第二百二十話 <唄>むら雲のあいだ
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むら雲のあいだを
貴様が駆けてゆく
心地よさそうに
ああ そうだろうさ
むら雲のあいだを
貴様が駆けてゆく
当たり前のように
ああ そうだろうさ
訳もなく生まれて
訳もなく去っていった
貴様の駆けるすがたを
俺は
俺は見てたんだ
貴様のすがたを
目に焼き付けたのは
世界中で俺だけさ
きっと俺だけさ
しっぽが疼くじゃねえか
俺は駆けるさ
このしみったれた世界を
背中の傷はなんでもないよに
俺は駆けるさ
この鈍重な世界を
貴様のこころなぞ知らねえ
昼も夜も
雨も風も
熱も冷気も
貴様の感じたものぜんぶ
それくらいは背負って駆けるさ
俺もたぶん
貴様とおんなじだ
* * * * *
むら雲のあいだを
貴様が飛んでゆく
耳をはためかせて
ああ そうだろうさ
むら雲のあいだを
貴様が飛んでゆく
しっぽを揺らめかせて
ああ そうだろうさ
訳もなく生まれて
訳もなく去っていった
貴様の飛ぶすがたを
俺は
俺は見てたんだ
貴様のすがたを
抱え込んでゆくのは
世界中で俺だけさ
きっと俺だけさ
爪が痺れてらあ
俺は飛べない
この奇天烈な世界じゃ
背中の傷がずきずき痛んで
俺は飛べない
このささくれた世界じゃ
俺のこころはあまりに重くて
夏も冬も
春も秋も
人もネズミも
俺の見聞きしたものぜんぶ
それっぽっちも背負っていけない
俺はたぶん
貴様とは違うんだ
違うんだ
* * * * *
俺は駆けるさ
このしみったれた世界を
背中の傷がちりちり裂けても
俺は駆けるさ
この鈍重な世界を
貴様があったことなど忘れて
昼も夜も
雨も風も
熱も冷気も
貴様の感じたものぜんぶ
それくらいは背負って駆けるさ
俺もたぶん
貴様とおんなじだ
いつか駆けるのさ
むら雲のあいだを
♪ ♪ ♪ ♪ ♪
※ぜひハードロック調で
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