猫木の変な挑戦『いろんな敦賀さんを書いてみよう。』
困惑混沌の朝。reverseから派生する番外編的な続きのひとつとなっております。


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驚いた………だって、いつも大人で余裕で完璧なひとだと思ってたんだもん。



なんか……頭がぐわんぐわんする。
うっすらと浅い眠りの中でそんな事を思った時に、おでこにふわっと少し冷たいものが乗せられた。それが、おでこからほっぺたをすりっとなでて離れてしまった。
冷たくて気持ち良かったのにと不満で、瞼を開ければ、そこにいたのは………
狼狽える裸の偉大なる先輩。



「あつっ!……びょ、病院に!………」
オロオロわたわたとしていらっしゃる敦賀さん。
え?………なんて、ぼんやりしていると、にゅっと腕が伸びて来てそのまま身体が持ち上げられる。
え?え?!なんで、お姫様だっこなんでありましょうかぁぁ!?
私を抱き上げて、そのまんま寝室を出ようとなさる敦賀さん。
「あの!な、なにをなさって!?」
ずんずんと持ち運ばれてしまっている。
「キョーコちゃん、熱があるから!大丈夫、すぐ病院に連れて行ってあげるからね!」
キラーンと笑って言ってらっしゃいますけど!!私、シーツしか身に付けてませんし!あなたに至っては全裸でいらっしゃいますよ!?
っていうか、キョーコちゃん!?
「おっ落ち着いてくださいましっ!!こんな格好で!?」
着々と玄関が近付いてきていて、わたわたと焦って身を捩る。
「あ………駄目。こんな可愛いの、俺以外に見せられない!!」
はぁ?って、クルンと視界が回ってまた寝室まで逆戻りですか??
「キョーコちゃん、服どこ?」
「いえ、あの…病院とか、大丈夫ですから!!」
このどんな些細な事さえ大事になりかねないひとを止めないといけない気がひしひしとして、背中に汗が浮かぶよう。
未だに何故自分がよりによってこんな姿でこのひとの腕に持ち上げられてしまっているのかも、よくわからない。
「でも、キョーコちゃんこんな熱がある!」
「大丈夫です。こんなの微熱ですし、ちょっと………疲れが溜まっただけですから」
そう、ちょっと………身体が重くてあちこちがギシギシするみたいで怠いだけ。
「俺の…せい、だよね?ごめんね?嬉しくって手加減出来なかったから……」
そう言って私を覗き込むひとの………頭に犬耳が見える。きゅーんと鳴いてしまいそうな、あの捨て犬の顔をしてらっしゃる敦賀さんが………近い、近いですからぁぁ~!
「と、とりあえず、降ろしてくださいぃ!」
じたじたともがく。
耳も頬も熱くて、真っ赤になってしまってるんだろうと思うと逃げたくてしかたがないのに………
ワンコだったひとは「かわいい」だなんて、言ってぎゅぅぅっと離してやくれなかった。




なんとか、降ろしてもらったベッドの上。
嬉々として手伝おうとするひとと奮闘して自分で着たパジャマ。
ふかふかの枕と布団に包まれて寝かされた私と、お願いだから服を着てください、破廉恥です!!と、訴えてやっと服を着てくれた私のそばを離れやしないひと。
水分補給だ濡れタオルだ氷枕だと、細々と世話を焼きたがる敦賀さん。
「なにか欲しいものとか………して欲しい事とか、ない?」
ゆっくりと髪をなでる大きな手。
トロトロとした微睡みに誘われるみたいにぼんやりした私に低い優しい声が聞く。
「………手、つないでて?」
熱に溶けた頭でそんな事を強請ると、神々しく笑うひとがきゅっと手を握ってくれた。




もしかしたら………私はこのひとの『キョーコちゃん』なのかもしれない。
ふわふわとした熱のある頭にそんな事が浮かぶ。
だって、裸のまま昨日お酒を飲んでるから車もないのに病院に行こうとしたり、救急車を呼ぼうとなさったり、かかりつけのドクターを呼ぼうとなさったり………あんなにオロオロわたわた大慌てするんだもん。


あんな敦賀さんはじめて見た。
思い出して笑ってしまいながら、すぅっと眠りに落ちていく私はまだ知らない。




次に目を覚ました時には何故か見覚えのある大きな大きなベッドの上にいて、敦賀さんの瞳の色に今度は私の方があわあわと狼狽させられるなんてそんな事を。




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しれっと、持ち帰ってやがる。
(;°皿°)。


↓拍手コメントにて葉月様よりいただきましたネタ

「以前敦賀さんの知恵熱を投下し
たと思うのですが、逆バージョンで。起きるとキョーコちゃんが熱を出す」

から、ぽちぽちと書いてみたものとなっております。
あわあわオロオロ大慌てな蓮さんに。


全裸で外出、ダメ絶対。笑



↓拍手のキリ番っぽいのを叩いちゃった方は、なにやらリクエストしていただくと猫木が大喜利的にぽちぽちと何か書くやもしれませぬ。


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