前にぽちぽちと作りましたお話びぃーじぇい・ばんく。に、何故かオカワリ的に続きを強請るカイン丸がちょろりと現れまして………
なんとなーく、その後的なものを書いてはみたものなんですが………


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お願いだっ!待ってくれ!!


頼むからっ!誰かこの俺を取り囲み沈めようとする恐ろしい闇を、嘘だと言ってくれ!!
遥か彼方、確かにそこにあったあたたかな涙が出るほどの幸福が遠去かり、虚しく伸ばした俺の手だけが残された視界が真っ暗に塗り潰されていく。


何時ものように背筋のピンと伸びた凛とした立ち姿。儚げな肩からすんなりと自然に降ろされた手は身体の前で指先まで綺麗に伸ばされ重ねられていた。
すぅっと細くなる紅茶色の大きな瞳、ピンク色のかわいらしい唇に浮かぶ薄い笑み。
絵に描いたようような、マナーの教本にお手本としてそのまま載せてしまえそうな………中居立ちとスマイル。
彼女の静かなる本気の『怒り』にじたりと嫌な汗が背中に滲む。



それは、今日の仕事も残すところあと2つと言った夕方に掛かる時間、立ち寄った所属事務所の片隅での束の間の休息を取っていた時の事だった。
『蓮、お前なぁ………嫉妬深いのもいい加減にしろよ?』
自販機で買った缶コーヒーを片手に、俺で遊ぶ気配を覗かせた自称お兄ちゃんなマネージャーにそう苦言を零された。
社さんだって知ってるでしょう?
俺がどれ程の忍耐と努力を重ねに重ねて煮詰まりに煮詰まって、やっとようやっとあの恋愛拒絶曲解思考の愛しいラスボスを手に入れたのかをっ!
やっと俺のものになってくれた愛しい愛しい大切な宝物。それがあんな無防備全開なんだから、心配してちょっと嫉妬するくらいしょうがないじゃないですか!!
なんて思いを目に乗せつつ無言を通してしまっていた。
『そりゃ、お前の気持ちも少しはわかるけどさぁ……キョーコちゃんあんな怯えちゃって、かわいそうだろ?それに、俺だって罪悪感に苛まれて胃が痛むんだよ!お前がキョーコちゃんを捕まえたってのがバレてないって思っちゃってるキョーコちゃん見てるとさー。お前、ちゃっかりと暴露しちゃってるってのになぁ。』
俺は……止めなければいけなかったんだ。
社さんのその言葉を。
何をしても………そう、もういっそのこと社さんの脇腹あたりに一撃でも叩き込んで意識から刈り取ってやれば良かったのかもしれない………




『ふぅぅぅん?そう……だったんですか?』
鈴のなるような声。何時もならいつまでも聞いていたいとか、寝室でしか聞かせてくれないもっとかわいいあの濡れたみたいな啼き声にさせてしまいたいと思ってしまう、愛しい彼女の声が………酷く、恐い。
『おかしいと思ってたんですよ。緒方監督が社さんバリにきゃぴきゃぴしてたのも、新開監督がニヤリ笑顔無言で肩叩いてくれたのも、百瀬さんがおめでとうねって言い逃げしたのも、貴島さんが私なんかに色っぽくなったなんて言っていたのも………全部、敦賀さんが親譲りに滔々と語ってバラした結果だったんですね?』
嫌、あのハリウッドスターみたいにキョーコちゃん自慢オンステージとかしてないからっ!!前々から俺の気持ちがバレちゃっていた面子に軽く匂わせてわかってもらった程度だから!!
『っ!!違っ…』
必死に紡ごうとした否定の言葉は、にっこりと笑う彼女に容赦なく遮られた。
『敦賀さんと私は先輩と後輩ですけど、コーンと私は恋人で対等だって……言ってくださいましたよね?だったら、片方にだけ存在するなんて不公平はありませんよね………ばんく制度。』
完璧な中居立ちだった彼女のその手がゆっくり動き、俺にはっきりとシグナルを送ってくる。
立てられた人差し指が一本、俺の愛しいキョーコちゃんの唇にそっと触れていた。
静かなる凶々しさを滲ませ、まるであの悪鬼羅刹のごとく凶悪だったにたりと笑う美緒スマイルを浮かべたその唇に。
『もちろん………私の『お願い』も聞いてくださいますよね?』
彼女の怒りを解きたくて、愚直にコクコクと大きく頷いてみせる。
なのに……あぁ、キョーコちゃんは言った。
『一週間、『オアズケ』です。』
オアズケ?オアズケって!?
もしかしなくても、アレ?
やっと手に入れた夢にまで散々に見たキョーコちゃんとの甘い夜の愛の時間がなしって事!?それも、一週間も!?俺、死んじゃうよ??
『キョーコちゃ…』
『大丈夫、コーンが大人しく我慢出来るなんて思ってないから………だから、今日から一週間、モー子さんのお家にお泊りに行かせてもらいますから。』
そんなっ!!
今夜だって、4びぃーじぇい分甘えて強請って………
キョーコちゃんに膝に乗ってもらったり、キョーコちゃんから甘くキスしてもらったり、いっそ4つ分のお願いを纏めて頼み込んで新婚さんの憧れ裸エプロンとか見せてもらっちゃったりとか……いろいろ計画してた俺のこの願望はどうしたらっ!?
愛しいキョーコちゃんを抱き締めようと伸ばした腕はするりと躱されて。
『コーンのばぁーかっ!』
なんてキョーコちゃんはクルリと踵を返して脱兎の如く言い逃げて、走り去って行ってしまった。




残されたのは、虚しく手を伸ばしたまま硬直する俺と顔色をなくした社さん。
『………………あ、あの、蓮?ほ、ほんとぅに申し訳な』
『一週間後……俺とキョーコちゃんのスケジュール……』
ぶるぶると怯え震えながら謝ろうとする社さんの言葉を遮って、要望を低くボソリと零す。
『も…もも、もちろん、オフに出来るように調整させていただきますっ!!』




キョーコちゃんのいない一週間。
きっと、その一週間だって容赦なく俺に蓄積されるだろう嫉妬。



キョーコちゃん?
ばんくって事は、利息は当然、付くんだよね?



一週間後、覚悟しててね?




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蓮さんがいい思いをする、アホえろっぽいお家でのお話かと思いました?
残念、キョコさんの反撃でした。
( ´艸`)


この後、一週間後のことは、各自脳内妄想でお好きなように補完してね!!
続きとかないっす。
ないよ!カイン丸来てもないからね☆
 。。。。゛(ノ><)ノ 脱走!!


↓拍手のキリ番っぽいのを叩いちゃった方は、なにやらリクエストしていただくと猫木が大喜利的にぽちぽちと何か書くやもしれませぬ。


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