備えがワークするような気がしてならない。



iPhoneからの投稿
僕は10年後に通貨ユーロが存在している可能性は低いと現時点では考えている。
ギリシャから「国民投票の実施の可能性」というニュースが流れてきた時に、この考えはより強まった。

こう考える理由を先に書いておくと以下の通りである。


通貨ユーロを維持するためには今後EUに所属する全ての国が何かを犠牲にしなければいけない。何をどの程度犠牲にするのかは、一国で決めることではなく、EUに所属する全ての国が納得する一点に落とし込まなくてはいけない。今後、そういった議論を長い時間をかけて行っていくのだろうが、その途中でユーロを維持するインセンティブよりも、ユーロを離脱するインセンティブが徐々に大きくなるだろう。また、なかなか纏まらない議論は、後者のインセンティブを助長することになる。


まずは、統一通貨ユーロを導入している今の現状を考えてみよう。

ユーロを導入することによって変わったことといえば、域内貿易で為替リスクが発生しないことである。
これによってドイツは大きな便益を得た。2010年のドイツの輸出総額に占めるEU圏の割合は約60%に達する。
国別に見ると、フランス・オランダ・イタリア・オーストリア・ベルギー・スペインの順で高い。この6カ国だけでドイツの輸出の36.2%程度を占める。

1つ目のチャートは通貨ユーロ導入(1999年1月1日)以降のドイツの貿易収支、2つ目は同期間のイタリアの貿易収支である。
photo:01


photo:02




これを見てわかるように、ドイツはユーロ導入により着実に貿易収支を伸ばした一方、今財政問題で苦しむイタリアはユーロ導入以降貿易収支が右肩下がりになっている(貿易赤字に転落している)。

もしEUで統一通貨ユーロを導入していなければ、ここには為替メカニズムが発生し、ドイツマルク高イタリアリラ安が進行し、通貨安の影響でイタリアの貿易収支は改善するはずである。
統一通貨を導入しているが故に、為替メカニズムが機能せず競争力のあるドイツと競争力のないイタリアの格差は開き続けることになる。

言い方を変えると、ドイツは統一通貨ユーロのおかげで、イタリアから収支を奪っていると言う事ができる。
これが意味するところは、統一通貨ユーロを維持するためにドイツがしなくてはいけないことは財政移転である。
為替メカニズムが発生しないことによるドイツの便益を輸出相手国に移転する必要があるだろう。

逆にイタリアなど財政移転を受ける側は緊縮財政を受け入れる必要があるだろう。
収支だけもらって放漫財政を続けることが許されるはずがない。

今話題になっているギリシャももちろんイタリア側の国である。

10月26日に決定したギリシャ救済パッケージ、つまりギリシャ債の50%減免というのは、まさにドイツ側からの財政移転と同じ効果となる。

ギリシャは財政移転を受ける代わりに緊縮財政をする義務があるのだが、ご存知の通りギリシャは緊縮財政の受け入れに難色を示し、首相は国民投票を行うと言い出し、国民は大規模なデモを行っている。
また、10月26日に決定したギリシャ救済パッケージを最終合意するまでにかかった時間や経緯はすでに見てきた通りだ。

ギリシャ一国を救済するのにこれほどの時間と労力を強いられ、さらに実際に運用されるかどうかもわからない。

長い時間をかけてようやく1歩進んだかと思えば、すぐに半歩さがってしまう状況、かつ、議論が進むにつれて明らかになる統一通貨ユーロ維持のために受け入れなければいけない犠牲の大きさを考えると、しだいに統一通貨ユーロを諦める雰囲気が高まってくるのではないだろうか。



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今回の為替介入は政府の立場からすれば成功した為替介入と言えるだろう。
しかし、高値でキープしてもらいたい投資家からすれば、また水準を維持できない効果の薄い介入と評価するのだろうし、マーケット全体を考えると、やはり日本の単独介入というのは、今回のケースも含めてほとんどのケースにおいて、あまり好ましくない行動だと思う。

兎にも角にも、今回の介入は個人的にはいろいろと面白かった。

まずは、介入が行われた10月31日の1分足チャートを見てみよう。
photo:01



日経新聞には「新手の指値介入」と評された。

チャートを見ると、東京時間の12時前から15時近くまで、ほぼドル円が79.20で膠着している。これは日銀が1000本を越える大量のビッドを79.20に置き続けたことによって生じ、日経新聞はこれを「新手の指値介入」と呼んだ。

今回の介入が政府にとって成功といえるのは、政府の介入の目標が「水準の維持」ではなく「輸出企業(トヨタなど)にドル円を高値で売らせること」にあるからだ。

ドル円は東京時間の午後はずっと79.20にいた。この時間帯に値動きは一切ないが、輸出企業から大量のドル売りが持ち込まれた。
500億の売りがばんばん出ていたイメージだ。
その大量の売りを全て政府・日銀が吸収した。

前回8月4日の為替介入では80円台まで円安が進んだが、そのほとんどが投機家の利食い売りに吸収され、ドル円が80円台に到達したのはロンドン時間に入ってからの19時頃でその滞空時間も30分程度、輸出企業は思ったほど高値でドル円を売ることができなかった。
これを考えると、今回の介入は、介入後すぐに高値をつけてその後東京時間の3時間程度水準を維持し、売り場を提供することができた。


今回、このように介入がうまくいったのは、タイミングがまさに不意打ちだったということが一因だろう。
G20前であり、月末であり、週明けであり、直近数日間は毎日のようにドル円は戦後最安値を更新している中介入が実施されてこず、マーケットの介入期待感が落ちている時に、まさに不意をつかれて介入が実施された。

また、日本企業は中間決算を終えて、ドル円の想定レートを大幅に下げていた。例えばパナソニックが1ドル=83円から78円に下方修正するなど、多くの企業でドル円は5円程度円高方向に想定レートを下げていた。

これを踏まえて、安住財務相の「納得のいく水準」が79.20円程度だったのだろうと想像できる。
ちなみに、79円ちょうどではなく20銭というのは、ドル円の来年3月末までのディスカウントが20銭程度あるので、それを勘案したと考えられ、そう考えると、「納得のいく水準」が来年3月末時点で79円ときりのいい数字になる。

こういったことを考えると、政府的には今回の為替介入には満足のいく結果が得られたと感じえるのではないだろうか。


しかし、やはり為替介入には多くの批判が生まれるのも事実であるし、僕自身もあまり日本のような大国が為替介入などやるべきじゃないと考えている。

まず批判としてすぐにあがってくるのは、結局今回の介入も多くが証拠金トレーダーの利食いに吸収されてしまったということだろう。
下のチャートはくりっく365におけるドル円のネットポジションの推移だが、今回の介入では過去の介入以上にドル円のロングが減少していることがわかる。
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しかし、こういった投機家の利食い売りに吸収されないようにすることは不可能なことであり、批判しても仕方ないことだろう。

とはいっても、日本は世界第3位の経済大国であるし、一応東京市場は今でもNY、ロンドンと並ぶ3大マーケットの1つなのだから、やたらと大規模な介入を実施してマーケットを強引に動かすことが好ましくないだろう。
こういった大規模な介入が繰り返されたら、東京市場や円相場には市場リスク以外のリスクを気にしなくてはならず、ますます投資家離れが進むことだろう。




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たまには軽い日記のようなものでも書いてみよう。
あまりポジティブな内容じゃないけど、僕が債券ディーラーの新人だった頃の思い出。

小僧(こぞう)【名詞】
債券セクションに配属された不運な新人の代名詞。新人が入ってこない場合は2年目も小僧状態が続く。


僕がこの言葉を知ったのは、新人として債券セクションに配属された後の2年目位だったと思う。
たしかに、何度か上司から小僧と言われたことはあったが、まさかこの世界にこんな言葉があるとは知らなかった。

そして、債券ディーラーとして2年目(後輩なし)の僕は、まさに自分が小僧状態だと確信した。

小僧だった時の思い出はたくさんあるが、今日はそのうちの1つを書いてみる。

小僧時代の僕の1日のスケジュールは以下の通りだった。これが2年間1日も変わることなく続いた。

5:30 起床
6:15 会社到着

21:30 会社を出る
22:00 帰宅
23:00 就寝

会社にいる時間は、鬼のような量の雑用があり、まさに息つく暇もなく時間が過ぎていった。
あまりの忙しさにトイレに行くことも忘れるくらい。
僕は学生時代に風邪などひいたことがない程健康体だったのに、免疫力の低下が原因で口唇ヘルペスになってしまったのにはびっくりした。それでも仕事は続くのだが…

そんなある日、僕は事務ミスをしてしまい、いつも以上に帰りが遅くなってしまった。
比較的大きいミスをしてしまった時のあの不安感を抱えながら、僕が家に着いたのは24時前だったかと思う。

家に向かって歩いている時に思った。
あと6時間後にはまたこの道を歩いているのか、と。

あの時の虚しい気持ちは今でも忘れない。




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国際通貨制度は「金本位制」という制度から始まっており、現状の「管理通貨制度」とは異なる。

金本位制:一国の貨幣価値を金に裏付けられた形の金額で表す制度

管理通貨制度:通貨の発行量を通貨当局が調節することで、物価の安定・経済成長・雇用の改善・国際収支の安定などを図る制度


では、通貨の歴史を見てみよう。

1816年 イギリス・金本位制採用
イギリスで貨幣法が制定されて金本位制が成立する。
当初は「1ポンドソブリン金貨」というものが発行された。

1871年 金ポンド本位制
ドイツが金本位制に移行するのを皮切りに、世界各国で金本位制が採用され、金とポンドを国際通貨とする金・ポンド本位制がスタートする。

1914年 第一次世界大戦勃発 各国が金本位制を離脱 混沌の時代

1944年 金米ドル本位制(IMF・ブレトンウッズ体制)
ブレトンウッズ会議でIMF・世銀の設立が提案される。
金と唯一兌換できるドルを基軸通貨として、他の国はドルと固定レートを維持する管理通貨制度のスタート。

1971年 米ドル本位制
アメリカがドルの金兌換停止を発表(所謂ニクソン・ショック)
西ドイツとオランダが変動相場制に移行
スミソニアン合意

その後プラザ合意もあるが、1971年のニクソンショック以降の米ドル本位制が継続している。

このように歴史を振り返ると、国際通貨制度のパラダイムシフトは約30~50年の間隔で起こっていることがわかる。

1816年→(55年間)→1871年→(43年間)→1914年→(30年間)→1944年→(27年間)→1971年

さて、現在は2011年。
ニクソンショックがあった1971年から既に40年が経過している。
歴史観からすると、国際通貨制度のパラダイムシフトが起こってもいいはずである。

直近の国際通貨制度を転換させうる大きな出来事としては、2008年のリーマンショックが挙げられる。
リーマンショックが通貨のみでなくアメリカ経済を中心とした世界経済に再起不能なダメージを与えたことを考えると、2008年というのは米ドル基軸体制の終焉の始まりを告げたのかもしれない。

また、ポンドを基軸通貨とした時代から米ドルを基軸通貨とする時代までの移行に、2度の世界大戦を含む30年間を費やしたことを考えると、次の新たなパラダイムが形成されるのにも相当な時間を要する可能性がある。

もちろん、新たなパラダイムの主役候補の筆頭は中国だろう。
現状、中国がアメリカと比べてまだまだ小国であることは否めないことを勘案しても、新たなパラダイム形成にまだ時間を要すことには納得がいく。

また、その間のユーロの動向にも注目が集まるが、今の状況だと新たなパラダイムが形成される頃にはユーロという通貨は存在しないと考えるのが自然のような気がする。
このあたりは、まだ考えがまとまらない上に、そもそも言い当てるなど不可能な事象なので、もう少し様子を観察した後に機会があれば所見を書いてみたい。




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「ウォール街を占拠せよ」との掛け声を合言葉に大規模なデモが行われているらしい。
彼らは「1%とスーパーリッチと99%の庶民」というグループ分けをして「99%の声を聞け」と訴えている。

おかしくはないだろうか。

たしかに2008年以前は金融機関、特に欧米の金融機関に勤務していた人の給料は高額だった。でも、今は具合がかなり違う。
100歩譲って2008年以前のことを掘り返して今抗議デモをしているとしても、2008年以前の金融機関の給料が高額なのは誰がどう見ても明らかなことだったのだから、そこで働く選択をしなかったのはそれぞれの選択だったのではなかろうか。

金融機関というのはマスコミ業界と違って入るためにはコネもいらないし、学歴も関係ないというのに…

2008年以前の金融機関の給料が高いというのは、利益率の高さと従業員数の少なさを考えれば誰でもわかる事実だろう。
例えば外資系金融機関の代表としてゴールドマンサックスの自己資本利益率(ROE)を見てみよう。(出所:決算データを基に筆者作成)
※ 厳密には、給料を分析するのにROEは適していないが、他の話の兼ね合いを含めてROEを使う。
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このグラフを見てわかるように、外資系金融機関の高い給料が話題となった2006年・2007年はROEが30%近くある。
例えば、アメリカを代表する製造業のフォードはこの時期は赤字であり、2005年のROEは13.96%である。
利益率の高いゴールドマンサックスの従業員数は全世界で3万人程度であるのに対して、フォードの従業員数は全世界で20万人以上いる。

高い利益率と少ない従業員数というのはゴールドマンという企業の特別な要素というわけではなく金融機関に共通するものである。
高い給料が欲しければ、メーカーではなく金融機関に就職することを選択すればよく、コネや学歴はそれを阻むものではない。つまり個人の選択である。

そして、ROEのグラフでもう一つ注目したい点は、2008年以降のROEが低水準にあるとうことである。
世界経済は依然停滞しているとはいえ、製造業の決算内容はリーマンショック前の水準を回復しているし、最高益を叩き出す企業も存在する。
一方、ゴールドマンは直近四半期の決算は赤字であるし、なにより金融機関のROEは全般的に低水準に沈んでいる。

この理由を紐解くために、ROEの計算式を分析してみよう。

ROE

= 純利益 / 自己資本

= 純利益 / 売上げ × 売上げ / 総資産 × 総資産 / 自己資本

式の通りROEというのは、
(売上高利益率)と(資産回転率)と(財務レバレッジ)の3つに分解することができる。

つまり、ROEを上げるためには、3つの方法があるということだ。
. 売上高利益率を上げる(収益性を上げる)
. 資産回転率を上げる(効率性を上げる)
. 高いレバレッジをかける

金融機関のROEが低水準に留まる要因は、2008年以降の規制強化が大きい。
2008年以降、金融機関には高い自己資本比率を求められており、上でいう3番目のレバレッジが大きく低下せざるをえなくなってしまった。

普通株のような自己資本の積み増しとリスク資産の圧縮を強制的に迫られているので、金融機関が以前のように高い利益率をあげることは難しくなってきている。

デモなんて行わなくても、既に厳しい規制によって金融機関の頭を抑えられて、リストラや給与カットが進んでいることを彼らは理解しているのだろうか。



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