猫木の変な挑戦『いろんな敦賀さんを書いてみよう。』
困惑混沌の朝。から派生する続きのひとつライナス症候群の彼。の蓮さん視点なものとなっております。


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もうね、君の意思とか気持ちとかさえ関係なかったんじゃないかな。


これでもね?物心付く頃には『演じる』って事への意識はあったからね……ひとよりも観察眼は鋭い方なんじゃないかな?
だから直ぐに気付いたよ………君が起きてるって事くらい。 
ダメだ……顔が緩んできた。
だって、泣いてないし怒ってないし逃げないでいてくれるみたいだし………昨日だって、触らせてくれたし。
嬉しい。ただもう本当に、それが嬉しくて………もっと、触れてしまいたくって振り向いてやくれない君を抱き寄せた。
ぎゅーっと抱き寄せた彼女の肌はやわらかくてあたたかくて気持ちが良くて、今まで距離があって離れていたのが腹立たしくなるくらいに愛おしかったのにそれなのに、背中越しに感じる跳ねる鼓動とか目の前で美味しそうに赤く色付いてく耳朶とかうなじとか………
「もう本当…………どうしてくれようか。」
つい、欲望が口からこぼれ落ちていく。
すっぽりと腕におさまってくれていた君がぶるっと小動物みたいに震え出してきゅっと身を縮ませたかと思うとじたじたと腕から逃れようとするから………
嫌だなって、そう思ってるとクルっとこっちに寝返り打って振り向いた君が俺を見てびっくりしたみたいな顔をしてかたまってた。
何にそんな驚いてるのかさっぱりわからないけど、そんな最上さんもやっぱりどうしようもないくらい可愛くて
「困った。もうこれ以上重症にもなれないほどに末期だと思ってたのに………新しく発病したみたいだ。」
新しい病に、より深い罠に掛かった気分だ。もうお手上げもいい所で、手の施しようもない。
離したくなんてなくて、ふたりの間に距離があるのが許せなくてぎゅうぎゅうに強く強く抱きしめた。
ぺそりと張り付いた胸もとで君が
「なんで……子犬?」
とかぶつぶつ言ってた。意味なんてちっともわからなかったけど、今はそんなことどうでもいいか。
だって、なんと言われても手離せないなら捕まえておくしかないだろ?




「はーなーしーてーくーだーさぁーいぃぃぃ!!」
君は、やっぱりかわいくてかわいくない。
小さな愛しい手が離せと俺の胸を押す。
不公平だ。何時だって、俺の方が振り回されて翻弄されて………俺ばっかり君が好きで、今だって離せないくらいに触れたくて………なのに、彼女はちっともそんな事ないのかすぐに俺から距離を取って逃げようとするんだ。
「やだ。発病したって言っただろ?」
最上さんの弱い顔をしてワガママを言って。
どうせ無駄に疲れるだけなのに諦め悪くもがく君に腕を絡ませて逃がさないように、がっちり捕獲する。
「発病ってなんなんですか?それと私になんの関係が!?」
頬を赤く染めて抗議の声をあげている。
ドキドキと早い鼓動は俺のなのか、君のなのか。
昨夜、深くまで触れさせてくれた………きっと、彼女は本当に嫌ならもっと強く抗う筈の意志の強い女性。ちっとも俺に気持ちの欠片もなかったなら、許さなかっただろう?例え、ほんの小さな欠片でも触れさて許したのが………そこまで俺が入り込む隙を見せた最上さんが悪いんだよ。
絶対に逃がさないからね?
「服が着たい」とか「お風呂に入りたい」とか「喉が渇いた」なんて言って、俺から離れようとする彼女。
頑として譲らずに、ただを捏ねてワガママを言って強請って脅してでも捕まえたままにしていた。
「関係?大有りだね。俺が発病したのは、ライナス症候群だからね。俺がライナスで君はライナスのブランケット。………ずっと一生俺に絡め取ってやるって決めてたんだけど、まさか一瞬も手離せなくなるなんてね?」
もうね?このぴたっと嵌るみたいに捕まえておけるこの距離に慣れさせてしまおうと思うんだよ。この触れ合う距離がふたりの当たり前だと思い込ませてしまおう。
だから、その為の発病。
ニヤっと自分の口角が上がるのがわかる。
きょとんとした表情で見上げてくる最上さんの鼻にちゅっとキスをして
「一生、大事にするよ?」
と、俺の大事な大事なブランケットの君に宣言を。
さらにぶわっと真っ赤に真っ赤に赤くなってじたじたと無駄な抵抗を重ねるかわいい君は、言ったんだ。
迂闊にも程がある言葉を。



「は、離して!!もう、なんでもしますから離してくださいっ!!」




なんだっけ?
飛んで火にいる悪い虫?瓢箪からぼた餅?鴨ネギ南蛮?
まぁ、なんだっていいや。
「へぇぇ………なんでも、ねぇ?」




まんまと子ウサギの方から腹ペコな狼のところにのこのこやって来てくれたんだから………
「しまった!」って顔をしてる最上さんににっこりと笑ってあげる。




さぁ、どうしてくれようかな?





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ライナス症候群→常に特定の物を所持していないと不安定な状態になる依存症。 語源は、「スヌーピー」に登場する少年ライナスである。ライナスはいつも毛布(ブランケット)を引きずっており、毛布を放すとパニックに陥るところからブランケット症候群とも呼ばれている。


コメントにてリクエストいただき「懐疑の俺。」を裏っ返して、続けて「ライナス症候群の俺。」をひっくり返してみたものとなっておりやす。
あと一個、逆視点のリクエストいただいてるんでなんとか逆にする予定。
その後は、もらったネタが4つ5つほどあるのでぽちぽちと書いて行こうかなと思います。
(・∀・)
まだ、ちょいちょいとこの変な朝のふたりが続きそうです。
飽きてないっすかね?大丈夫?
よろしければ、お付き合いしてやってくださいまし。


↓拍手のキリ番っぽいのを叩いちゃった方は、なにやらリクエストしていただくと猫木が大喜利的にぽちぽちと何か書くやもしれませぬ。


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