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いきなりチャートを載せてみたが、オレンジのラインが日経平均、白いラインがファナックの株価を示している。
リーマンショックまでは日経平均もファナックも同じような動きをしているが、危機後の推移で明らかにファナックが日経平均をアウトパフォームしているのがわかる。ちなみに、ファナックは本日上場来高値を更新している。

ファナックのような企業の存在は何かと励みになる。
それは1つに、総合的に減速傾向にある日本経済の中においても、正しい行動をすることでしっかりと成長できることを示していること。
もう1つ、正しいものをしっかり評価してくれるマーケット(投資家)が存在していること。

ファナックの堅調な株価の背景は様々あると思うが、今回はその1つである中国における戦略を紹介したい。

まずは今朝の日経新聞の記事をご覧頂きたい。

日産やTDK、中国でコスト削減 賃金高騰5年で2倍
http://www.nikkei.com/tech/news/article/g=96958A9C93819696

記事の内容はだいたいこんな感じだ。
最近の中国国内における賃金上昇(5年間で2倍)により、中国に進出した日本企業の収益を押し下げている。中国は内需の拡大が今後も見込めるため、日本企業は工場の自動化投資などでコスト削減を急ぐ。

この記事のポイントは、
・ 中国での人件費が上昇している。
・ 中国の内需は今後も拡大していく。
・ 日本企業は工場の自動化を進めている。
(上から2つは過去のエントリーで触れているので参照してほしい)

この記事をみて、僕はすぐにファナックのことが頭に浮かんだ。
つまり、工場の自動化を進めるにはファナックの技術が必要なのだ。
ファナックの商品は工場の作業を自動化するロボットが多い。

順を追って説明しよう。
かつて日本の製造業(正確には日本企業だけでなく世界中の製造業)は安価な人件費を求めて中国に進出した。それ故、中国はかつて「世界の工場」と呼ばれた。
しかし、中国は長期的な成長のため内需拡大を目指し中国国内の賃金上昇を容認したため、中国は世界の工場としての地位を東南アジア等に譲ってしまった。
ここで、工場をベトナム等に移す企業も出たが、今後も内需の拡大が見込める巨大な中国マーケットが非常に魅力的なため、製造業にとって中国国内に工場を誘致するインセンティブは相変わらず高かった。そんな企業の悩みの種がニュースにある人件費高騰によるコスト高である。

「巨大なマーケットが存在する中国で生産をしたいが、人件費も安く抑えたい」
ファナックは世界中の製造業のこのニーズを満たすことによって、日本経済が低迷する中、孤軍奮闘する形で順調に成長を続けている。

日本の山梨県に本社を置くファナックは、本社から見える富士山のようにまさに日本一の優良企業として世界中からその存在を認められている。




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