猫木の変な挑戦『いろんな敦賀さんを書いてみよう。』
困惑混沌の朝。reverseから派生する番外編的な続きのひとつとなっております。


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幸せを手に入れて溺れ眠った俺。
目が覚めた時に、抱いていたのは愛しいひとと………どうしようもない懐疑心だった。



焦がれて欲しくて欲しくて………抱き寄せて捕まえた愛しいひと。
するすると身を任せてくれた、ピタリと誂えたみたいに手に腕に馴染むような心地良さ。
甘い唇と白い肌、夢を見ているように溺れて何もかも自分のものにしたいと貪ってしまった夜。
アルコールの酩酊が抜けた朝、腕に頭を乗せた愛しい彼女………胸にあったのは、確かな悦びとくすぶるような疑惑。
物慣れぬ様子、速い鼓動と戸惑いに濡れた瞳。
でも、彼女は俺を拒絶しなかったんだ。
嫌も駄目も待ての声もなく、ただ甘く俺を酔わす声で啼く反応の良い身体。
ひとつになるその瞬間も、息を詰め衝撃に眉をひそめ、汗を浮かべてはいたけど………「痛い」と苦痛を訴えなかった彼女。
『はじめて』の女の子とした経験はないけど、聞くところによると中々に大変な痛みらしいじゃないか………あんなすんなり出来るものなのか?
もしかして………最上さんに、男と肌を合わせた経験が?
チラリと過る懐疑に、自分の過去など棚上げた俺の身勝手な執着で胃の腑が焼け落ちそうなほどの怒りが燃える。




歩く天然記念物的純情乙女な彼女………相手にしたのなら、アイツしかいないだろう。
過去に最上さんの心を一身に受けておきながら、利用して捨てた男。
男女になった夜があったのか?
いや、アイツが引き起こした思い出すも忌々しいあのバレンタインの事件の時、彼女のファーストキスだってヤツが認めてたじゃないか……でも……凄くマナー違反で男としてどうかと思うが、唇を重ねなくても純潔は奪おうと思えば奪えてしまう………
アイツに抱かれた事があるのか?眠る彼女を起こして詰問してしまいたいと思うほどの悋気。
だけど、『はじめて』であっても『はじめてではない』にしてもだ。
ふたりのはじめての朝、女性にそんな礼儀も作法も全くない不躾で失礼で屈辱的質問………あり得ないだろう。
彼女に直接聞くなんて出来ない。
肌を重ねる事を許してくれた、最上さんの中にあるかもしれない俺への意識とか好意をそんな失態で失う訳にはいかない。
じゃぁ、どうする?どうやって確かめる?
シーツでも確かめるか?
……駄目だ。捲りあげてそんなとこを確認してるのを見つけられたら、言い訳のしようもないじゃないか………




そんな情けない疑惑について悶々と考え込んでしまっていた俺は、腕の中の最上さんがもぞもぞと動き出したのにも気付けずにいた。
「あ、あの………敦賀さん?」
恐る恐ると言った感じの愛しい声。
腕の中から俺を見上げるかわいい彼女。
赤く染まった頬と上目遣いの紅茶色の瞳。
そのどうしようもなく俺を惹きつける瞳と目が合った、その瞬間に………俺の中で燻っていた懐疑心が消え失せた。



最上さんに経験が有ろうと無かろうと、関係ない。
どうせ、手離す気も逃がす気も諦める気も、はなからちっとも持ち合わせてなぞいなかったんだ。
『はじめて』ならこのまま俺の色に染め上げて離れられなくしてしまおう。
『はじめてじゃない』なら………忘れさせる。
ほんの微かにも滲まぬように塗り替えて塗り潰してあげよう………この胸に有り余る愛と、俺の身体で。



そう決めて、腕の中にさらに強く最上さんを抱き寄せて微笑むのに
なんでだろうね?
最上さんが怯えてる気がするんだ。




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そら、怖かろうよ。(´Д` )



くーま様からいただきましたネタ

初めてのはずのキョーコちゃんがえええ?と思うくらい初めてな感じがしなくてショータローとの二人の生活の時ほんとは何かあったんじゃないかと疑ってもんもんする蓮さん。」

より、ぽちぽちと書いてみたものとなりやす。なんか、いやんな蓮さんになった気がします。 


あとまだもらって書いてないネタとかあったかなぁ?なかったら失速しよう。


黄色と赤の最終話がなかなかうまく進まないでありんす。困ったな。


↓拍手のキリ番っぽいのを叩いちゃった方は、なにやらリクエストしていただくと猫木が大喜利的にぽちぽちと何か書くやもしれませぬ。


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