猫木の変な挑戦『いろんな敦賀さんを書いてみよう。』
困惑混沌の朝。から派生する続きのひとつとなっております。


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するっと伸ばされた腕にあたたかな胸へと引き寄せられる。
すぅすぅと寝息が降ってくることに安堵した。
この世に恐れるものなどなにもないと思ってしまえる力強い胸と腕に抱かれて………
そろそろと敦賀さんの顔を見上げる。
無防備に眠っているだけなのに、どこかなまめいたものさえ感じる美貌、私のそれより高い体温の身体、敦賀さんの香り、そのすべてに………
ぞわぞわと私に蓄積されていく悍ましい浅ましい想い。もう元の関係になど戻ることなど出来ないと、思い知った。


もう、あなたのそばで私ではいられない。






指先をそっと敦賀さんの頬に添わせて、囁くように言う。
「ねぇ……起きて、蓮。」
長い睫毛に縁取られた瞼が開くのを待ちながら、私の中から最上キョーコを、余裕のない子供を、消して新しく役を被る。
何度かの瞬きの後で、その黒い瞳に私が映るのを見た。
「………おはよ、蓮。」
目を細めて薄く笑う私と、きょとんとしたあなた。
「………れ、ん?」
「あら、だめですか?肌を合わせたのに呼び捨ても許さないなんて………案外、冷たい男なんですね?」
クスクスと、楽しそうに笑ってみせる。


「昨日のこと………覚えてます?酔った蓮を『お持ち帰り』ってやつ?しちゃったみたいなんですけど………こういう時ってどう言えばいいのかな?『ごちそうさまでした』とかかしら?」
やんわりと私を捕らえる腕から逃れ、半身を起こす。赤い花の咲き散った裸のささやかな身体を晒すように。


あなたはちょっと考え込むような素振りを見せた後、思いきるように瞬きをしてゆっくりと大人の余裕を持った男を纏わせた。
「ふぅん?………『ごちそうさま』ね。それはこっちの台詞なんじゃないかな?はじめてのお嬢さん?」
あなたの手が私に伸びる。さらっとサイドの髪を掬い取ると耳へとかける。耳朶をくすぐる髪とあなたの指先にぞわりと肌が粟立つ。
「ふふふ、ごちそうと言えますでしょうか?」
「この上なくね?もう、他なんて考えられないくらいに……」
「お上手ですね。」
手慣れた対応………やっぱり、遊び人の女タラシ………
「さすが、抱かれたい男NO.1ですね………ふふ、苦労しそう。」
「苦労?」
「ええ、はじめての相手がそれって………比べる対象になるでしょう?次の人を見つけるのに苦労しそうじゃないですか?」
この関係を続ける気はないと、あなたにつきまとうような事はしないと、そう伝えた。
さぁ、どうやってこの人をこの部屋から送り出そうかしら?そんな、事を思っていると腕を取られ引き倒された。



「君は、本当に俺を煽るのが上手いね。………そんな苦労なんてさせてあげる気はないよ。」
縫い付けられたベットから見上げると嗤うあなたの顔が近付いてくる。
「何を隠したくてそんな演技なのか教えてくれる?」
やっぱり気付かれていた演技。
「さぁ?なんのことでしょう?」
余裕に見えるようにゆったりと首を傾げて笑ってみせる。
「教えてくれる気はなさそうだね………じゃぁ、教えてもらえるまでいじめてしまおうか?耳の赤いお嬢さん。」
さきほど、髪をかけられた方の耳に囁かれた声。
びくりと震えた私を見下ろしてにぃっと嗤う男。




「次なんて探そうって思えなくしてあげるよ………どこまで、演じていられるかな?」
しなやかで兇悪な獣の目が貪り食らうべく獲物を前に細めらるのが見えた。







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書いてた糸から脳がなかなか戻って来なくて、なんやかんややってたら………


あれ?これ、次、限定行きじゃね?ってのが出来た。
限定行ったら9つ目は、たぶんドSっぽい蓮さんに…行かなかったら脅す蓮さんになるのかしら?
んー?どーすんのかしらね?
(´Д` )







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