モーニング娘。その8 | One of 泡沫書評ブログ

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世の中にいったいいくつの書評ブログがあるのでしょうか。
すでに多くの方が書いているにもかかわらず、なぜ書評を続けるのか。
それは、クダラナイ内容でも、自分の言葉で書くことに意味があると思うからです。


前回「新生モーニング娘。」となにげなく書いたが、新垣、光井の卒業後、このキャッチフレーズは公式にも使われているようである。おそらく営業的にも、15年目の節目を機にメンバを一新し、フレッシュなイメージで再度進出する、という意味があるのではないだろうか。5月の新垣の卒業から8代目リーダ道重へのバトンタッチ、そして新体制の発表および新曲のプロモーションへと、まあきれいにつながったように思う。蛇足だが、こういうプロモーションを企画して実行する運営側の人間にインタビューしてみたいものである。

ところで、肝心の「新生モーニング娘。」のメンバは次のとおりだ:

道重さゆみ (6期)リーダ
田中れいな (6期)
譜久村聖  (9期)
生田衣梨奈 (9期)
鞘師里保  (9期)
鈴木香音  (9期)
飯窪春菜  (10期)
石田亜祐美 (10期)
佐藤優樹  (10期)
工藤遥   (10期)

「誰?」というのが正直な感想であろう。6期メンバである道重、田中は今年でキャリア10年目を迎える「ベテラン」だが、彼女らを除いた他の8名はわずか1年そこそこの新人に過ぎない。実際わたし自身、方々調べてようやく顔と名前が一致したという状況である。一般の方は、もうなんだかさっぱりわからないであろう。「モーニング娘。」という看板はまごうことなきハロプロの「フラッグシップ」だが、他のユニット、たとえばBerryz工房や℃-uteなどのメンバのほうがキャリアが長いという、面白い(?)状況になっている。

グループの知名度があるのは大きなアドバンテージだが、同時に、一般には常に過去のイメージで語られてしまうという障害も招く。メンバを常に入れ替えていくというグループの性質上、「知っている人が一人も居ないが、これが今の現役であると認知してもらうこと」というのは彼女らにとって思いのほか重要な課題かも知れない。とくに、おそらくは1年以内に控えていると思われる道重と田中の卒業の後、現役メンバたちは自らの力だけでこの困難を克服していかねばならないであろう。今後、モーニング娘。というグループを宝塚のような一種の「エコシステム」に脱皮させていくためには(このような意図があるかどうかは知らないが)、「グループのメンバ編成は常に変化している」、そんなメッセージを市場に対して訴えかけることが欠かせないであろう。今年の活動は、今後のモーニング娘。がいずれ消えてしまうのか、はたまた一つのエコシステムとして生き続けるのか、その試金石となるかもしれない。

とはいえそう簡単にはいかないであろう。モーニング娘。の主戦場であるアイドル市場は、「アイドル戦国時代」(誰が言い出したのか知らないが、上手いことを言うものである)と言われるほど非常に競争の激しいマーケットになってしまっている。言うまでもなく圧倒的なトップを走るAKB48は最大かつ最強の競合であろうが、他にも「ももいろクローバーZ」など新興の勢いもなかなか興味深いものがある。こうした競合の勢いを鑑みると、かつての覇者がフレッシュなイメージで再出発するというのは果たして業界にどのような影響を及ぼすであろうか。

(気が向けば、つづく)