第六十一話 猫街会議 総選挙特集!猫が物申す!(5歳 オス/1歳 メス/10歳 オス/3歳 メス | ねこバナ。

第六十一話 猫街会議 総選挙特集!猫が物申す!(5歳 オス/1歳 メス/10歳 オス/3歳 メス

「にゃぁーむん」
「なーうん」
「....」

「さて、今日も集まったな」
「おう」
「あいっ」

「では、これより...」
「第何回とかはなしな」
「ぶぶっ」
「わかっとるがな...。まあええわ。猫街会議を始めます」
「にゃあーい」
「わーわーわー」
「その動きは何なん?」
「いやこれはふたりウェーブ」
「さよか...では今回も、わたくしハチが議長をあい務めます。よろしゅうおたの申します~」
「こちゃらこそ~」
「さっさとやろうぜ」

「あれ? トシちゃん、今日ゲスト連れてきてくれる言うてたやん」
「そうじゃそうじゃ」
「何言ってんだよ。いるだろ」
「へ?」
「どこどこ?」
「俺の隣だよ」

「何よなんか文句ある?」

「ふぎゃっ!」
「はああああ、びっくりするやないかい」
「ほんま、あちし、置物かと思うとった」
「わしも、ぬいぐるみかと思ったわ」
「失礼ね!!」
「いや、なんか長い毛じゃし、ふわふわしとるし、動かんから...」
「ゴージャスやなあ。わしら純粋な雑種猫とはえらい違いや」
「あらそう、ふふふ」
「あ、あの、どちらさん?」
「だからさ、うちのはす向かいの、タゴサク」

「タゴサク?」
「こんなゴージャスやのに?」
「むしろジョセフィーヌとかじゃろ」
「マリモ、それは何処から仕入れた知識だ?」
「うちのねえちゃのマンガ」
「あっそ...」
「何よ、うちのパパのネーミングセンスにケチつけるわけ?」
「いやそんな...」
「え、ええ名前やなあ、タゴサク」
「何かひっかかるわね...」
「まあいいじゃねえか。ハッつぁん、今日は何話すんだ?」

「ああ、せやな、今回の議題は、これ!」

総選挙特集!猫が物申す!

「せんきょ?」
「そうそう、ああそうか、マリモは知らんのんかい。あんな、人間が自分たちの代表を選ぶために、紙に名前書いて集めて、数えるんや。数が多い人が代表になんねや」
「へええ、人気者をえらぶんじゃね」
「ビミョーに違うな...」
「そいでな、選ばれる側の人間はな、わしはこんなええことします! とか、こんな悪いことなくします! って、自分が代表になったほうがええよって、訴えるわけや」
「ふーん」
「そこでや! わしら猫には投票権はないさかいな。せめてここで、猫目線で選挙や政策について、訴えるっちゅうのはどや?」
「おお、いいね」
「さんせー」
「いいんじゃない?」


「おし、ほないくで。まずトシちゃん、なんかないか?」
「おう、そんじゃ...」

選挙カーは、廃止しろー!

「おお同感」
「私も」
「せんきょかーって、なんじゃ?」
「あれだほら、自分の名前連呼しながら、家の周りを回ってる、あのやかましい車だよ」
「あああ、そいえばきのう来よったなあ」
「あれのおかげで、おちおち昼寝もできやしねえ」
「あんなやかましいことされて、人間はそいつに票を入れるんかなほんまに」
「昔は、無党派層に少しは影響力あったらしいわよ。名前を連呼されると、頭に刷り込まれるんですって」
「へえ、そうなんじゃ」
「タゴサク詳しいな」
「当然よっ」
「昔は、っちゅうことは、最近は少し違うんやろか」
「そうねえ、テレビやネットの影響力が大きくなったからかしら」
「...なんか、あちしの知らん単語がいっぱい出よる」
「まあまあ。マリモはこれからちっとずつ勉強すればええねん」
「ふぁい」
「ちゅうことで、これはみんな賛成でええかな?」
「そうね」
「あいっ」
「おし、ほんなら、我々にゃんこ党の公約として、選挙カー廃絶を掲げますっ」
「おおー」
「ぱちぱちぱちぱち」


「さあ次は、マリモ、なんかないか?」
「えっと、あちしがしてほしいことで、ええんかの?」
「まあええやろ」
「えっと、えっとね~」

キャットタワー、買ってーーー!

「って、えらい物欲やな!」
「だって、してほしいことでええって、ゆうたじゃろ」
「まあそうやけど...」
「うちはあるぞ、キャットタワー」
「そうそ、トシちゃんとこのタワー、ええなあって思うとったんじゃ」
「マリモんとこはなかったっけ?」
「ないんよ~それが」
「あれけっこう高いからなあ」
「あちしね、こないだね、たんすの上まで登れるようになったんよ。そしたらかあちゃが、危ないけえ降りんさいってゆった」
「おお、マリモも成長したんやなあ。うるうる」
「でもね、あちし高いところに登りたいんよ」
「それは仕方ないわね。私達猫の習性だから」
「ああ、それで高く登って遊べるタワーが欲しいんだな」
「そうそ」
「とはいえ、あれはけっこう場所とるし、金もかかるやろなあ」
「ほしいなあ、ほしいなあ。あ、ハッちゃん買うて!」
「アホか! わしにそんな経済力ないわ」
「そうか、こういうときに、政府が金を出すべきだ、うん」
「おおお、そういうことか」
「キャットタワーに、補助金ねえ...」
「あちしは、買うてくれるなら、なんでもええわ」
「ほな、我々にゃんこ党の公約として、キャットタワー補助金を掲げます! これでどや」
「さんせー」
「ぱちぱちぱち」
「まあいいわ...猫目線だしね」
「でもさ、公約していいのか?」
「ええねん、どうせ政権はとれへん」
「どうゆうこと」
「なんでもないなんでもない、マリモは夢を持っとけ」
「ぶーーーーーーーーー」


「さてさて、他になんかないか?」
「タゴサク、何かいっとけよ」
「私? そうねえ...」
「ゴーヂャスなのが出そうじゃの」
「おお、いいねえ」
「おほん、では...」

キャットシッター制度を整備せよ!

「うわ、またわからん単語が出よった」
「キャットシッター?」
「そう、飼い主がいない間や、旅行で家を留守にする間、私達猫を世話する人間よっ」
「かわりのにんげん...こわい人はいやじゃー」
「だから、猫の世話のプロを政府が養成するのよ」
「でもさ、ペットシッターなら、今だってあるだろ。犬の散歩とかしてやってるの見たことあるぞ」
「まだまだ数は少ないわ。それに、このサービスは都市部に集中してるのよ。これは福祉の地域格差よ! 許されないわっ」
「うう~、なにゆうてるか、あちしにはわからん」
「ペットホテルじゃ駄目なんか?」
「あんな狭っくるしいところに、私のような高貴な存在が耐えられるはずないじゃない! こないだ一週間入れられたけど、ストレスで毛が抜けたわよまったく」
「毛ぇぬけたんじゃ...ぷぷぷぷ」
「何よ」
「まあまあ...でも、家と違うところに預けられるよりは、家で世話してもらったほうがいいよな」
「そらそうや」
「キャットタワーよりは現実的だと思わない?」
「あー、あちしの言うたことにケチつけよった!」
「本当のことを言ったまでよ」
「ふんだ、べーーー」
「つーん」
「なんや、早くも女の闘いか」
「まあしかし、あくまで猫目線でいいなら、これもいいんじゃね?」
「せやな...では、我々にゃんこ党の公約として、キャットシッター制度の整備を掲げますっ」
「おお~」
「当然ねっ」
「ぶーーーー」

  *   *   *   *   *

「ほんじゃ、今日の猫街会議は...」
「ちょ、ちょっと待ってよ」
「なになに何や?」
「どうせなら、ほら、動物愛護法とかもやったほうがいいんじゃない? せっかく選挙なんだし」
「タゴサク、それは違うな」
「どうしてよ」
「だってあれは人間目線だろ。俺達ゃそんな難しいことは判らねえもん」
「せや。まあわしらを大切にしてくれるいうのは歓迎やけどな。猫目線で語ることは何もあらへん」
「そうかしら」
「そうだよ。だいたい、俺達が人間と暮らし始めて何千年も経つんだぜ。その間にも好まれたり疎まれたり、全部人間の都合じゃんか」
「そして、わしらは人間と関わらなければ生きていけんように改良されてしもうたからな」
「まあねえ...」
「うう、またあちしはついていけん....」
「だから、結局は人間目線の法律なんだよあれは。大半が人間同士のいさかいをどうするかしか書いてねえじゃねえか」
「まあそうだけど...」
「タゴサクはん、納得いかんようやけど、ここはあくまで猫目線で、基本マターリや。よろしゅう頼むで」
「そうね、判ったわ」

「ほんじゃ、次回もよろしくな~」
「あ~い」
「おう」
「じゃあね」

「うみゃ~」
「なっ、うーん」
「....」
「みゅ~」


おしまい



-------------------------
ここでちょっと筆者の主張を。
さらっと流していただいてかまいません。

8月30日(日)は、衆議院議員選挙の投票日です。
選挙権のあるみなさん、選挙に行きましょう!


「ろくな候補者がいねえ」
「政治なんかに興味ない」

そうのたまうあなた。
この一票で、生死が決まる人だっています。
あなたの運命も、大きく変わります。まちがいなく。
ひとごとではありません。

ろくな候補者がいないなら、あなたが立候補すべきです。
それができない人間が、投票すらせずに、政治家をやたら批判する資格なぞありません。
政治に興味がないということは、自分の行く末に興味がないということです。
自分が、家族が、愛する人がどうなってもいい人など、この社会にはいないはず。

自分たちの声を政治に反映させる機会は、これしかないんです。
自分たちの生き死にを左右する政治に、物申す機会を逸してはなりません。

みなさん、
選 挙 に
行 き ま
し ょ う !


少し熱くなりました。ご容赦を<(_ _)>



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