猫木の変な挑戦『いろんな敦賀さんを書いてみよう。』
困惑混沌の朝。から派生する続きのひとつ秘める私。の、蓮さん視点なものとなっております。


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腕の中にやわらくていい香りのするものがあって、それを離したくなくて抱き寄せていたのにするりと抜け出して行くのが淋しいとそう思うのに、ぐずぐずと眠りの中から抜け出せないでいたんだ。



微睡みの中にいる俺の頬をするすると指がくすぐる。
「ねぇ……起きて、蓮。」
囁くように落とされた愛しい声。
鈴のなるようなかわいらしい声が俺を呼んでいる………そのちくばくとした噛み合わない感覚が覚醒を促す。
開いた瞼の先に見えた愛しいひと、その表情に………違えようのない違和感。
「おはよ、蓮。」
笑う彼女の口から溢れる俺の名前。
「………れ、ん?」
「あら、だめですか?肌を合わせたのに呼び捨ても許さないなんて………案外、冷たい男なんですね?」
役に入ってないと呼んでやくれなかった名前の呼び捨て。
「昨日のこと………覚えてます?酔った蓮を『お持ち帰り』ってやつ?しちゃったみたいなんですけど………こういう時ってどう言えばいいのかな?『ごちそうさまでした』とかかしら?」
純情乙女らしくない物言いと、恥じらい隠すことなく晒される彼女の肌。
クスクスと綺麗に造作もないと笑う。
なのに、手繰り寄せようとする俺の手からすり抜けこの場を流そうとする。



なめないでもらいたいね。
気付かないとでも思った?



彼女は演じている。
何故?
俺を厭うだけなら、遠ざけたいだけなのなら………必要のない、演技。
なんのために?
なにを隠そうとしている?


探るように彼女の役と合わせた役を貼り付けてニヤリと笑って、彼女の髪を撫で耳朶を掠めて耳にかける。
どこへ誘導するためなのか、彼女の役に翻弄されるわけには行かないと、引きずられないようにしながら様子を探る俺にかけられた聞き逃せようもない彼女の言葉。


比べる対象?
次の人?
そんなもの………許せようか。



やめだ………彼女の隠そうとするものを探ろうなんて、そんな事。



俺を煽る君が悪いよ?
すらりと細い彼女の腕を取るとトサリとベッドへと引き倒して縫い付けるように抑え込む。
「何を隠したくてそんな演技なのか教えてくれる?」
どうせ素直に吐いてやくれないとわかっていて問いかけた。
予想どおりに意味深に笑ってみせる彼女の赤く染まる耳だけが、俺に彼女の動揺を教えてくれる。
「教えてくれる気はなさそうだね………じゃぁ、教えてもらえるまでいじめてしまおうか?耳の赤いお嬢さん。」
それが嬉しくて、その愛しい耳朶に唇で触れるようにして脅し言葉を囁くと、ビクリと身じろぐ彼女。
がぶりとひと思いに噛み付いてしまいたい衝動を押し殺して、身を起こし君を見下ろす。
にぃっと唇の端が吊り上がるのがわかる。




嗤う俺を見上げる彼女。
必死に貼り付けたアドリブな役の下に、怯えている君を感じる。
だけどもう逃がしてなんてやらない。
君がなかった事にして軽く流そうとした夜も、君が隠したがっているものも………それごと全部、君の全てを手に入れるために
無理矢理にでも暴き出して晒け出させて吐き出させてやろう。





さぁ、君はなにを隠そうとしているの?




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蔵形匿影[ぞうけいとくえい]…ものごとの本当の事を隠すこと。


お試し逆視点、第2弾。
タイトルが何故か四文字熟語に。なんでだろう?(´Д` )
しかし、あれだね。自分の過去に書いた駄文の読み返しってどえらい羞恥プレーですな。
どえむな気分。。(;°皿°)


本当、ありなの?これ。


↓拍手のキリ番っぽいのを叩いちゃった方は、なにやらリクエストしていただくと猫木が大喜利的にぽちぽちと何か書くやもしれませぬ。


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