あるお客さんの話 | 【続】ネコ裁判  「隣のネコも訴えられました。」

あるお客さんの話

そのお客は昼前の11時ちょっと前にやって来た。


平日のオフィス街には似つかわしくないラフな格好。

少し延びた無精ヒゲ。

歳は40前後だろうか。


注文は鯖の塩焼きとビール。


以上。


とりあえず仮名を鯖山さんと付けよう。




12時ちょっと前。

店は早めのサラリーマンで混み出す。


銀行などの店舗を開けつつ昼休みを取る会社は交代制で昼休みとなるので、11時半頃からが昼休みだ。


鯖山さん、店の本棚から週刊のマンガ雑誌を5冊ほど山積みにして読書。




12時ちょっと過ぎ。

この時間になると店はテンヤワンヤ。


相席も当たり前の状態となる。

鯖山さん「相席お願いします」と言われて無愛想に机の上に置いた山積みのマンガ雑誌を

ほんの少しずらす。




12時半。

遅い昼休みのサラリーマンと通常のサラリーマンの入れ替わりタイム。


サゲモノと新規のお客さんの注文で、更にテンヤワンヤは最高潮に……。


鯖山さんマンガ雑誌を2冊棚に戻し、更に3冊確保。

他のサラリーマンが「あのマンガ読みたいのに……」的な眼差しで大注目。

店の混雑もサラリーマンの視線も素知らぬ顔。




1時。

ちょっと店が落ち着いてくる。

遅めの昼休みサラリーマンがチラホラ……。


鯖山さんマンガ雑誌を全部棚に戻して、コミックに走る。


ちなみにここまで追加注文無し。

鯖の塩焼きとビール。

しめて730円也。




2時。

店には鯖山さん一人。


気に入ったのかコミック「バカボンド」を机の上に22冊山積みにして読書タイム。


さすがのワタシもビックリする。




3時。

この時点で来店から4時間ちょっと。

バカボンドは14巻目あたり。


「お水下さい」と言われて……ヨシコもユミコも呆れ顔。

水を持って行った際に、灰皿も交換してみる。




3時半。

バカボンド17巻目あたり。


念の為に言っておくが、注文は最初の鯖の塩焼きとビールのみ。


ヨシコついにキレて……


「すいません……そろそろ昼の中休みに入りたいんですけど……。」

(本当は、うちの店「昼の中休み」は無いんですけどね……)


と満面の笑みで追い返しの最終兵器アナウンスをする。




そしたら……













「ボクここでマンガ読んでますからどうぞ。」


……だって…………。







参りました。


ついでに寄り道「一年前の今日」

本筋に戻ります……「ある寒い日」