猫木の変な挑戦『いろんな敦賀さんを書いてみよう。』
困惑混沌の朝。から派生する続きのひとつとなっております。


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当たり前みたいにやって来てしまった朝、起きた時に隣にいたのは………真剣な顔で深く考え込む様子の敦賀さん。



彼は言ったの。
「ごめん、最上さん。昨日の夜のこと、なかったことに………してくれないかな?」
いつものやわらかな笑顔と
あの低い甘い声で………




目を覚ました私に気付いた敦賀さんは、少し困った感じに小さく笑った。
「おはよう、最上さん。」
そんな挨拶と一緒に近付いてくる秀麗な顔。
おでこにちゅっと落とされた唇。
そんな敦賀さんにどんな私でいればいいのかもわからないまま、熱くなる頬に真っ赤になってしまっているのがわかる。
「身体……大丈夫?」
そんな言葉と一緒に伸びてきた長い腕が私を敦賀さんの胸へと抱き寄せる。
昨日の夜を覚えてらっしゃるんだ………そんな事を考えながらも、とりあえずコクリと小さく頷くしか出来ない。
抱きしめてくれるあたたかい腕、あのいい香りのする広い胸、労わるみたいに優しく髪を撫でてくれるおおきな手………大事にされているみたいだなんて思ってしまっていた。
だけど………だけど、彼は言ったの。



昨日の夜をなかったことにしてくれって………



心臓がきゅうっと小さく小さくなってしまったみたいに痛い。
知っていた事なのに………敦賀さんには好きなひとがいるって。
私なんて色気も胸もないただ後輩となんて…………お酒の所為での間違いなんだから。



優しくて残酷なひと………こんな甘やかすみたいに優しくなんてしないで、どうせならもっと冷たく事務的に言ってくれたら良かったのに。
敦賀さんの胸にぺたりと押し付けられるみたいに張り付いたまま、滲みそうになる涙を隠したくて瞼を閉じた。
私と敦賀さんには何もなかった………其れなら、まだ近くに手のかかる後輩として置いてくれますか?



「わかりました………敦賀さんは、どうぞ忘れてください。」
 


震えそうになる喉から絞り出した掠れた声で、敦賀さんにそう答えた。



ごめんなさい。
私、なかった事になんて出来ません。
きっと………どうせ、私はこの先あんな夜を誰かと過ごしたりなんて出来ない。
あなたが私に触れた、最初で最後のひと。
ずっとずっと閉じ込めておきますから………地獄まで抱え込んで行こうと決めていた恋心。
連れて行くものがひとつ増えただけなの。



あなたが願うのに、私はなかった事にして忘れたり出来ない。
敦賀さんがなかった事にした夜は、私がひとりでひっそりと抱えて地獄まで秘めていく………それだけは、どうか許してください。




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腐の森から出たり入ったりと忙しいな、おい。
。(;°皿°)


あ、2話構成な予定だよー。たぶん。
次はどんなだろうね。←あいかわらず一文字も書いてやしねぇ。
(´Д` )


↓拍手のキリ番っぽいのを叩いちゃった方は、なにやらリクエストしていただくと猫木が大喜利的にぽちぽちと何か書くやもしれませぬ。


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