US plan for defending Taiwan disclosed
合衆国の台湾防衛計画が明らかに

常に備えよ:台湾有事の際の合衆国の作戦計画、それは米政府の軍事専門家には馴染み深い物ではあるが、詳細が公にされたのは最近の事である。

http://www.taipeitimes.com/News/taiwan/archives/2006/06/05/2003311784
By Charles Snyder 2006年6月05日月曜日

 台北タイムズによる最近の報道記事と論評によると、合衆国軍は中国との戦闘及び台湾への中国侵攻に際しての台湾防衛を目的とした、包括的な作戦計画を立案したとされている。

 軍事専門家によれば、ホノルルに本部を置く米太平洋軍司令部によって監督される本計画は、太平洋軍だけではなく世界中の米軍部隊及び装備をも動員されると言う。

 そして、公式には『Oplan 5077-04』と呼ばれているこの計画は、核兵器の使用準備の可能性を含んでいるものの、核兵器の使用は回避されるべきであるという点に焦点が置かれている。

 ペンタゴンは詳細は極秘指定のままとされている、Oplan 5077についてコメントする事を拒絶した。

 「作戦計画の詳細については、(国防総省は)コメントしない方針である」と、ペンタゴンのスポークスマンであるBrian Makaは台北タイムズに語っている。

 ワシントンの軍事専門家の間でOplan 5077の存在は長く知られてきたが、その詳細はワシントンポストのウェブサイトへと、軍事ジャーナリストと元情報局員のWilliam Arkin氏が投じた記事によって広く知られるようになった。その他の詳細については、ワシントンの軍事専門家によって台北タイムズへと提供されている。

 Arkin氏によれば、Oplan5077の構想はレーガン大統領の頃から存在していたが、ジョージ・W・ブッシュ政権が成立した直後の2001年に、この計画は概念的な物から担当する部隊を割り当てられ、詳細な付属文書を伴実務的な作戦計画へと引き上げられたと言う。

 「太平洋軍司令部は、台湾での偶発事態への対応に向けた新たな『戦略構想』を2002年12月に作り上げ、さらにこの計画の改訂を2003年7月に作成している。昨年、ドナルド・ラムズフェルド国防長官と統合参謀本部が示した、2004年の新たなガイダンスに基づき…最終的な台湾防衛計画が公表された」とArkin氏は記事にしている。

「現在の計画は空軍、海軍、水陸両用部隊、そしてミサイル防衛部隊及び台湾防衛のための『出撃』が含まれている。作戦オプションとしては台湾海峡での海上阻止作戦、中国本土に所在する目標への攻撃、情報戦などが含まれており、非動的なオプションとしてはアメリカの核兵器使用さえも含まれている」と、Arkin氏は書いた。

 この計画が太平洋軍司令部管轄の運用コンポーネントへと引き上げられたのは、ブッシュ政権の就任と同時に起こった事ではあるが、中国の攻撃に対する現在の最終戦略へと位置づけたのは、太平洋軍司令部の元司令長官であるデニス・ブレア提督であると多くの者は信じている。

 「ブレア提督は『台湾の防衛について真剣になろう』と語った人物である」と、ワシントンの軍事顧問を務めるEric McVadon元提督は語った。

 ブレア提督は司令長官に就く際、二つの狙いを持っていたとMcVadon氏は語る。一つは中国との間に、良好な軍の関係を深めることであり、今一つは台湾防衛を促進することである。

 ブレア提督は関係を改善すべく度々中国へと赴いたにもかかわらず、「事態が悪化する可能性について用心深くあるべきだし、彼らにその重要性を知らしめる必要性がある」と考え、中国と関係を持つことを『避けていた』と、McVadon元提督は語った。

 ブレア提督の後継者として太平洋軍の指揮官となったウィリアム・ファロン提督が、ブレアの哲学を引き継いでいないと考える理由はないと、McVadon元提督は述べている。

 ブレア提督は合衆国と台湾の間に、素晴らしい軍同士のチャンネルを開き、二国間の軍隊の間にある交流を大いに拡大したと賞賛されている。

 こうした軍事協力が中国の怒りを買うと考えた人々が、米政府を躊躇させていたにもかかわらず、この計画は成立することとなった。米台間の軍事的結束を強化する法案を、下院は通過させたものの、上院は繰り返し退けている。

 また、中国はブレア提督の活動について不満を漏らしていたが、抗議は比較的抑えられた物に留まってきた。

 意義深いことに、ブレア提督は近年、台湾のHan Kuang年次演習に派遣される、合衆国側の上級オブザーバーへと正規人員として就いている。

 「ブレア提督は何が5077で行われるかを知悉している。それゆえ、演習の講評を行う際に、どのような調整を行うべきか、また、目的は何かについての自身の知識に照らした評価が可能だ。」と、関係者の一人は指摘した。

 「彼が何かを語る際、その事についての言及がなかったとしても、台湾の抜け目ない人々は、ブレア提督がOplanの知識についての権威的立場から語っている事を知っている」と、その関係者は語っている。

 米政府内の台湾支援者達は、Opla5077の発表を歓迎した。

 「中国が絶えず能力水準を向上させていることを考えると、米政府が台湾への攻撃への対応策の必要性について非常に真剣な態度を取り、その具体策を最近になって改訂したというのは、少なくとも一つの安心材料である」と、中国軍事問題の専門家であり、 インタナショナル・アセスメント・アンド・ストラテジー・センターの副総裁であるリチャード・フィッシャー氏は語っている。

 この計画が目的とする、中国の軍事攻撃から台湾自衛を援助するための能力は、台湾関係法をその法的根拠として発現していると、フィッシャー氏は見なしている。ブッシュが2000年に選ばれた後、初めてそれまでの概念的な計画がOplanへと転換された点について、フィッシャー氏は言及した。

 「ジョージ・ブッシュによる2001年4月の声明(合衆国は台湾防衛[のために必要な事全て]を遂行するだろう)は、太平洋軍への間接的な準備命令、あるいは、少なくとも既存の計画の改訂や、台湾を巡る闘争の可能性に備えよとする命令のような性質を持つ物であろう」とフィッシャー氏は述べている。

 しかし、9・11の同時多発テロによって、ブッシュ政権がイラクへと焦点を移したことにより、計画への取り組みは停滞した。そして、2002年末から2003年にかけての計画への取り組みは、中国の軍事行動への対処に焦点が戻った事を反映していると、Arkin氏は台北タイムズに述べている。

 対中戦争の可能性は、9・11以前の8年間における主な焦点であったとArkin氏は語った。また、彼は5077を、ラムズフェルド氏が以前に発した偶発事態への対処指針に対応する策であると見なしている。

 海上阻止行動や、ある程度の防空問題は、台湾海峡での戦いの重要な構成要素ではあるが、政権は最近になってミサイル防衛に大きな重点を置いたと、Arkin氏は語った。

さらに彼は、台湾有事の際には、世界中の米軍戦力が活用されるであろうことを指摘している。これらの戦力には良好なコンピュータネットワーク、中国の防空網を追求する細かに調整された能力、「中台間紛争への介入を可能にする順調な機能を持つ海上阻止能力、海軍の向上したミサイル防衛能力」が含まれている。

 以前に普天間タグで出てきた、合衆国の台湾防衛計画についての記事を訳してみました。誤訳等ありましたらご指摘いただければ幸い。
 古い記事ですが、合衆国の作戦計画に対する台湾の反応が仄見えるかと思います。
 文中に出てきたOplan5077の法的根拠となる、合衆国の台湾関係法については以下のリンクをご参照願います。

■台湾関係法 1979年4月10日(pdf注意)
http://www.ritouki.jp/data/TaiwanRelationsAct.pdf



 さて、上の図を見れば解るとおり、日本こそが本気になって台湾有事への対処を考えるべきなのですが、日本と台湾は正式な外交関係どころか、国家承認すらしていない(国内法的には、台湾はどの国家にも帰属していない土地ということになっていたかと)上に、憲法9条の縛りもあって直接中台紛争へと介入するのは不可能。
 となると、結局沖縄駐留米軍の働きに期待するしかないのですが…無闇矢鱈と基地に反対してる人は、そうした現実をきちんと見ているのでしょうか?

 まあ、こーした基地を巡る歪んだ議論にしても、戦後半世紀以上にわたって国民が国防と地域安定について考えず、それを在日米軍へと肩代わりさせてきた結果なのかもしれません。
 田母神氏の妙な自主防衛論が幅をきかせてしまうのも、こうした点に起因するのかもしれませんね…


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