猫木の変な挑戦『いろんな敦賀さんを書いてみよう。』
困惑混沌の朝。から派生する続きのひとつ詐称する彼。の蓮さん視点なものとなっております。


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なんだって君はいつもそう、頑ななんだ!?


「だから、俺は君が好きなんだ。付き合おうって言ってるだろ!」
「だから、責任を感じでいただかなくても結構ですって言ってるじゃないですか!」
朝からずっと、こんな感じの会話がグルグルとエンドレスだ。しかも、喧嘩腰の怒鳴り合いに近い勢いで。
おかしくないか?
ふたりのはじめての朝だよな?
根の深い手の施しようもない病を患った俺の抱えた欲と、いくらアピールしてもスルッと明後日の方向に躱して先輩としてしか見てくれないジレンマ、年々綺麗に磨かれて馬の骨を無邪気に惹きつけて回る君への苛々………そんなものでドロドロに煮詰まっていた俺。
アルコールの勢いに押されるように、雰囲気もムードもなく、告白も了承さえなく奪ってしまったけど……
ほんの数時間前まで俺の腕の中にいて、しがみつくみたいに俺の背中を抱き締めてすべてを委ねてくれて溶け合うみたいに甘い幸せをくれたかわいい君は何処に消えてしまったんだ!?
降って沸いた僥倖な既成事実を盾に想いを告げて甘い空気にしようと必死な俺を、片っ端から叩き落としてしまう手強いラスボスの君。


でもだからって引いてなぞいられるか!
今までで一番、深くやわらかいところまで入り込めた手応えがあるんだ。それが、最上さんの隙だろうと油断だろうと関係ない。
この好機を逃さずに一気に攻め落とす!!



「責任取るよ、よろこんで取るって言ってるだろ!」
今を逃したら、一気に彼女は前よりももっと遠く俺から距離を取って離れていく……そんな恐れからつい大きくなってしまう声。スマートに甘く口説くなんてそんな事さえ出来やしない。
そんな不毛な怒鳴り合いの中、彼女が言ったんだ。
どうせ、私なんかのはじめてにそんな価値なんてないんですから気になさらないでください!!」
………価値がない?
未だに、あんなヤツの言葉に縛られるみたいに自分の事を軽視する君に、腸が煮えくり返るみたいな怒りが燃える。
俺がどれだけ………どれだけ、君が欲しくて欲しくて君だけに焦がれて飢えて餓えてきたと思ってるんだ!!


俺の怒りの感情に敏い最上さんが、顔色を青くして怯えて震えているのが見える。
「俺には価値があるのに最上さんにはないんだ………だから、相手が俺でも構わないってこと?…………じゃぁ、最上さんが責任取ってよ。俺、はじめてだったんだ。」
地を這うみたいに低い低い声。
自分でも、荒唐無稽に無茶で馬鹿げた事を言っているってわかるから、唇に歪んだ笑いが乗るのを感じていた。



「嘘!………嘘ですっ!」
最上さんが信じないと、騙されないと詐欺だペテンだと訴えている。
そりゃそうだよね………なんて、こっそりと思いつつも
「傷付くなぁ………最上さんに俺のはじめてを捧げたのに……信じてもくれないんだ?」
胸を押さえてさも打ちひしがれたような演技をしてみせる。
「だって!敦賀さんは、抱かれたい男NO.1で……」
「うん、光栄だね。でも、それは俺の商品イメージで、俺がはじめてじゃない証拠にはならないよ。」
段々とジワジワと徐々に、最上さんの反論を封じて追い詰めていく。
「う………………だって」
反論材料も尽きたのか、不満と不信満載の瞳でこちらを上目遣いに見る最上さん。
にっこりと………にっこりと深く笑ってにじり寄るみたいに迫る。
「責任、取ってくれるよね?」
「………………………」
真っ赤な真っ赤な嘘だって吐いてゴリ押して力業にでも、誰にだろうと言い張ってやる。騙される方が悪いって言い切ってみせるよ。
大丈夫だよ?言質さえ取ってしまえば………あとはゆっくりと君をあたためて甘やかして口説き落としてみせるから。
俺に溺れきってしまうまで、騙し通してあげるからね?
「うん?最上さん、お返事は?」
さぁ、はやくはやく……そのかわいらしい唇から俺の望む答えを………




「………………はい。」




hallelujah!!




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↓拍手コメにて要様よりリクエストいただきました、みんな大好き(たぶん)どーてい自称チェリーな「詐称する彼。」の蓮さん視点なものにてございます。


キョーコちゃんが悪質な詐欺にあってる………
これが、このシリーズ2つ目の派生って………我ながら、無茶だなオイ。
。(;°皿°)


↓拍手のキリ番っぽいのを叩いちゃった方は、なにやらリクエストしていただくと猫木が大喜利的にぽちぽちと何か書くやもしれませぬ。


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