温暖化対策:基本法案廃案へ 環境相など落胆の声
http://mainichi.jp/life/today/news/20100612k0000m010023000c.html

 通常国会の会期がほぼ確定し、温室効果ガス「20年に90年比25%削減」の中期目標を明記した地球温暖化対策基本法案の廃案が確実になった。「政権交代による環境行政転換を象徴する法案」(小沢鋭仁環境相)と位置づけていただけに、今後の温暖化対策への影響が懸念される。

 「25%削減」は昨年9月、鳩山由紀夫前首相が表明した。中期目標のほか、国内排出量取引▽地球温暖化対策税(環境税)▽再生可能エネルギーの全量固定価格買い取り制度--などの検討や実施が盛り込まれている。

 政府は、基本法案の成立を前提に、具体的な制度設計の検討に着手。それだけに、廃案について小沢環境相は11日の閣議後会見で、「議論を進めるには基本法で(25%削減や制度など)根拠のある取り組みと示すことが必要と考えていた。(温暖化対策に)影響はないとは言えない」と落胆の表情を見せた。

 市民団体「地球環境と大気汚染を考える全国市民会議」の早川光俊専務理事は「具体的な温暖化対策を実行に移す時期を迎えているだけに残念だ」と話す。

 小沢環境相は同じ内容の基本法案を参院選後に再提出し成立を目指す意向だが、経済界は「他国に比べ大きな削減目標はコスト増を招き、国際競争力を低下させる」として反発している。参院選の結果次第で、修正論議が起こる可能性もある。【江口一】

 なんか毎日新聞も残念がってるような書き方ですが、こちらとしては一安心。とはいえ、鳩山氏が国民との対話無しに(下手すると党内との対話すらなかったりして)ぶち上げた鳩山イニシアティブ(笑)自体は国際公約でもありますし、今更知らん振りしてなかった事にするのも難しいところ。
 一方で、あれって『すべての主要国による公平かつ実効性のある国際的枠組みの構築及び意欲的な目標の合意がわが国の国際約束の「前提」となる』って異様に曖昧な前提条件があるわけでして、これが達成されなかった場合の日本独自の取り組みについては、恐るべきことに何も約束していないと言っていい状態が続いてるわけですが…こちらはこちらで誰も問題視しないのは不思議です。どうなってるんだろ?

 それはともかくとして。つい最近、2020年度に25%削減どころか30年度に30%削減みたいな事を経産省は言い出してますが、実際のところどうなのでしょう。
 一応、経産省の資料(エネルギー基本計画(案)(※pdf注意))を読んではいるのですが…うーん、将来の技術革新と国民の意識改革に期待しすぎな気が。もちろん、国を挙げての重点的な予算配分で研究開発に取り組み、その成果の活用にあたっても優遇措置を行うというなせ話は別ですが。どうも現政権のやり方考えると、逆の方向へと驀進してるようにしか見えないんですけどね…
 たとえば、この資料に掲げられている公共施設のネットゼロ・エネルギー・ビル(ZEB)への切り替えなどは、景気対策の面から考えても今すぐにでも取り組むべきだとは思うのですが、そういった物が含まれていた前政権での補正予算の執行を停止してみたりと、現実にはそうはなっていません。
 民間の努力に期待するのもいいですけど、ぶち上げた目標へと近づこうと思ったら、国の率先が欠かせません。特に削減の肝になりそうな電力供給源の切り替えや、高効率な配電システムの構築は民間企業では絶対無理な分野ですし、公共事業だからと忌避してる場合ではないと思うのですが。

 目標の無謀な高さはとりあえず置いとくにしても、国として注力する先として環境対策ってのは悪くはないと思うんですよ。技術開発への援助は国内企業の競争力を高めますし、各種施設の環境対応は新たな箱物を無駄に作ることなく、需要創出へと繋がりますし。
 そうした政府の努力なしに、民間へと負担と罰則のみを負わせたとしても、目標には到底届かないだけにとどまらず、負担に耐えかねた企業が国外へと逃亡するという最悪のシナリオしか見えてきません。
 国民の意識改革にしても、低炭素生活が負担ではなく『得』と思わせるような誘導をしないと難しいでしょうね。何が悲しくて馬鹿な政治家が言い出した削減目標を、一銭も入ってくる訳じゃないのに目指さなければならないのか。国民目線と言うのであれば、このレベルから考えるべきだと思うのですが、どうでしょう?
 これには従来のエコポイントやエコカー減税などのインセンティブがある程度有効だとは思いますけど、エコ対応商品を買うにしても問題になるのは懐具合。
 やはり、環境対策を家庭にお願いする前に、まずは抜本的な景気対策が必要かと思います。そのためにも、公共施設の一斉エコ対応改修工事は有効だと思うのですが…うーん、やっぱり現政権に期待してもダメなんだろうなぁ。


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