猫木の変な挑戦『いろんな敦賀さんを書いてみよう。』
困惑混沌の朝。から派生する続きのひとつ忘れえぬ私。の続きなっております。


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あなたが望むから私は答えたのに………なんで?
私は忘れないと決めた。それを隠して、あなたは忘れてくださいって。



彼は言った。
「いや、俺は絶対に忘れないし、なかったことなんかにはしないよ。」
あの有無を言わさぬ笑顔で
はっきりきっぱりと。




「………え?」
わけがわからない。だって、敦賀さんは昨日の夜をなかったことにしてほしいのよ……ね?
思わずにぽかーんとした間抜けな顔をしてしまったからなんだろう、敦賀さんが私を見て「ぶふっ」なんて噴き出して顔を横に逸らす……………肩を震わせて笑いを殺しているその姿に、なんかだんだん腹が立ってしまう。
「なんなんですか!?なかったことにしたいんでしょう?だったら敦賀さんは忘れてくださったらいいじゃないですか!?」
忘れてくれたらいいの………
どうせ、この隠れ遊び人なひとの………たくさんの数とたくさんの女のひとと過ごした夜の中、その中での間違いの一夜だもん。
私だけがひっそり抱えていけば、それでいいの。
なのに………
「………だから、嫌だってば。俺は絶対に忘れないよ、昨日のかわいい最上さんのこと。」
なんて言い切って彼は笑う。
「なかったことにしてもらいたいのは最上さんだけ………俺は絶対になかったことにはしないよ。」
そんな事を神々しく笑って言ったひとは、私の腕を取ると自分の首へと回させる。
裸のまま彼に抱きつくみたいにさせられてしまって、慌てて逃げようとする私を敦賀さんの強い腕がぎゅーと捕まえてしまう。
「こんなふうにね、俺にしがみついてかわいく泣いてくれた最上さんを、俺は絶対に忘れないよ。………だけど、最上さんの『はじめて』だよ?ちゃんとしっかり告白してお付き合いしてから、ムードとかシチュエーションとか全部理想を叶えて大事にやり直ししたいじゃないか?」
敦賀さんのなめらかな肌にくっ付けられて、あのセラピーないい香りに包まれて赤くなっているだろう私の顔を覗き込んでそんな事を低い声が告げる。



「こんな事を、あんな既成事実作った後に裸のまま言うのもどうかと思うけど………最上さん、君が好きです。俺と結婚を前提にお付き合いしてください。」



ちゅっと形の良い唇が惚けたみたいにポカンとしてしまっている私の鼻先に降ってくる。




「まぁ、ここで嫌だって言われても………昨日の夜にあんなに触れさせてくれて調子に乗ってしまってる俺は止まらないと思うけどね?」




あまりの急展開に混乱する私の目に映るのは、私には昨日の夜をなかったことにしろと言うくせに自分はその夜を頑として譲らないと言うひとのタチの悪そうな自信に満ちた笑顔だった。





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かわいかったから俺は忘れないけど、ちゃんとしたいから君はなかった事にして?って、どえらい自分勝手な蓮さん。笑


↓拍手コメントにてリマ様からいただきましたネタ

「お互いの気持ち確認して改めて付き合った状態から初めての夜をやり直したいがために、なかったことにしたい敦賀さんと、「なかったことにしたい」のをなかったことにしたくないキョーコちゃん」

より、ぽちぽちと書いてみたものとなります。
が、なんだこりゃ?(´Д` )



↓拍手のキリ番っぽいのを叩いちゃった方は、なにやらリクエストしていただくと猫木が大喜利的にぽちぽちと何か書くやもしれませぬ。


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