猫木の変な挑戦『いろんな敦賀さんを書いてみよう。』
困惑混沌の朝。から派生する続きのひとつペナルティーの俺。の続きとなっております。


なんか、無駄にだらだらと長くなっております。
ごめんなさい。(o*。_。)oペコッ


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こじんまりとしたベッドの真っ白なシーツの上。
ベッドサイドには、私に接続されてもいないくせに規則的に電子音で心音反応を知らしめる機器と点滴のチューブのぶら下がったスタンド。
恐ろしく肌触りのよいもふもふな毛布にぐるんぐるんに巻かれて身動きさえし辛い私の見上げた先には豪奢なクリスタルのシャンデリアが煌々と明かりを灯していた。
もう何がなんだかさっぱりわからない……
思考を現実逃避させるように煌びやかな装飾満載な天井から逸らしたベッドサイドの先には、この部屋にそぐわないいっそ笑えるほどチープな書き割りのセットの白壁と窓がひとつ。ご丁寧な事に窓の外には、煉瓦の壁に絡まる朽ち果てた蔓と色褪せた蔓の葉が1枚。
もうなにがなんだか??
「キョーコ、気分が悪い?頭痛い?」
敢えて……敢えて見ないように、視界に入らないようにしていた窓のセットと反対側から低い声が掛けられると同時に、私のおデコにぴとりと大きな手が伸びる。ついさっき、この部屋に飛び込んでいらした方のひんやりとした手。名前まで呼ばれてしまってるのに、いつまでもその存在から目を背けていられる訳もないとそちらへと首を向けると……
「……大丈夫?お水、飲む?冷◯ピタ貼ろうか?」
ベッドの横のスツールに座って、しゅーんと眉を落とし心配気に私を覗き込む敦賀さん。
その腕には氷と薄切りのレモンの浮かんだピッチャーに発熱時の味方な冷◯ピタにエチケット袋からお見舞いような果物籠、果てには何故かテディベアなぬいぐるみまで抱えこんでらっしゃる。
らしくなくオロオロと落ち着きなく挙動不審なのは、まぁ良い…いや、良くはないが。そこはこの際、置いておいて……
そろりと目線を下げると、神が創りたもうた芸術品のようなボディーバランスとしなやかに鍛えられていた筈の腹筋が肉体美を誇っていた筈の敦賀さんの腹部は……
妖精DNAが秘められてるとは言え、分類学上はおそらく哺乳類サル目ヒト科ヒト属に所属するホモ・サピエンスでxy染色体をお持ちな男性の筈なのに……まんまると柔らかなカーブを描いて見事にぷくりと膨らんでいらした。
パチパチと瞬きを繰り返し、そこを凝視する私のその視線に……少し恥ずかし気に頬をうっすらと染めた敦賀さんは愛おし気にその膨らんだお腹を撫でていた。
えーーーーーと、私、いったいどうすれば??






はじまりは、もう今朝の目覚めから何から全てがおかしかった気さえする。
朝、起きてから気が付いたその事実。
はっきりと言い切れてしまえる程の確信は持てないが、たぶんおそらく、うっすらと脳裏に焼きついたような破廉恥な記憶から推測するに……
昨日の夜、避妊していただいてない。
その事に思い至って、頭から血の気が一気に引いたように思えた。
えと、そうだ、こんな時は……
腐っても芸能界なんて世界で生きて来た私、ちらりと耳にした事がある。そう、万一の時のその対処法とリミットタイム。
え、でも、あれってどこで処方してもらうの?などと考えながらベッドから抜け出そうとした私の身体に、しゅるりと巻き付いた腕。
「ダメだよ、逃さない……」
耳もと至近距離に囁かれた低い声。
くるりと視界が周って背中がシーツに沈む。見上げた先には
「まだ全然抱き足りない。せっかくなんだから夢でくらい堪能させてよ?」
そう言って、見せ付けるみたいに自分の唇に舌を這わせる……夜の帝王様が。
夢……??夢じゃ、ありませんよ?って…え…いや、ちょっ!?お待ちくださっ!?……な…ななな何をなさって……ひゃ!そんなとこ触らないでくださいっ!!って…んっ!…ゃ、な、舐めないで!吸わないで!起きて!止まってください!!とりあえず、離して!?
「だっ……駄目なんですっ!!わ、私!映画!!映画の主演決まってるんですぅぅぅーーー!!」
覆い被さる胸を押して、不埒な動きをする手を止めようともがく。
来月にはキャストの発表、それと撮影がはじまる予定の私のお仕事。『TRAGIC MARKER』を撮ったあの近衛監督が直々に私にとご指名してくださった映画の主演。
「知ってる、『クレパラ』でしょ。最上さんの相手役は俺がやりたいって言ったのに、社さんにヤクザの組頭は兎も角、お前に中学生役は絶対に無理だって断言された……」
ぶちぶちと何故か大変不服そうに敦賀さんがそうこぼす。
そう、『東京クレイジーパラダイス』、略して『クレパラ』な主役の司は、訳あってヤクザの3代目のボディーガードを務める男装の女の子。
ハードなアクション満載な予定のそれ、もちろん可能な限りアクションだって自分で演じるつもり……なのですからっ!!
「サラシから胸チラぽろりがあるとかって聞いた…………俺のなのに。」
やっ!ちょっ!!お、俺の??な、なにを揉んでらっしゃるんですかぁーー!?
「いけません!!わ……私、いち早く、ピルを!!アフターピルをですね…」
そう必死で、もう泣く勢いでジタジタともがいて訴えるのに……
「夢だから大丈夫だよ?」
あぁ、もうっ!!いい加減、目を覚ましてくださいぃぃぃーー!!



散々に、懇願して抵抗して足掻いて踠いて拝み倒して泣き落としてなんとか脱出したベッド。
その後も産婦人科に行くなら付き添うだとか、いまいち覚醒してらっしゃるんだかわからない言動なお方が絡みついて離れやしないから巻き付けたまんまでSOSと助けを求めた先。
バラライカを奏でる楽団を従え、今にもウオッカをあおりながらコサックダンスでも踊りそうな出で立ちの事務所社長は、彼にペナルティーをと…………そして、私には


「最上くん、君には……ミッションを与えよう。」


にやりと笑って、そう告げた。




隠しきれぬキャピキャピぐふふな空気をした社さんが敦賀さんを引きずって行った後、無事に処方して貰えたそれを飲むと私もスケジュール通りにだるく軋む体をごまかしながらなんとか仕事をこなして……
それから、半信半疑訳もわからぬまま言われるがままにそのミッションをこなしにここへとやって来て……
そして、今に至る訳です。




「……キョーコ、大丈夫?移動できそう?」
きゅーんきゅーんと、あの鼻を鳴らす仔犬な顔をした敦賀さんがそう聞いてくる。
えと?たぶん、いまだに課せられたミッションを遂行中?な私はどうすれば??
ぐるぐるに巻かれた毛布の中、戸惑う私を置き去りに
「敦賀様、ご帰宅されるのでしたらそちら回収させていただきます。」
すっと音もなく近付いていたセバスチャン(仮名)さんが、そう敦賀さんへ手を差し伸べて言う。
あぁ。と、頷いた敦賀さんはジャケットを脱ぐと何ヶ所かのアジャスターを外して、いい予行体験が出来ましたなんて言いながらその身体に張り付いていたそれを剥がす。敦賀さんの腹部から離れたぷくりと膨らんだボディースーツ。
妊婦役をする時や妊娠なさった奥さんへのケアを学ぶ父親教室なんかに使われている7キロほどの重さの、妊娠体験ジャケットスーツ。
「なるべく揺らさないように運転するけど気分が悪くなったりしたらすぐに言ってね?」
とろけるみたいな神々スマイルで私の体をベッドからその腕へ横抱きに抱き上げたりなんてなさる敦賀さん。
へ……え?え?あの?
ロシアンな姿の事務所社長から私に課せらたミッション、吐き気、腹部の痛み違和感、倦怠感、頭痛、不正子宮出血、生理サイクルの乱れ…等々、そんな症状を演じていろとの、よくわからないそれで。
……えと、私はどうすれば??いつまでいまいち原因不明な体調不良の演技を続ければ……??
縋るようにその意味不明なままのミッションを課した社長へと視線を泳がせると……
「…………れぇぇーん。」
肩に乗せたクロテンと戯れながら揶揄うように社長が敦賀さんを呼んだ。
社長!助けてくれるんですね!!と、このままだとこのよくわからぬご様子な敦賀さんにさらわれそうな身の上にいる私の淡い期待は
「同じ事やらかしやがったら……次のペナルティーは、そうだなお前の両親やだるま屋のご両人まで参加してもらうからな?」
「……それは、恐ろしいですね。大丈夫ですよ、家族計画はちゃんとキョーコとしっかり話し合って決めますから。」
なんて、わけのわからない会話に裏切られたまま…………




「キョーコが『例え夢でも、お仕事をないがしろにするなんて私の好きな敦賀さんじゃありません。』って言ってくれたから、俺もちゃんと仕事をがんばってきたよ?
さぁ、うちに帰ろう。」



なんてウキウキとおっしゃる敦賀さんの腕の中ぐるぐるに毛布に巻かれままで、即席病室セットな空間を内容した摩訶不思議な社長室から運び出されてしまっていた。





社長からこの時のそれがラブミー部の私へのラストミッションだったなんて楽しげに聞かされたのは……
逃げ道もなくそのまますっかりうかうかと私が彼に捕獲されきった後での話。





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敦賀さんのぷっくりお腹、着脱式。笑



まじーん様からいただきましたネタ。↓

キョコさん宅で目覚めた蓮さん良い夢だ!と、朝からまた夢を満喫する気満々が、キョコさんは昨日、避妊してもらっていないことに気づき「いますぐアフターピルプリーズ」状態で焦っているのに、それを無視して「夢だからそんなの気にしない」でキョコさんを襲う蓮さん。キョコさんも売れっ子なので、妊娠で仕事キャンセルなんて当然出来る筈もなく、数時間後、ピル入手のために社長宅に駆け込む羽目に。皆に色々バレて、家族計画は計画的にとか色々言われまくる蓮さんのお話??てきな・・・・」

から、ねりねりぽちぽちと作ってみたものとなっております。


まじーん様、毎度ネタをありがとうございまーす☆
アリガトビーム!!(ノ・_・)━━━━━━\☆(・_\)白刃取り


みんなからいろいろ注意お小言もらってる筈なのに、頭に花咲き浮かれ真っ最中な蓮さんとわけわかんないまんま流されちゃったキョコさん……みたいな?
どさくさに紛れつつ、ちゃっかりキョーコ呼び。
ァ,、'`( ꒪Д꒪),、'`'`,、
あ、キョコさんの体調不良は蓮くんに反省を促すためもあってのピルの副作用な設定です。おうちに連れて帰って甲斐甲斐しくお世話なさるかと。


いやぁ、社長便利だわー。なんでもありだもん。
ロリィさんこそ、デウス・エクス・マキナだと思うんですよ。
('-'*)(,_,*)('-'*)(,_,*) ウンウン



では、いただいたネタはなんとか形に致しました故、このシリーズはまたネタが浮かぶか飛び込んで来るかするまで停滞いたしまする。
ヾノ。ÒㅅÓ)ノシ

↓拍手のキリ番っぽいのを叩いちゃった方は、なにやらリクエストしていただくと猫木が大喜利的にぽちぽちと何か書くやもしれませぬ。


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