皆がすなる悪徳請求いぢりを山田もしてみんとす---中編---
前編はコチラ
URL先からサイトサポート電話の番号を探ります。
電話サポート : 090-3548-7922
サポート時間 : 11:00~17:00(土・日・祝日除く)
メールの操作方法、お振込み方法のみ対応となります。
その他のお問い合わせにつきましては、メールサポートにて承わっております。
ほほぅ……サポート対象電話番号がフリーダイヤルでも固定電話でもなくケータイ番号ですか……。
怪しさ倍増です。
それに加え、サポート時間が11:00からってのも摩訶不思議です。
普通会社の営業時間は9時から。
まぁ朝礼や準備なんかの時間を考えても10時からスタートってのが妥当でしょう。
どの企業やプロバイダーを見てもそんな感じですから。
そしてコレは予想なんですが……
電話を掛けて来た相手に、考えるスキを与えずに銀行振り込みさせる為か土日祝は休みです。
ATMも基本振込みは3時から今は5時が最終で翌日付けですからね。
ふむ……一つ合点がいく事が……。
このエロ系誘導CMコメントが書かれる時間は決まって月~金の5時以降です。
どうやらヤツ(ら)は一日の電話当番タイムを終えてから、種を蒔く様子です。
手順にするとこんな感じでしょう。
1.蒔いた種をクリックし……よく判らない人が金額にビビる。
2.電話しようにも時間外。繋がらない一晩が不安感を夜通し煽る。
3.翌日、取り消そう問い合わそうと思って電話。そこで再び個人情報云々と恐怖心を煽る。
4.銀行に走らせて振り込ます。
なかなか見事な「絵」じゃないですか……。
という事は、明日の朝電話する山田は……3番あたりの心境であった方が良いようです。
……仕方ない。
少しキャラ設定を相手に少々合わせまして……
「5割減のパソコン知識で2割増しのスケベ心に加え……
一晩49000円の恐怖に怯えた山田」に変更する事にします。
翌昼……。
忙しいお昼のランチタイムを切り盛りして……手が空き始めた2時頃……。
いよいよ戦闘開始です。
まずは相手の電話番号に184を付けてケータイからコール。
案の定「このお電話からはお繋ぎできません~~~」の定型メッセージが流れます。
しゃーない。
いえいえ……自分のケータイから掛けるなんてバカな真似はしませんよ。
実はこの前クマさんが……「来月で解約するんだ」と……ケータイ電話を2~3個持って来てたんですよ。
なんでも社員との連絡用に、会社負担で持たせていたとか……。
それがホラ……最近は同一電話会社内は通話無料ってプランが増えたでしょ。
半ば強引に社員の電話会社を統一して……経費の削減を図ったらしいです。
そのうちの1台を、このネタだけの為に1ヶ月伸ばして頂き借りました。
もちろん使用料金は後日請求されますが……。
はやる気持ちを抑えつつ……クマさんケータイで再度コール。
♪♪♪♪♪~~~
4~5回目のコールで……
「はい。もしもし。」
と出ました。
………ねえちょっと……ちょっと待ってよ。
普通「はい。もしもし」って……サポート電話の向こうの人が言いますか?
のっけの第一声からツッコミどころ満載ですが……こんな微細な部分で突っ込んでる場合じゃありません。
なにせもっと派手にイジる予定ですから……。
(以下タロウ=タ 詐欺夫=詐)
タ 「あのー……この電話番号って……マック運営事務局の入出金担当窓口ですか?」
詐 「ええ……そうですが……。」
タ 「あの……実はですね……昨晩ネットしてましたらですね……
ふとした事からお宅様のサイトの会員になっちゃったみたいなんですよ……。」
山田に出来る最大限の演技で、一晩悩んで気弱になったオッチャンを演じてみます。
詐 「それはありがとうございますっ!!」
向こうも向こうで、明るく接して来てます。
明るく誠実そうな態度を見せておいて、振り込ませる気なんでしょう。
タ 「いえいえ……それが『ありがとうございます』じゃないんですよ……。
ボクね……こんなに高額な料金が掛かるって知らなくってね……。」
ちょっぴりグチ交じりに気弱さを再演出してみます。
すると詐欺夫……
詐 「入退会についての問い合わせは、メールでのサポートとなっておりますが……。」
と……明るくもやんわりと突き放します。
タ 「えっ!?いやっ!?ちょっとっ!!……メールでサポートって……ボク……
恥ずかしい話ですが、パソコンでメールなんて使いこなせないんですよっ!!」
毎日毎日長文の読み物ブログを書いてるクセに嘘八百です。
タ 「ココは一つ……電話に出て頂いたのがアナタってのも縁だと思いますし……
ちょっとご相談に乗って下さいよ……。」
必死に泣きついてみます。
詐 「……………。」
しばらくの沈黙の後……
詐 「いいですよ……では今回は特別に、ワタシがアナタの御意見を承って……関係部署に回しますから。」
と渋々了承の構え。
まぁ詐欺夫としても、ココで電話を切ってしまっては……メールで問い合わせも来やしないし、
追い込みかけるにもケータイ番号しかわかりませんから、当然といえば当然の判断です。
タ 「えっ!?でも入出金の担当窓口だってアナタさっき……。」
遮るように詐欺夫君……
詐 「ええ……コチラは入出金の担当窓口ですよ。
でもアナタのなさろうとしている事は入退会のお話ですので……。」
ハキハキとした口調で、話を引っ張り戻す。
詐 「あ……あの……申し送れました……ワタシサポートセンターの石黒と申しますが……アナタは?」
「アナタは?」
多分絶対、石黒と名乗ったのは……ワタシの名前を聞き出す為の呼び水でしょう。
会話の流れとして、名乗られたらコチラも名乗らないわけにはいきませんから。
ですが詐欺夫が正直に本名を名乗るでしょうか?
これも多分絶対ありえません。
「はいはい石黒さんね。」
心の中で呟きながら……とりあえずメモにしておきます。
(と……相手は名乗りましたが、ココまで書いて「詐」から「石」に変更するのも
面倒なので文章は「詐」で行きます。)
タ 「山田と申します。」
せっかくなので、実に無警戒に答えてあげます。
詐欺夫は、きっと『しめたっ!』と内心思っているでしょう。
詐 「失礼ですが……下の名前は?」
図々しくも下の名前まで聞いてきました。
タ 「タロウと申します……。」
詐 「山田太郎さんと………………………………………………。」
その一言の後……空気が一瞬止まり……そして詐欺夫は……
詐 「山田さん……それ本当の名前ですか?」
と突っ込んで来やがりました。
しまったっ!!
いくらキャラ設定を「山田タロウ」にしたからといっても……名前まで流用する事は無かったっ!!
「山田タロウ」「山田太郎」……誰がどう聞いてもベタベタ過ぎる名前じゃないかっ!!
「りそな太郎」や「郵便太郎」は更にその上手を行くが……山田太郎も充分にニミッツ級じゃないかっ!!
どうするっ!?
一旦謝って、仕切り直しとするか?
でもそうしたら今まで演じた演技すら疑われかねない……さぁどうす……
そう頭の前頭葉が考えていたその時……側頭葉は……
タ 「そうなんですよ……よく言われるんですよ……すっごいベタベタの名前ですよね……ハハハ……。」
と答え……
タ 「実は生まれた時は大橋太郎って名前だったんですけどね……まぁそれでも太郎って
名前ってだけでもベタベタですよね……ハハ……。」
と卑屈な笑いを交えながら続け……更に……
タ 「ボク……三男で……婿養子に入りましてね……惚れた女房がたまたま『山田』だったんですよ
いやぁ~その時はホントに悩みましたよ……山田太郎なんてホントにベタベタでしょ……。」
なんて結びます。
もうね……嘘八百(はっぴゃく)どころか嘘八百万(やおよろず)ですよ。
どっちが詐欺師かわかんないくらいの勢いですよ。
ついでに……
タ 「しかも結婚してからこっち……嫁さんったら……………。」
と……尻に敷かれ具合(実話)を懇々と聞かせてやりますと……
詐 「ああ……もういいです……すいません……失礼な聞き方をして……。」
と……話題を元に戻し……そして……
詐 「えーすいません……山田さん……登録した時に出て来たと思うんですが……
お客様の登録内容のページの控えをお持ちですか?」
と……個人情報の引っ張り出しに掛かりやがりました。
一難去って又一難……。
「いや~そのページの内容はマイドキュメントに保存してますよ」なんてやっちまったら、
パソコンの事をある程度知ってる事になっちゃいます。
それは出来ない……。
だってさっき「メールすら打てない」って言っちゃいましたから。
じゃあ……「メモに取りました」ってのはどうでしょう?
コレも少々不恰好ですが、用意周到過ぎます。
なにせ対象ページには「この情報を保存して置いてください」の一文も無いのですから……。
ならば……
タ 「すいません……忘れてしまいました……。
どうすればいいですかね?」
ビクビクしながら、あくまでも素人を演じる事にします。
詐 「……………。」
小さな沈黙の後……
詐 「困ったなー。」
と独り言を呟く詐欺夫。
せっかくなので……
タ 「どうにかしてくださいよー。」
と更に泣きついてみます。
詐 「じゃあどうすっかなー。」
詐欺夫……更に独り言を聞こえるように呟きます。
ところで……「どうすっかなー」ってワタシはアンタのツレですか?
詐 「じゃあ履歴から洗ってみましょうか……インターネットを開けますか?」
タ 「あ……はい……。」
全くもって120%シロートに説明するかの如く、昨日の履歴の検索方法を説明する詐欺夫。
左手でハナクソほじりながらも、時々わざとらしく聞き直しながら説明通りの手順を踏む山田。
詐 「ではその『マック会員ページ』ってのを開いて見てくれますか?」
えーっと……その手順を踏むのであれば、もう一度会員登録するハメになり兼ねませんけど?
またもツッコミドコロ満載なのですが……
そんな事は露も知らない振りして言われたとおりにダーンとクリック。
「ピピピピピピ……」と出たトコロで、わざとらしく……
タ 「わわわ。」
と驚いてやります。
詐 「どうです?昨日と同じ画面が出ました?」
タ 「ええ……出ました……。」
驚き演技でさらに返答すると……
詐 「では今から言う欄を読み上げて頂けますか?」
実に図々しく聞き込んで来やがりました。
今度は呼び水すらありません。
せっかくなので……
タ 「えっと……個人情報ってのは、お宅の会員登録名簿に載っているんじゃないんですか?
山田太郎で調べてもらえれば……出てくるんじゃないんですか?」
と軽く疑いのジャブを入れてみます。
すると……
詐 「ええ……ですから登録内容を確認する為にも、山田さんの
パソコンから見た情報と……当社の情報が………。」
実にもっともらしく「キャッシュ」だとか「クッキー」だとかって単語を交えて講釈を垂れます。
もう……コッチとしては、左手でハナクソほじってるレベルじゃありません。
左手人差し指と中指で、ダブルでハナクソほじっても有り余りまる勢いの講釈です。
タ 「ああ……すいません……判りました。」
適当に詐欺夫が講釈に満喫した辺りで打ち切ってみます。
タ 「で……何を最初に読み上げればいいですか?」
そう言うと……
詐 「じゃ……IPアドレスって項目を読んで頂けます?」
即要求。
タ 「えっと……222.146.128.0ですが……。」
すると……
詐 「ちょっと待ってくださいねー。」
詐 「……………。」
詐 「…………。」
詐 「………。」
詐 「お使いのプロバイダーはOCNですねー。
東京の丸の内だって出ますねー。」
だと。
そしてついでに……
詐 「ああ……確かにプロバイダー使用者名に『山田太郎』って出ていますねー。」
と……。
タ 「……………。」
嘘おっしゃいっ!!!
懸命な読者様の方々ならばお気づきと思いますが……山田タロウは東京在住じゃございませんっ!!
カツヲ市在住ですっ!!
じゃあさっきの222.146.128.0は誰のIPアドレスかって?
うちのブログの画像認証を攻略する為に……わざわざ手打ちでエロ系誘導CMコメントを書いてくれた
マック運営局様のIPアドレスですけどっ!!
(ちなみに昨日の登録完了画像 のIPアドレスは、このマック運営局のモノに書き換えたものです。)
そんな事には気づく様子もなく詐欺夫君……
詐 「それにね……山田さんアナタ……このサイトの閲覧回数見ると……
既に3桁手前ギリギリになってますよ……。」
などと調子に乗って「ありゃーこりゃ大変ですね」って感じでのたまいます。
そりゃそうでしょ……。
もう一回少々くどいですが言わせて頂きます……。
だってそれはアナタのIPアドレスなんですからっ!!
これらの事情が素早く調べられるって事は……どうやら電話の向こうでWEB用の解析ツール……
FC2とか、うちが使ってるNINJA-TOOLみたいなモノを駆使ししている様子です。
せっかく詐欺夫君が、調子に乗っているので……
タ 「えーっと……その今、運営局さんが確認されている画面には……
使用者名:山田太郎とIPアドレスと閲覧回数が表示されてるんですか?」
って聞いてみました。
すると……
詐 「ええ……しっかり出てますよ。
プロバイダーのOCNの契約者名の欄に山田太郎って出ていますよ。」
と自信満々でご回答。
ないないっ!!
契約者名:山田タロウはありえないっ!!
山田タロウはペンネームっ!!
いくら最近、書籍やらマンガやらで「山田タロウ」の活動範囲が増えたとはいえ……
契約書にサインする時は「本名タロウ」ですからっ!!
確かにIPアドレスで生ログ検索掛ければ、同一ホストからの閲覧回数は表示されますけど……
使用者名が表示される解析ツールなんて聞いた事も見た事も触った事もないですよ。
そんな事できたら……日本はもっと悪徳請求詐欺が跋扈してるっ!!
だいたいそのIPアドレスは……………あっ!!そうかっ!!
詐欺夫の会社(詐欺集団)の社長の名前が偶然にも「山田タロウ」なのかっ!!
プププ。
独り笑いを堪えるのに必死で耐えていると……詐欺夫……。
詐 「……しかしこれだけの閲覧回数ですとねぇ………。」
と……やるせない雰囲気全開で切り出し……
詐 「たまたまウッカリ『見ちゃった』って事で退会処理するには無理がありますよねー。」
と追い討ちを掛けて不安を煽ってきました。
ココは一つ不安になった演技をした方が良いようです。
タ 「じゃあえっと……どうするのが良いんでしょうかね?」
もう逃げ場の無い……パソコン知識の乏しいスケベな子羊が
問い返しそうな、理想的な返答で探ってみます。
すると……
詐 「そうですね―――――。やはりココはおとなしく……初回料金の49000円を
今すぐにでも振り込んだ方が良いですねー。」
親切な電話サポーターが一転……金の亡者になりやがりました。
タ 「えっ……でも49000円って……結構な額じゃないですか……
そうすぐに振り込めって言われても……。」
遮るように詐欺夫……
詐 「でも初回特別料金は、2日間だけですんでね―――。
それを超えると正規の90000円になっちゃいますよ。
それが今なら半額ちょっとで終わるでしょ―――。」
「今なら半額」
絶妙にお得感を煽ります。
タ 「でも石黒さん……49000円も90000円も、ムコ養子のボクにとっては
どっちも『死ね』って言ってるような金額ですよ。」
せっかくなので「ムコ養子」の設定を生かしてみます。
タ 「もうね……絶対女房に殺されますよ……。
ホント石黒さん……『10階から飛び降りて死ぬ』か『20階から飛び降りて死ぬ』かの
違いのようなもんですよ……。」
詐 「プっっっ……。山田さん……面白い事言いますねー。」
詐欺夫に褒められてしまいました。
詐 「いやね……うちとしましては、別に1週間悩んだあとに90000円払って貰っても
一向に構わないんですよ。というか、会社としてはコチラの方がありがたいですけど……。」
……明るく元気にニコニコ本性むき出しで請求しやがります。
タ 「いやぁ……………ですからね………もう少し値段の方を何とかならないもの……。」
詐 「ダメですね―――。」
ニコヤカにダメ出しする詐欺夫。
詐 「さっきも言ったじゃないですか山田さん……。
これだけ閲覧回数があるとね、値引きとかディスカウントの問題じゃないんですよ―――。」
どうやら49000円からは、一歩も引くつもりが無いらしいです。
ちなみにコッチはノッケから、1円すら払うつもりもありませんけど。
2~3分……どうにもならない(どうでもいい)値引き交渉を続けた後………
タ 「ちなみにですね……このまま払わずにばっくれたらどうなるんですか?」
と煽ってみました。
すると詐欺夫は……
詐 「ああ……いいですよ……ばっくれても。」
とすんなり了承しつつ……
詐 「ただですね……期限内にお支払い頂けないと……サイトの注意書きにもあるように、
正規の料金の他に、延滞金と特別調査料等が加算された上、ハガキ・文書等で、
ご自宅や勤務先に督促状が届きますよ。」
脅してきやがりました。
タ 「えっ!!このページの注意書きにあるような……Hなハガキですかっ!?」
詐 「ええ……督促状は、そういう仕様になってますねーうちは……。」
さらにニコヤカに脅してきやがりました。
タ 「えっ!!いやぁ……参るなぁ……
そりゃ参るなぁ……ホントに参るなぁ……。」
今にもナタで、首根っこを掻っ切られそうになってるエロ羊の悲鳴にも似た声色……返答……。
いやね……ぶっちゃけ最初は「最後まで演じ切れるのか?」なんて思っていましたが……
ココまで来ると、山田の演技も堂に入ってきまして、無意識化で素直に言葉が出てくるんですよ……。
怖いですね。
人間って。
タ 「とっ……ところでその……特別調査料ってのは……なんなんですか?」
詐 「ああ……調査料ですか?……それはですね―――山田さんの住所の
割り出しに掛かる費用の事なんですよ―――。」
と説明開始。
詐 「例えばですねー。今山田さんが電話掛けてきてる電話番号……090-3456-3456を
当社独自のシステムの入ったパソコンで検索しますとね―――
ホラ……契約者:山田太郎って出るんですよ―――。」
いや絶対出ませんって!!!
名簿なんてモノは、昨今裏では随分出回ってるでしょうけど……
例えそれらの情報を一括で入力したデータベースがあったとしても……
090-3456-3456から山田太郎は出ませんって!!
もし万が一出るとしても……使用者:クマ不動産設計とか出ますって!!
詐 「ただね……ケータイ番号やIPアドレスから、使用者を割り出すことが出来てもね……
そこから住所を割り出すのは、なかなか手間が掛かるんですよ―――。」
タ 「はぁ……そういうもんなんですか?」
詐 「うちはそういったブラックのお客さんは、別会社に債権共々発注・依頼しちゃいますからねー。
ですから余計に費用が掛かってきちゃうんですよー。」
90000円より高くなる事を、必死に印象付けようとする詐欺夫。
タ 「ちなみに特別調査料ってのは幾らくらいになるんですか?」
ビビる演技も忘れずに……興味本位で聞いてみます。
詐 「そうですね―――まぁケースによりまちまちですけど……20万くらい掛かっちゃいますね―――。
ですから山田さんのトコロにハガキが着いた時点では
正規料金等合算して30万くらいですかね―――。」
30万……。
臆面も出さず……図々しいほど膨れ上がった金額を申し上げやがります。
タ 「いやーっ!!そんな額になったら……それこそホントにヤバいですよっ!!
ホントにホントにヤバいですよっ!!!」
詐 「でしょ――10階20階どころか50階くらいになっちゃうでしょ―――。」
詐欺夫。
どうやらワタシの「飛び降りネタ」がお気に入ったようです。
タ 「そうですよ……シャレになりませんって……ホントに……。」
詐 「ですからね―――さっきから申し上げてるでしょ……
ココは素直に直ぐに49000円払うのが、一番お得ですって。」
一番安い49000円!!
今ならお得な49000円!!
脱線しつつも請求するのは忘れません。
そろそろ金額ネタも飽きてきたので……ちょっと別の話題に振ってみます。
タ 「ところでですね……石黒さん……。」
詐 「はい?」
タ 「イロイロとお話をお聞きしましたけどね……どうにも腑に落ちない点があるんですよ。」
詐 「なんですか?」
タ 「登録の事なんですよ……登録の……。」
詐 「え―――どんな事ですか?」
最初は「入退会の窓口は別」なんて言ってましたが……いつのまにやら聞く体制の詐欺夫。
きっとこのまま丸め込めば、少なくとも49000円はゲットできると思ってるんでしょう。
タ 「確かにね……注意書きにも利用規約にも『180日間で90000円の
利用料金が発生します』って内容が書かれてますよ。
でもね……普通そういういのって、会員になる人が、自分で名前やら電話場号を登録して……
初めて入会ってなるもんじゃないんですか?」
根本に戻って、ど真ん中に投げ込んでみました。
詐 「いえいえいえいえ山田さん……そんな話にはならないでしょ……。
だいたい山田さん、3桁近くうちのページを利用してるんですよ。」
タ 「はぁ……。」
(ホントはうちのデータじゃないんだけどね)
詐 「それにね……利用規約と注意事項は、ページ内の見やすいトコロにリンクとして明示してあるでしょ?」
タ 「はぁ……。」
(ものすごく細かい字でびっしりと書かれていましたが……。)
詐 「それを読むか読まないかは、お客さん……山田さん側の勝手なんですよっ!!
コチラとしては明示してある以上、読んだものという前提の元でお話する権利があるんですっ!!」
タ 「はぁ……。」
詐 「例えば電化製品の説明書っ!!『使う前に読んで下さい』って項目があるでしょっ!!
それを読まずに間違った使い方をして機械が壊れたら、メーカーは修理してくれますか?」
タ 「あ……いや……。」
まぁこの点についてはごもっともであります。
詐 「要するに利用規約だって同じ事ですよっ!!読まなかったのは山田さんの勝手っ!!
読まなかったのは山田さんの落ち度っ!!大人としての責任と自覚を持ってくださいよっ!!」
……小僧が……このワタシに「大人」を説くか……。
まぁいいでしょう。
せっかくなのでもうちょっとイジる事にしました。
タ 「でも石黒さん……普通は自らの意志を持って……自らの責任を持って……
入会時に個人情報を入力するでしょ?
それが1~2回クリックしただけで登録されちゃうってのは………。」
詐 「いいですか山田さんっ!!今日日のインターネットは日々進歩してるんですよっ!!
クリックしただけで個人情報が登録される事も、規約には明記していますよっ!!」
タ 「はぁ……。」
詐 「要するに面倒な入力の手間をインターネットの進歩で、クリックのみに簡略化してるだけの話でしょ。
『クリックしただけ』だからって、アナタが自ら登録した事には変わりありませんからっ!!」
タ 「はぁ……。」
詐 「で……どうするんですか?山田さん?払うんですか払わないんですか?
今なら49000円で済みますけど……未払いになったら30万くらいの督促状が届きますよっ!!
アナタの個人情報はしっかりコチラは抑えてますし、アナタに請求する法的根拠もありますからっ!!」
ほ――――――――。
しっかり抑えた個人情報に法的根拠ですか……。
詐 「もういいですよ山田さんっ!!このまま未払いで督促状受け取って下さいっ!!
そうすれば『あの時払っておけば良かったな』って後から後悔するでしょうからっ!!」
最初と比べると、随分態度が変わってきました。
詐 「もういいですねっ!!山田さんっ!!電話切りますよっ!!
どうぞ後悔して下さいねっ!!」
どうやら突き放し作戦のようです。
せっかくですので向こうの予定通り……
タ 「ちょっと待って下さいよっ!!すいませんっ!!払いますっ!!払いますからっ!!」
と泣きつく事にしてみました。
詐 「……………。」
タ 「……………。」
詐 「……………。」
タ 「……………。」
しばらくの沈黙の後……
詐 「わかればいいんですよ。」
と……ツンデレ詐欺夫君。
そして電話の向こうは「今すぐ振り込んで来い」しか言ってくれなさそうな雰囲気を醸し出してます。
さて……石黒君……じゃなかった詐欺夫君……じゃなかった石黒……もうどっちでもいいや。
キミをイジってもこれ以上面白いモノは出てこないような気がしてきました。
なのでそろそろ山田の逆襲と参りましょうか。
後編に続く