首相、G8で太陽光発電の推進表明へ
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20110524-OYT1T01312.htm
 菅首相は24日、フランスのドービルで26日に開幕する主要8か国(G8)首脳会議(サミット)の冒頭で、太陽光発電のコストを大幅に引き下げることなどを盛り込んだ新たな日本のエネルギー政策「サンライズ計画」を発表する方針を固めた。

 東京電力福島第一原子力発電所事故に伴い、原発への依存度を減らし、日本が太陽光や風力などの再生可能エネルギーの分野で指導力を発揮する決意を示す。

 具体的には、太陽光発電の普及拡大に向け、太陽光パネル設置などにかかるコストを2020年までに現在の3分の1に、30年までに6分の1に引き下げるため、技術開発に着手する方針を表明する。設置可能なすべての住宅やビルの屋根にも、太陽光パネルの設置を目指す。2020年代に大型の洋上風力発電施設を建設することや、エネルギー効率を改良した次世代バイオマス(生物由来資源)燃料を本格的に導入する考えも示す見通しだ。
(2011年5月25日03時03分 読売新聞)

 いや、別に反対する理由はないんですけど……技術的裏付けとか、どの程度国が研究開発に関与するか考えて言ってるんですよね?
 どーも、鳩山イニシアティブと同様、実現可能性を考慮に入れてない気配が濃厚なのですが。

 確かに太陽光発電については、最近になって生産コストを大幅に下げられそうな有機薄膜太陽電池などの新技術が出てきているようですけど、素人から見るといつ実用化されるのかよく解らないのがなんとも。
 政府が国策として税金投入して推進するなら喜ばしいことですが、現政権にその手の発想が薄いだけに、民間の努力だけでなんとかしろとか言い出しそうなのが怖いです。
 また、全てのビルにパネル設置というのも、ただの義務化だけではどうにもなりません。こちらも国費で補助しないと、設置だけでなく維持も無理な気が。
 一般家庭においては太陽光発電パネルなんて、今のところは金持ちの道楽に近いものがありますし、企業にしても不況が続く中コスト削減を余儀なくされてる状況では、既成の発電所から送られてくる電力使ってる方がお得ですし。
 もし設置コスト同様、発電単価が1/3になったとしても、LNGや石炭の5~7円に比べ、太陽光では15円(現状では46円)と、首相が言うコストダウンが行われてたとしても、まだ優位にはなりえません。しかも、どれだけ技術が進もうと、天候によって発電量が変わるという宿命を抱えてる以上、やはり魅力があるとは思えないんですよね。

 国民が脱原発を指向するなら実現に向けて国が動くべきでしょう。ですが、代替となるものは、やはり安定供給が可能な物を前提に組み上げるべきで、イメージ先行で自然エネルギーに大きく依存するってのはやめて欲しいものです。
 どーも、今回のも普天間基地県外移転や鳩山イニシアティブのように、実現可能性を検討せずに主張してるだけのような気がしてなりません。
 G8から帰国したら、どういう理屈で出てきた数字なのか、じっくりと説明して欲しいですね。


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