インフレ目標2%というのは、「年金を毎年下げ続けます」という宣言だという話 | フィリピンで働くシリアル・アントレプレナーの日記

インフレ目標2%というのは、「年金を毎年下げ続けます」という宣言だという話

親と年金の話をしていて、インフレの話になった。
年金生活者にとって、インフレは怖い。

物の値段がどんどん上がっていっても、
年金受給額が同じだったら、
生活水準はどんどん下がる。

だから、次のようなツイートをした。



そうすると、次のような声をもらった



ん?物価スライドは?
物価スライドというものがありまして
え?年金は物価スライドすんじゃないの?


「物価スライド」 という言葉、聞いたことはあるけれど理解していなかったので、調べてみた。
たしかに、厚生労働省によると 、インフレで物価が上がったぶん、公的年金なら増えるようだ。


物価スライド (ぶっかすらいど)

年金額の実質価値を維持するため、物価の変動に応じて年金額を改定すること。現行の物価スライド制では、前年(1~12月)の消費者物価指数の変動に応じ、翌年4月から自動的に年金額が改定されます。私的年金にはない公的年金の大きな特徴です。


公的年金というのは、国民年金や厚生年金など、日本に居住している人に義務の年金だ。
いっぽう、加入が義務でないのは私的年金というらしい。
(国民年金基金や厚生年金基金、企業年金、個人年金など)

だから次のように言える。

2%インフレになったら、
・私的年金なら、2%ぶんだけ実質的に年金が減る
・公的年金なら、インフレ分だけ調整されるので、減らない


これでいいかとおもいきや、公的年金には、物価スライドの他に、
マクロ経済スライド、というものがあるという。


マクロ経済スライド
少なくとも5年に1度の財政検証の際、おおむね100年間の財政均衡期間にわたり年金財政の均衡を保つことができないと見込まれる場合は、年金額の調整を開始します。
 年金額は通常の場合、賃金や物価の伸びに応じて増えていきますが、年金額の調整を行っている期間は、年金を支える力の減少や平均余命の伸びを年金額の改定に反映させ、その伸びを賃金や物価の伸びよりも抑えることとします。この仕組みをマクロ経済スライドといいます。
 その後の財政検証において年金財政の均衡を保つことができると見込まれるようになった時点で、年金額の調整を終了します。
 なお、このマクロ経済スライドの仕組みは、賃金や物価がある程度上昇する場合にはそのまま適用しますが、賃金や物価の伸びが小さく、適用すると名目額が下がってしまう場合には、調整は年金額の伸びがゼロになるまでにとどめます。したがって、名目の年金額を下げることはありません。
 賃金や物価の伸びがマイナスの場合には、調整は行いません。したがって、賃金や物価の下落分は年金額を下げますが、それ以上に年金額を下げることはありません。
(厚生労働省)


む・・・むずかしい。。。

何回も読むと、次のようなことらしい。

「年金を将来きちんと支払えるかわからない!」
「だって、若年人口がどんどん減って、寿命がどんどん長くなってきているから」
「だから、年金を減らしてもいいでしょ。」
「とはいって、年金額を減らしたら、みんなびっくりすると思う」
「だから、年金額は減らさない。」
「そのかわり、インフレになって、本来は公的年金を上げなきゃいけないときに、
 上げ幅を小さくする、という方法をとるよ」


具体例は、野村證券の図がわかりやすい


日本人1000万人が英語を話す、そんな日をつくる日記-nenkin



いまのマクロ経済スライドの調整率は0.9%らしい。
だから、次のように言える。

2%インフレになったら、
・私的年金なら、2%ぶんだけ実質的に年金が減る
・公的年金なら、0.9%ぶんだけ実質的に年金が減る




まとめると、
インフレ目標2%というのは、
「年金を毎年下げ続けます」という宣言だ、
ということになる。

これが日本経済や日本国民にとっていいのか、悪いのかは、
僕にはちょっとよくわからない。

が、投票者の大半が高齢者の選挙で、
これを自民党がしれっと通したということは、
すごいことだと思う。