三井物産からの投資の背景 | フィリピンで働くシリアル・アントレプレナーの日記

三井物産からの投資の背景

世の中に問題は数多くある。
しかし、世の中が少しずつ良くなっていることは様々な数字からわかる。
例えば、乳児死亡率が低下し、平均寿命が延び、
餓死する人や、戦争など暴力で死ぬ人が以前よりもだいぶ減った。

その背景として大きいのは、やはり経済発展だと、フィリピンにいて思う。
国の経済が発展すると、死なずに済む人がたくさんうまれる。

ではなぜ経済が発展してきたか。
それは、資本主義によるものだ。

     投資
資本 →→→ 事業機会 
↑          ↓
↑ 利益      ↓ 利益
↑          ↓
事業機会 ←← 資本
       投資

適切な事業機会に投資することで、
利益を得て資本を大きくし、
それがさらなる事業機会への投資を可能にし、
資本をさらに大きくする。

この好循環をぐるぐる回すのは、そう簡単な話ではない。
人類は2000年以上かけて試行錯誤してきた。 (*)
最近ようやく、新興国含め実践できるようになってきたにすぎない。

以上は世の中全体の、ちょっと大きな話だが、レアジョブ単体でも話は同じだ。

     投資
資本 →→→ 事業機会 
↑          ↓
↑ 利益      ↓ 利益
↑          ↓
事業機会 ←← 資本
       投資

先日、WebRTCのTechスタートアップ、フェイスピアへの出資を発表したが、
それはこの一環だ。

社外への出資はプレスリリースに出すが、それ以外に社内でも、
レッスンまわりやシステムまわりなど、様々な投資を行ってきた。

ただ、これには一点問題がある。
それは、レアジョブ単体の資本には限りがある、ということだ。
株式会社レアジョブの資本金額は約2.6億円にしか過ぎない。
ちょっと投資活動が続くと、すぐにこの金額はなくなってしまう。

そこで、今回三井物産さんから資本・業務提携をさせて頂くことになった。
調達金額合計は約5.6億円で、レアジョブの第3位株主になっていただく。

依然として第一位・第二位の株主は社長の中村と会長の僕であることに変わりはない。
株主ではないが、三菱東京UFJ銀行がメインバンクであることも変わりない。

だが今回資本金額が増えたことで様々な攻めの投資活動ができることになる。
レアジョブが昨年上場したときに調達資本金額があまりにも少なかったこともあり賛否両論があった。
しかし今回の調達株価は上場時の公開価格を上回る金額であったことは付け加えておきたい。

もちろん、プレスリリースにある通り、三井物産さんとの提携は資金だけが目的ではない。
企業法人や学校法人への販売拡大や今後の世界展開に、
同社のネットワークや看板を活用させて頂きたいと思っている。
(プレスリリース発表以来、レアジョブの株価がストップ高になったのもそのせいなのかもしれない)

ただ、いずれにせよ、僕たちは「日本人1000万人を英語が話せるようにする」という事業を行っている。
結局のところ、どんな調達・投資活動をするにせよ、大事なのは少しでも多くの方を話せるようにできるかどうかだ。

聞くところによると、三井物産さんの社員平均がTOEIC900点に近いとも聞く。
少数で起きている変化を多数でも起きるようにしたときに、時代は変わる。
レアジョブも進化しながら、そして僕自身も進化しながら、頑張ってゆきたい。


(*)
参考文献
 「金融の世界史―バブルと戦争と株式市場―(新潮選書) 」「帳簿の世界史 (文春e-book) 」「21世紀の貨幣論 」「文庫 銃・病原菌・鉄 (上) 1万3000年にわたる人類史の謎 (草思社文庫) 」「大分岐―中国、ヨーロッパ、そして近代世界経済の形成―