China’s acting skills on full display
全ての行動における中国の演技力

http://www.taipeitimes.com/News/editorials/archives/2010/09/19/2003483244

By Paul Lin (林保華) 2010年9月19日日曜日

 9月7日の朝、中国の漁船が釣魚台の沖合いにおいて、日本の海上保安庁の巡視船と衝突した。漁船と乗組員は海上保安庁によって勾留され、日中間の新たな緊張に火をつけることとなった。我々はこの事件から何を得るべきであろう?

 日本の発表によれば、一隻の巡視船が衝突による損傷を受けたことによる『公務執行妨害』の疑いによって、漁船船長の逮捕に至ったとされている。

 中国人はこの逮捕を、釣魚台への領有権主張のために為されたとして非難している。

 日本の巡視船が損傷を受けたというのは事実だろうか?それを証明する証拠写真は存在している。また、民主主義国である日本において、事実を歪曲するために関係者が共謀しようとしても、それに成功する事は恐らくないであろう。

 中国共産党は100年近くの間事実を湾曲し続けており、そうした事には慣れっこだ。両者の間から矛盾した説明が出た場合、どちらを信じるかは私にとっては自明のことである。船長の逮捕をした日本は誤ってるとする中国の論理、特に台湾を中国の一部だと主張する者の論理によれば、台湾の領海で非合法活動を行う者を台湾政府は逮捕することが出来ないということになってしまうだろう。

 なぜ私有漁船の船長が、大胆にも他の主権国家の巡視艇に衝突したのか、疑問に思う者がいるかもしれない。だが問題は、彼が実際にやってのけたという点にある。まず第一に、漁船の船員に中共の党員がいたのであろうか?あるいは、同様の任務を負った情報将校か?そうではなく彼らが一般大衆だったとしても、中国政府は統治権の試金石として、係争海域への進入を奨励している。いわば、様子見であろう。

 また、中国語新聞であるLiberty Times(Taipei Timesの姉妹紙)は、台湾は中国の一部だから台湾の領海で操業する権利があると主張する、中国人漁師の横柄さに焦点を当てた記事を8月24日に掲載している。さらには週が変わる前に、今度は中国の漁船が台湾領海へと侵入し、台湾人漁師を攻撃し彼らの機器に損害を与えてる件について紙面で報じている。

 最後の記事から一週間以内に起きた日本の巡視船との衝突は、確実に同種の傲慢さから起こった事件の一つと言えよう。

 領土紛争は世界中に存在している。正当な理由のない軍事力や脅迫的態度による対応は、顰蹙を買うだけだ。1970年代以前は、中国も台湾も釣魚台が琉球諸島の一部であることに意義を唱えておらず、その事実を公式の地図や文書に反映させている。

 どのような論争であろうとも、それについて議論するという可能性は常に存在している。

 そこには「貴国領土のうちこの部分は、かつては我が国の物だった。そして現在、貴国は我が国の核心利益の一部を成している為、その件については不問にしよう」などという考え方は存在しなかった。

 古代中国の歴史には、始皇帝は不死の霊薬を手にするため、現在の日本と思しき島へと助言者の徐福を送り込んだとされている。その歴史書によれば、彼は多くの男女を伴ったとも記録されている。一部の中国人は、日本人の始祖は、徐福と行動を共にした男女の末裔であると考えている。こうした話が、中国が日本を領有する根拠となるだろうか?もちろん、そんなことはない。

 しかし中国の態度は、正当な根拠を有していないとする、一定の認識を裏切る物であった。北京は当初、比較的下級役人によって『断固たるメッセージ』を伝え始めた。その後、それが望む効果を上げられなかったと見ると、中国は状況に抗議するため、より強力な有力者を送り出している。その中には、外務副大臣、駐日大使、外務大臣補佐、そして外務省スポークスマンなど、一連の当局者らが含まれている。

 これら全てが楊潔篪外相への道を開いた。親中姿勢を示すと思われていた日本政府が引き下がる兆候を示さなかったため、北京はより高位の国務委員である戴秉國を送る事を決定した。彼は先週日曜の早朝、日本の丹羽宇一郎大使に厳しい叱責を加えるために呼び出している。

 こうした外交官の随員と緊急の呼び出しは、我々にどんな真実を伝えているのだろうか?これら全てが巧妙なパフォーマンスでないとしたら、一体何なのだろう?温家宝首相にオスカー賞を与えるべきではないか?外交官の随行員達には、少なくとも助演男優賞を与えられて当然でもある。しかし間違ってはならないのは、このショーが国際社会に対して興行されたのではなく、中国の国民、特に国家主義的な若者達に、彼らの指導者がいかに『愛国的』であるかを示すために行われているということだ。

 しかしながら、なぜそのようなショーが必要なのだろうか?さて、中国政府は愛国心について、これといった記録がないので…彼らは旧ソ連へと領土を売り渡すのみならず、ロシアとの国際的な事件についてもたいした扱い方をしていない。

 たとえば、2月に中国の船舶であるニュースター号が、ウラジオストック沖でロシア海軍によって砲撃され沈んでいる。数人の乗組員は救助されたが7人が行方不明となり、船長は起訴された。この事件の深刻性にもかかわらず、中国の外交官は抗議声明を中継する事を指示されただけであった。ロシア当局はこの件について海軍の措置が完全に合法的であったと述べるのみで、中国からの抗議にはほとんど関心を払ってはいない。

 日本による船長の逮捕によって煽られた結果、北京は日本の面前で砂を蹴り上げ腕を振り回しているが、これは政治的に動機付けされていることは確実である。

 14人の乗組員を解放し船長は勾留し続けるという日本の対応は、当局が降伏をせずに済ませ、同時に合理的であることを基本的な方針としている。中国の最大の敵は米国のままであり、かの国は最も傑出した民主主義の国でもある。北京は中国と日本が共通の文字と遺産を持つことを理由に、日米同盟を解消し、列島線の支配権を握ろうと目論むだろう。米国と日本、そして台湾はこの点によく注意し、中国に利用されないよう、いかなる弱点の兆候も示してはならない。

 日本のメディアではほとんど指摘されていない気がする指摘ですね、これ。
 確かに中国は第一列島線の突破を悲願とはしていますけど、だからといって尖閣有事に関与すると米軍が関与すると名言しちゃった現状で無理に押すのは、メリットよりデメリットの方が高い気がします。国際関係上でデメリットが大きいにもかかわらず引き下がろうとしないのは、結局のところ国外よりも国内に多くの力を割かねばならない、中国の特殊事情を反映しているんじゃないでしょうか?

 ここからはあたいに妄想になっちゃいますが…中国、こちらが思ってる以上に経済が上手く行ってないのかもしれません。
 これまで中共は経済成長を約束し、民衆や軍を押さえ込んでいたのですけれど、ここにきて成長神話にガタがきて、その統制に緩みが出てるんじゃないかとか考えてしまいますね。

 まあ、あたいの妄想の真偽はともかく、現状は政府の方針は間違ってないような気がします。このまま船長を勾留し続け司法手続きを進めたとしても、中国は大騒ぎするでしょうけど、実際に手を出すのは難しいと思うんですよね。なんだかんだ言いつつ、先に手を出せば圧倒的に不利な立場に追い込まれるのは目に見えてますし。もっとも、国内の統制に失敗して、戦争への道をひた走ってしまう可能性はありますが…

 ただ心配なのは、在中邦人の安全。観光で行ってるのはともかくとして、仕事として赴任してる連中は、そう簡単に引き上げるのも無理でしょうし。
 今回の事件を粛々と処理するのと同時に、邦人の保護策を外務省にはお願いしたいところ。なにせ相手は年間で万単位の暴動をこなしている中国。日本人相手に何するか解ったもんじゃないですし…現地ではすでに緊張状態だったりするんじゃないでしょうか?
 自己責任と断ずるのは簡単ですけど、社命でやむを得ずって人も多いでしょうし、万が一の際は体を張ってでも中国からの脱出をお願いしたいですね。


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 あ、もう一つ妄想。
 今回の事件、もしかして小沢氏が首相になって、日本が折れてくることを期待してたんじゃないかとか思ってみたり…まあ、証拠も何もないですし、完全に妄想ですがw

日本人が行けない「日本領土」 北方領土・竹島・尖閣諸島・南鳥島・沖ノ鳥島上陸記日本人が行けない「日本領土」 北方領土・竹島・尖閣諸島・南鳥島・沖ノ鳥島上陸記
山本 皓一

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