昨日に引き続き、謎のPC職人Xこと◆bswihrZhO2氏の投稿を掲載いたします(あ、なんか手を抜くなという空耳が…)。
内容は昨日のエントリーの続きとなりますので、まだ読んでない方はそちらから先に読むのをお勧めします。こちらだけでも十分ためになるお話ではありますが。
なお、昨日・今日のX氏の投稿内容は、中川昭一氏の逝去に対する、追悼の意味が込められているそうです。そのため、公開情報としてはギリギリの内容を書き記したとのこと。その点ご留意の上、以下をご覧くださいませ。
とある場所、とある話2 Epsode-2
(注意*この話に出てくる登場人物は架空の存在です。しかし、内容はそうではありません。現実にさらされている状況の解説です)
一頻り解説が終わったので、チェックソフトも解析を終了していると考えた職人Xは画面の表示を確認する。
しかし、その表示結果を確認すると彼は眉をしかめた。
職人X
「梓ちゃん、このノートPC、いつ買ったのかな?」
梓
「えっと、一年ちょっと前です。
電気屋さんで、値引きセールやっていたから買ったんですけど?」
心当たりのある猫車は、職人Xに尋ねた。
猫車
「もしかして、職人Xさんの言う、ハズレだったりするんじゃ・・・」
職人X
「時期と部品構成からすると、その可能性があるね。とりあえず、別のメディアに個人データを移してから初期化が一番だと思う
アンチウィルスソフトもちゃんと入れてたよね?」
職人Xの確認に、梓は頷く。
梓
「入れてました。一応無料だったけど」
その返答に、職人Xは頭を抱える。
職人X
「あちゃー。それだと、検疫しつつデータを取り出さないと。
HDDが飛んでないといいんだが・・・」
香織
「無料の物では駄目なんだろうか?」
職人X
「駄目とは言わないよ。ただし、日進月歩で手口が発達しているから対応が遅れがちなところは否定できないんだ。更新料とかから考えたら、VBシリーズが良いけどね」
説明しつつ、職人XはHDDを外し変換アダプターに取り付けると自分のノートPCへと接続する。
直ちに認識され、HDDの状態を表示したので早速ウィルスチェックをかけ始めた。
職人X
「一通りデータは無事みたいだね。後は検疫してからデータを丸ごとサルベージして別のメディアに移せば大丈夫だと思う」
梓
「良かったー。もうレポート駄目かと思った」
梓がほっとした表情で安堵したが、そこに一人の青年が駆け込んできた。
青年
「職人Xさん!!故障したんだけど、急いで見てくれない!?」
職人X
「ん?あれ?どうしたのよ、新城君?先月ここに来たけど、予算がって言って買わなかったんじゃなかった?」
新城
「その後、安いって言う店舗で買ったんだよ!でも、壊れたみたいで・・・しかも、その店は潰れちゃったんだ!!」
職人X
「あちゃー。しょうがないなぁ。だから、あれだけ言ったじゃない。ちゃんと調べてからにした方が良いって」
突如駆け込んできた青年に、猫車達四人は驚く。
しかも、店舗が無くなりサポートが受けられないという話を聞いて戦慄した。
猫車
「閉店しているって・・・。洒落にならないなぁ」
静
「ちょっと、恐いです。」
梓
「頼りになるお店なんだね、ここ」
香織
「気をつけないと、私達もとんでもない物を掴みそうだな」
新城は、四人の会話で自分以外の人物が来ている事を知った。
新城
「えっと、対応中だった?」
職人Xは、苦笑しながら答える
職人X
「そうだよ。だから順番、ちょっと待ってね」
新城
「わかった」
職人X
「猫車ちゃん、HDDは決まったかな?」
猫車
「うん。このWD社の500Gバイトの製品と、この外付けケースを買う」
職人X
「まいどありがとうございます。しめて、9480円です」
猫車
「お願いします。組み立ては自分で出来そうだから、自分でやるね」
職人X
「了解。今のうちに包んでおくね」
職人Xは、カウンターの奥にある棚から商品を取り出して梱包し始める。
丁寧に緩衝材で包み、紙製の手提げ袋に入れるとレジを打つ。
職人X
「9480円です」
猫車
「一万円で」
職人Xに紙幣が渡され、彼は素早く釣り銭を準備すると商品の紙袋とともに猫車に渡した。
職人X
「割れ物だから、気をつけて持って帰ってね。保証は今日から一週間だから、組み立てたらすぐにチェックディスクかけるようにね」
猫車
「わかった。助かったよー」
職人X
「良い物をお客さんには買って欲しいからね。頑張るさ」
梓
「いいなー。あたしも、今度から職人Xさんのところで買おうっと」
香織
「それが無難だな」
静
「私も買おうかしら。そろそろ古くなってきてますし」
職人X
「まずは、梓さんのノートから対応するからカタログを見て考えてね」
香織&静
「はい」
職人Xは、検疫作業の画面に視線を戻す。
表示には、3種類のウィルスが表示されており隔離されたメッセージが出ていた。
職人X
「ウィルスに感染していたみたいだね。とりあえず、別のHDDに移すからそれが終わり次第、初期化して動くようにするね」
梓
「お願いします。無事だと良いなぁ」
職人Xはモバイルタイプの外付けHDDを取り出してさらに接続すると、コマンド入力モードを呼び出してフルコピーを開始した。
終了時間まで暫くかかりそうだったので、彼は新城の方に声をかける。
職人X
「さて、新城君。君の番だよ。どういう形で買ったのか聞かせてもらえるかな?」
新城から詳細を聞き始めた彼は、眉をしかめた。
彼は、通信モデムカードと無線通信の契約がセットになった格安モデルを購入したのだった。
職人Xは、ネットブックと呼ばれる小型ノートPCを梱包から取り出し電源を投入するが初期起動画面すら出てこない有様である。
職人X
「これは駄目かもしれないなぁ。販売していた店舗が潰れた以上、購入店の判子が押されている保証書とレシートをコピー保存した上でメーカーに問い合わせるしかないね」
新城
「そんな・・・」
職人X
「だって、この機種は内部にシールが貼られていて、それを剥がしたりしたら保証が効かなくなる仕様になっているんだよ?
モバイル通信との契約セットだと、二年間は拘束されてしまうはずだから修理におとなしく出すしかないね。先月、君が来た時になんでそういったモデルを扱わないか説明したじゃない」
新城
「1000円は魅力的だったんですよ。まさかこんな事になるとは・・・」
職人X
「とりあえず、修理受付書に記入して貰えるかな?
例文も一緒にあるからわかると思うけど。とりあえず、それを記入して貰って一時預かりしてメーカーに問い合わせするよ。それで良いね?」
新城
「はい、よろしくお願いします」
新城は、職人Xから渡された書類に記入していく。
疑問を感じた香織は、職人Xに尋ねた。
香織
「どうして、分解して確認とかしないんですか?梓の分はしていたのに」
職人X
「このXS社のネットブック、ようするにインターネットとかを見たり目的と性能を限定してコストダウンしたノートPCは、内部に保証規定の封印シールが貼ってあるんだ。
剥がすと、ちゃんと痕跡が残る。そして、保証が効かなくなっちゃうんだ。
だから、梓さんとはケース的に違うんだよ。状態が致命的だし。しかも、通信会社との契約がセットで値引きされているしね。素直に修理か不良品扱いでメーカー送りの方にしないと拗れやすいんだよ」
静
「一種の普及させるために行われる抱き合わせ販売ですわね」
職人X
「そうだね。でも、手法としては悪くないよ?
ただ、海外での生産が中国にシフトしてから品質管理で大きな弊害も出てきているんだ。
それが、結果的にトラブルの増大をもたらしている」
梓
「そんなに違うのかな?というか、あたしのノートPCも中国製?日本のメーカーだったから、買ったんだけど」
職人X
「中国で部品作って、日本で組み立てだと思うよ。組み立て工場が日本にあるし」
香織
「しかし、それで国産を謳うのは少々、語弊があるように思うが?」
職人X
「一貫した生産なんて、今は出来ないから仕方がないと思うよ?今後どうなるかは、わからないけどね」
猫車
「どういう事かな?」
職人X
「さっきも言ったけど、安く作るために海外、特に中国での生産が増えているんだけど、品質管理に問題が多いんだ。
例えば、XBELL社のノートPCでタッチセンサー・スイッチのトラブルが発生していたんだけどなかなか改善されなかったり、XP社の製造で組み立てが荒かったり初期不良が増えたりといったケースがあるんだ。
実際に俺が買った物でも発生して、随分困ったよ」
猫車&梓
「うわー・・・、それ酷すぎる」
静
「そんな事があったんですか・・・。あら?もしかして、中国で生産している他の製品でもなかったかしら?小さい子供向けのオモチャで、確か鉛が混入した塗料が使われていたとかありましたよね?乳母車でも起きていたはずですし」
香織
「椅子でもあったな。土鍋は実際に被害に遭ってしまった」
女性陣それぞれが、多数の問題点の実例に気付き唖然とする。
新城も心当たりがあるのか、顔をしかめる。
職人X
「現在の鳩山政権のせいで海外移転を考えている企業もあるだろうけど、それを実行したとして果たして生き延びられるのか疑問だしね」
猫車
「それ、どういう事?」
職人X
「中国の実態が酷いからだよ。正直、利益構造そのものが破綻しているんじゃないかと思うんだ」
静
「どういう事なんでしょう?」
新城
「それは、僕も聞きたいな」
職人X
「みんなが聞きたいなら良いよ」
全員
「聞きたいです!」
職人X
「それじゃ、解説しようか」
職人Xは、解説を始める
職人X
「まず、中国に移転した場合の問題なんだけど。
これは、品質管理だけじゃないんだ。もっと複合的に絡んだ問題に変化してしまっている。
例えば、これは家電会社の例なんだけど、製造ラインで熟練した人間が育ちにくいという点がある」
静
「え?どういう事なんです?」
職人X
「製造ラインの人間を教育して作業につけるんだけど、熟練してきたかな?という段階でより給料の良い会社に移ってしまう。
インフレで食料の価格が上昇しているのもあるんだけど、日本企業の教育を受けたというのがステータスの一つとして引き抜きが多いんだ。
どんなに教育しても、定着率が悪いので教育コストが全く減らないどころか悪化しているんだ。品質管理部門もあまり品質管理という物について理解してないケースもある」
新城
「それ、製造段階では致命的なんじゃないの?」
職人X
「そうだよ。実際にS社のクッキングヒーターで、製造ミスによる改修で全品駄目だった事がある。
他にも、偽造部品の混入に設計における思考の硬直、かなり問題が大きい。
大量生産で利益を上げればいいという考えも、そもそも一定の範囲を超えたら害悪になるしね」
そこまで話をしたところに、声がかかる。
老人
「物作りの原点を製造業の企業が忘れているんだよ。歩留まりが向上しない原因の解析を放棄しているんだ」
突如現れた人物に聞いていた全員が振り返った。
全員
「誰?」
職人X
「父さん、業界向けの説明じゃ駄目だって。何度も言っているじゃないか」
梓
「え?職人Xさんのお父さんなの?」
猫車
「え゛?ほんとに?」
静
「あらまあ」
香織
「ふむ、似ているな」
新城
「確かに似ている・・・」
職人父
「どうも、息子が世話になってます」
職人X
「まったく、中国のレポートは仕上がったの?」
職人父
「それは、さっき出来上がったよ。ところで、いろいろ説明していたみたいだが?」
職人X
「えっと、父さんは中国の実態を見ているから詳しく解説して貰う?俺とは別の部分を見てきているけど」
全員
「お願いします」
猫車
「製造業の問題点を特に詳しく」
職人父は、解説を始める。
職人父
「まず日本の製造業、「物作り」というものの基本は次の通りのものだったんだ。
1. 品質 『信用して買って貰える顧客に買って貰えばよい。
2. 作る量 『我々が食っていければ好かろう。無理して作って間違いを犯せば信用されなくなる。無理して作らんでも好かろう』
3. 売値 『我々が食っていければ好かろう。材料代が払えりゃ、儲けは欲張らんでも好か。信用が大事じゃ』
それが、かつての姿だったんだ。
昔のSONYや物作り企業の根底にこういったマインドがあったからこそ、世界で信用される品質を維持し、売り上げを伸ばしてきたんだ。
ところが、今や歪な形で数字のみを追いかける状態になってしまっている。何事にも専門家はやりで、市場調査から販売まで、現今のメーカーは専門の会社に任せっ放しばかりで現場を直接確認する事も少ない。
量販店の言分に調査会社の調査の通り。確かに耳を傾けるべき物だけど、日本の場合、変な操作がされる事も少なくないんだ
それが、おかしくなる事を加速させている」
香織
「どういうことかな?」
職人X
「その点の情報操作に関しては、こう言えばいいかな。
アンケートの設問でわざと省いて意見を誘導したり、アンケートに答えてもらう当事者の層を限定したり誘導したりして結果を作る。つまり、操作された創作を結果として渡されるケースがあるという事なんだ。
「知らない物は探せないし、答える事も出来ない」からね。おかげで、バグリポートや故障レポートを何度潰された事か」
猫車
「あー、なるほどね」
職人X
「例えばね。PCで不具合や操作性の問題とか不満をお客さんが伝えたくても、詳しく説明しきれない時が多いでしょ?」
梓
「あ!確かにそうだよ。それに快適な操作とか宣伝で言ってたけど、そんな事無かったもん」
職人X
「本来、PCで動くという事と快適に操作できるという事は、イコールではないんだ。
でも、そういうイコールのイメージで販売される。買うお客もそう思うし、いろいろな教室でPCを教える時もどういった構造で中の仕組みがどうなっているかという事を教えずに操作のみを教える。
声を出して主張したくても出来ないよね?給料を誤魔化されても、数字と計算を教えて貰えず理解できていなかったら気付かないのと同じ。表現として極端かもしれないけどね」
香織
「ううむ、当事者にモラルハザードが起きているという事か。意図的にやっているのだろうか?」
職人X
「もう、無意識のうちにやっているとしか思えないけどね。悲しいかな、担当そのものが詳しくないから理解できないし、マニュアルどおりの想定しかこなせない。
マニュアル以外の思考そのものが出来ないから、モラルハザードを起している自覚すらないというか」
職人父
「そもそも、そういった事態を防ぐためにトップセールス、つまり上層部の人間そのものが勤勉だし現場に出て行っても作業をこなしてのけて、販売にも率先して前に出ていたんだ。
だからこそ、情報が正しく伝わり、それを理解して行動に反映させてくる事が出来たんだよ」
新城
「なるほど。確かに売り物を深く理解してなければ説明すらおぼつきませんよね」
職人父
「そう。現今の世の中は、きちんとした積み重ね無しに遮二無二売ろうとする。そして、その為にはコストが優先されるよね?
その為には「人件費の安い中国にでも外注しようか」ということになる。
しかし、人件費の安さがそのままコストの安さと市場での強さに還元されないのが現実なんだ。まして、中国製品の品質、安全性については以前から問題にされていたのにだよ?」
静
「人件費のコストが還元されてないというのは、どういう事なのでしょう?」
職人X
「これは、歩留まりという物をまず知ってもらっておく必要がある。
今回の場合は、実際に真っ当な商品として売り上げに繋がった製品をカウントする事で考えてみようか」
職人父
「つまり、クレームすら出ずに何らトラブル無く売り上げた場合を歩留まりが良いと仮定するよ?
製品の歩留まり及び市場クレームの処理費用と外注先の人件費のコストとのバランス(この場合は秤ではなくて、利益の残高)が考えられているかどうかなんだ。
人件費は製品の20~25%程度しかない。この金額が十分の一になれば、人件費は2~2.5%でだけど、製造工程と品質管理のために人員を派遣しなければならないことや、輸入してから再検査のために実際の人件費の削減は良くて半分。
ところが、歩留まりは自社生産なら0.99999、つまり百万個生産して不良品の発生は10個程度で、それも修理すれば商品となる程度の製品なのに、外注の場合は現地に品質管理の駐在員を配置していても、国内で再検査を行うと歩留まりは0.955~0.35と、同じ工場の同じラインで生産しているのが信じられない位のバラツキがある。
つまり、百万個生産して不良品の発生は45,000~650,000個になる。
悪いことに、輸入品であるため、不良品を手直しすることもできない。不良品は廃棄されてしまう。
仮に、この商品が国内製造で一万円であったとしよう。
百万個生産して、
売上げは、約99億円。
人件費は、約20億円だ。
外注の場合、歩留まりが0.955と仮定する。
売上げは、約95.5億円。
人件費、10億円。
外注のメリット 歩留り悪化による損が、 99-95.5=3.5(億円)。
人件費削減による利益 、20-10= 10(億円)。
差引き (メリット)、10-3.5= 6.5(億円)。
外注の場合、歩留まりが0.35なら、
売上げは、約35億円。
人件費、10億円。
外注のメリット 歩留り悪化による損、99-35= 64(億円)。
人件費削減による利益、20-10= 10(億円)。
差引き(損失)、64 -10 =54(億円)。
歩留まりの良悪極端な例を示したが、一般的にはこの数値の間を上下している。
要は、外注が品質管理の要員を派遣していても、かなり高いリスクを冒している割にはメリットが少ないことを理解して貰えると思う」
さらに、職人Xがかみ砕いて付け加える。
職人X
「それとね、歩留まりの向上にどれだけ頑張っても金食い虫で一向に改善されないのなら損失のみが積み上がる。
それに拡大しすぎて膨張すると、今度は消費の限界を超えてしまう。
行き渡れば、誰も買わないよね?
消費が縮小した時に、企業がメタボになって生き残れなくなってしまう。
そして、資源そのものも有限なのに不良品の山に変えてしまうと、後々足りなくなる事だってある。
どうやっても、根本的に無理があるとしか言えないんだ。
それに、みんな大前提を忘れて海外移転について議論しているんだよね」
香織
「大前提とは?」
職人X
「あのさあ。海外に移転するとして、製造機械どうするのさ?
中小企業が作っている高精度の部品の集積とかになっているんだよ?
代わりが利くと思う?」
全員
「あ!?」
職人X
「Intel社は、ニコンの光学装置で回路を半導体に焼き付けている。
自動車だって、日本から様々な部品を供給してアメリカで作られている。
変わったところだと、銃の製造メーカーで国防総省・御用達の Knight's Armament Company に Barrett Rifles が日本製工作機械を使用している。
海外に移転して、果たして維持できるかな?
ましてや、CO2削減で被害が波及した場合はどうなる事やら」
職人父
「それを維持している人材もセットで移動させないと、絶対に無理だからね」
職人X
「既に日本市場にたいして見切りをつけてはいるメーカーもいるけどねぇ」
梓
「それ、何処なんですか?」
職人X
「東芝。それも、ノートPC部門が一番良く分かるよ。
だって、アメリカだと日本では売ってないモデルでクアッドコアCPUを搭載した物がある。
ベースは同じなのに、日本では搭載して販売しないんだ。
しかも、新製品の予告がアメリカでは出ているのに、日本では出ていない。
他のメーカーでも、全部のラインナップを出してないしね。
日本は見捨てられつつある」
女性全員
「「「「うわー、はぶられてるのか・・・」」」」
新城
「職人Xさんに言われてたの見ましたよ。あれは確かに出す気がないというか、なんか凄く差がありすぎますよ」
職人X
「でもね、海外に移転して活路を見いだすのは必ずしも正解じゃないんだ。
素材に加工、設計や開発。全てにおいて人材をセットで移転させない限り品質維持すらおぼつかないよ。
市場として見限るのと、海外に脱出するのはイコールじゃないからね」
猫車
「鳩山政権は、トコトン日本を破壊しているわね。退路すら潰している気がするわ」
静
「為替でトラブルを引き起こすような発言をして、日本経済に打撃を加えていますものね。
本当に、亡国としか言えませんわ」
香織
「本当に、政治家として不的確としか言えないな」
梓
「うわー。あたし、卒業しても就職できるか不安になっちゃったよ」
新城
「今回、被害を受けてトコトン思い知りましたよ。しかも、さらに政治が問題を増やすんだもんなぁ。
頭痛がしてくるよ」
職人X
「以上で解説終わり。どうだったかな?」
全員
「良く分かりました。ありがとうございます」
End
追記
この後、梓ちゃんのPCは、初期化で無事復活。
データも全て無事に取り出せてます。
新城君は可哀想ですが、メーカー送りに。
しかし、初期不良が認められて無償交換になりました。 さて、こちらもあたいから付け加える事があんまりないですorz
チャイナリスクの追加ソースとしてはこんなところかな。
■【チャイナリスクに勝つ】 ---「反日デモ」は氷山の一角に過ぎない
http://techon.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20050523/104962/
(閲覧には会員登録が必要となります)
また、支那の社会構造や気質による物だけではなく、産業にとって無くてはならない物が中国では不足しつつあります。
■写真報道:太湖の汚染で、水不足(ちょっとグロ注意)
http://www.epochtimes.jp/jp/2007/06/html/d68967.html
ここまで汚れてしまうと、飲用どころか工業用水としても使えません。日本式の高性能浄水器をもってしても浄化は無理と聞きますし(可能であっても、まともに運用しないので結局同じ結果だったりもしますが)、製造業のこれ以上の展開は無理があるかもしれません。
こう考えていきますと、やはり中国への脱出はまず無理。他国にしても、やはりそれぞれの国ごとにカントリーリスクは存在しますし、何十年も前から準備しつつ地元に浸透して行った企業はともかく、今日とか明日、急に脱出しようというのはもう手遅れかもしれません。
成功したとしても、結局高精度の部品や製造機械は日本でしか作れないものですし、その辺が壊滅した後は調達がままならなくなります。
やはり、現政権を徹底批判して、軌道修正させるのが一番ローコストなのかもしれませんね…それが可能かどうかちょっと疑問ですが。
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内容は昨日のエントリーの続きとなりますので、まだ読んでない方はそちらから先に読むのをお勧めします。こちらだけでも十分ためになるお話ではありますが。
なお、昨日・今日のX氏の投稿内容は、中川昭一氏の逝去に対する、追悼の意味が込められているそうです。そのため、公開情報としてはギリギリの内容を書き記したとのこと。その点ご留意の上、以下をご覧くださいませ。
とある場所、とある話2 Epsode-2
(注意*この話に出てくる登場人物は架空の存在です。しかし、内容はそうではありません。現実にさらされている状況の解説です)
一頻り解説が終わったので、チェックソフトも解析を終了していると考えた職人Xは画面の表示を確認する。
しかし、その表示結果を確認すると彼は眉をしかめた。
職人X
「梓ちゃん、このノートPC、いつ買ったのかな?」
梓
「えっと、一年ちょっと前です。
電気屋さんで、値引きセールやっていたから買ったんですけど?」
心当たりのある猫車は、職人Xに尋ねた。
猫車
「もしかして、職人Xさんの言う、ハズレだったりするんじゃ・・・」
職人X
「時期と部品構成からすると、その可能性があるね。とりあえず、別のメディアに個人データを移してから初期化が一番だと思う
アンチウィルスソフトもちゃんと入れてたよね?」
職人Xの確認に、梓は頷く。
梓
「入れてました。一応無料だったけど」
その返答に、職人Xは頭を抱える。
職人X
「あちゃー。それだと、検疫しつつデータを取り出さないと。
HDDが飛んでないといいんだが・・・」
香織
「無料の物では駄目なんだろうか?」
職人X
「駄目とは言わないよ。ただし、日進月歩で手口が発達しているから対応が遅れがちなところは否定できないんだ。更新料とかから考えたら、VBシリーズが良いけどね」
説明しつつ、職人XはHDDを外し変換アダプターに取り付けると自分のノートPCへと接続する。
直ちに認識され、HDDの状態を表示したので早速ウィルスチェックをかけ始めた。
職人X
「一通りデータは無事みたいだね。後は検疫してからデータを丸ごとサルベージして別のメディアに移せば大丈夫だと思う」
梓
「良かったー。もうレポート駄目かと思った」
梓がほっとした表情で安堵したが、そこに一人の青年が駆け込んできた。
青年
「職人Xさん!!故障したんだけど、急いで見てくれない!?」
職人X
「ん?あれ?どうしたのよ、新城君?先月ここに来たけど、予算がって言って買わなかったんじゃなかった?」
新城
「その後、安いって言う店舗で買ったんだよ!でも、壊れたみたいで・・・しかも、その店は潰れちゃったんだ!!」
職人X
「あちゃー。しょうがないなぁ。だから、あれだけ言ったじゃない。ちゃんと調べてからにした方が良いって」
突如駆け込んできた青年に、猫車達四人は驚く。
しかも、店舗が無くなりサポートが受けられないという話を聞いて戦慄した。
猫車
「閉店しているって・・・。洒落にならないなぁ」
静
「ちょっと、恐いです。」
梓
「頼りになるお店なんだね、ここ」
香織
「気をつけないと、私達もとんでもない物を掴みそうだな」
新城は、四人の会話で自分以外の人物が来ている事を知った。
新城
「えっと、対応中だった?」
職人Xは、苦笑しながら答える
職人X
「そうだよ。だから順番、ちょっと待ってね」
新城
「わかった」
職人X
「猫車ちゃん、HDDは決まったかな?」
猫車
「うん。このWD社の500Gバイトの製品と、この外付けケースを買う」
職人X
「まいどありがとうございます。しめて、9480円です」
猫車
「お願いします。組み立ては自分で出来そうだから、自分でやるね」
職人X
「了解。今のうちに包んでおくね」
職人Xは、カウンターの奥にある棚から商品を取り出して梱包し始める。
丁寧に緩衝材で包み、紙製の手提げ袋に入れるとレジを打つ。
職人X
「9480円です」
猫車
「一万円で」
職人Xに紙幣が渡され、彼は素早く釣り銭を準備すると商品の紙袋とともに猫車に渡した。
職人X
「割れ物だから、気をつけて持って帰ってね。保証は今日から一週間だから、組み立てたらすぐにチェックディスクかけるようにね」
猫車
「わかった。助かったよー」
職人X
「良い物をお客さんには買って欲しいからね。頑張るさ」
梓
「いいなー。あたしも、今度から職人Xさんのところで買おうっと」
香織
「それが無難だな」
静
「私も買おうかしら。そろそろ古くなってきてますし」
職人X
「まずは、梓さんのノートから対応するからカタログを見て考えてね」
香織&静
「はい」
職人Xは、検疫作業の画面に視線を戻す。
表示には、3種類のウィルスが表示されており隔離されたメッセージが出ていた。
職人X
「ウィルスに感染していたみたいだね。とりあえず、別のHDDに移すからそれが終わり次第、初期化して動くようにするね」
梓
「お願いします。無事だと良いなぁ」
職人Xはモバイルタイプの外付けHDDを取り出してさらに接続すると、コマンド入力モードを呼び出してフルコピーを開始した。
終了時間まで暫くかかりそうだったので、彼は新城の方に声をかける。
職人X
「さて、新城君。君の番だよ。どういう形で買ったのか聞かせてもらえるかな?」
新城から詳細を聞き始めた彼は、眉をしかめた。
彼は、通信モデムカードと無線通信の契約がセットになった格安モデルを購入したのだった。
職人Xは、ネットブックと呼ばれる小型ノートPCを梱包から取り出し電源を投入するが初期起動画面すら出てこない有様である。
職人X
「これは駄目かもしれないなぁ。販売していた店舗が潰れた以上、購入店の判子が押されている保証書とレシートをコピー保存した上でメーカーに問い合わせるしかないね」
新城
「そんな・・・」
職人X
「だって、この機種は内部にシールが貼られていて、それを剥がしたりしたら保証が効かなくなる仕様になっているんだよ?
モバイル通信との契約セットだと、二年間は拘束されてしまうはずだから修理におとなしく出すしかないね。先月、君が来た時になんでそういったモデルを扱わないか説明したじゃない」
新城
「1000円は魅力的だったんですよ。まさかこんな事になるとは・・・」
職人X
「とりあえず、修理受付書に記入して貰えるかな?
例文も一緒にあるからわかると思うけど。とりあえず、それを記入して貰って一時預かりしてメーカーに問い合わせするよ。それで良いね?」
新城
「はい、よろしくお願いします」
新城は、職人Xから渡された書類に記入していく。
疑問を感じた香織は、職人Xに尋ねた。
香織
「どうして、分解して確認とかしないんですか?梓の分はしていたのに」
職人X
「このXS社のネットブック、ようするにインターネットとかを見たり目的と性能を限定してコストダウンしたノートPCは、内部に保証規定の封印シールが貼ってあるんだ。
剥がすと、ちゃんと痕跡が残る。そして、保証が効かなくなっちゃうんだ。
だから、梓さんとはケース的に違うんだよ。状態が致命的だし。しかも、通信会社との契約がセットで値引きされているしね。素直に修理か不良品扱いでメーカー送りの方にしないと拗れやすいんだよ」
静
「一種の普及させるために行われる抱き合わせ販売ですわね」
職人X
「そうだね。でも、手法としては悪くないよ?
ただ、海外での生産が中国にシフトしてから品質管理で大きな弊害も出てきているんだ。
それが、結果的にトラブルの増大をもたらしている」
梓
「そんなに違うのかな?というか、あたしのノートPCも中国製?日本のメーカーだったから、買ったんだけど」
職人X
「中国で部品作って、日本で組み立てだと思うよ。組み立て工場が日本にあるし」
香織
「しかし、それで国産を謳うのは少々、語弊があるように思うが?」
職人X
「一貫した生産なんて、今は出来ないから仕方がないと思うよ?今後どうなるかは、わからないけどね」
猫車
「どういう事かな?」
職人X
「さっきも言ったけど、安く作るために海外、特に中国での生産が増えているんだけど、品質管理に問題が多いんだ。
例えば、XBELL社のノートPCでタッチセンサー・スイッチのトラブルが発生していたんだけどなかなか改善されなかったり、XP社の製造で組み立てが荒かったり初期不良が増えたりといったケースがあるんだ。
実際に俺が買った物でも発生して、随分困ったよ」
猫車&梓
「うわー・・・、それ酷すぎる」
静
「そんな事があったんですか・・・。あら?もしかして、中国で生産している他の製品でもなかったかしら?小さい子供向けのオモチャで、確か鉛が混入した塗料が使われていたとかありましたよね?乳母車でも起きていたはずですし」
香織
「椅子でもあったな。土鍋は実際に被害に遭ってしまった」
女性陣それぞれが、多数の問題点の実例に気付き唖然とする。
新城も心当たりがあるのか、顔をしかめる。
職人X
「現在の鳩山政権のせいで海外移転を考えている企業もあるだろうけど、それを実行したとして果たして生き延びられるのか疑問だしね」
猫車
「それ、どういう事?」
職人X
「中国の実態が酷いからだよ。正直、利益構造そのものが破綻しているんじゃないかと思うんだ」
静
「どういう事なんでしょう?」
新城
「それは、僕も聞きたいな」
職人X
「みんなが聞きたいなら良いよ」
全員
「聞きたいです!」
職人X
「それじゃ、解説しようか」
職人Xは、解説を始める
職人X
「まず、中国に移転した場合の問題なんだけど。
これは、品質管理だけじゃないんだ。もっと複合的に絡んだ問題に変化してしまっている。
例えば、これは家電会社の例なんだけど、製造ラインで熟練した人間が育ちにくいという点がある」
静
「え?どういう事なんです?」
職人X
「製造ラインの人間を教育して作業につけるんだけど、熟練してきたかな?という段階でより給料の良い会社に移ってしまう。
インフレで食料の価格が上昇しているのもあるんだけど、日本企業の教育を受けたというのがステータスの一つとして引き抜きが多いんだ。
どんなに教育しても、定着率が悪いので教育コストが全く減らないどころか悪化しているんだ。品質管理部門もあまり品質管理という物について理解してないケースもある」
新城
「それ、製造段階では致命的なんじゃないの?」
職人X
「そうだよ。実際にS社のクッキングヒーターで、製造ミスによる改修で全品駄目だった事がある。
他にも、偽造部品の混入に設計における思考の硬直、かなり問題が大きい。
大量生産で利益を上げればいいという考えも、そもそも一定の範囲を超えたら害悪になるしね」
そこまで話をしたところに、声がかかる。
老人
「物作りの原点を製造業の企業が忘れているんだよ。歩留まりが向上しない原因の解析を放棄しているんだ」
突如現れた人物に聞いていた全員が振り返った。
全員
「誰?」
職人X
「父さん、業界向けの説明じゃ駄目だって。何度も言っているじゃないか」
梓
「え?職人Xさんのお父さんなの?」
猫車
「え゛?ほんとに?」
静
「あらまあ」
香織
「ふむ、似ているな」
新城
「確かに似ている・・・」
職人父
「どうも、息子が世話になってます」
職人X
「まったく、中国のレポートは仕上がったの?」
職人父
「それは、さっき出来上がったよ。ところで、いろいろ説明していたみたいだが?」
職人X
「えっと、父さんは中国の実態を見ているから詳しく解説して貰う?俺とは別の部分を見てきているけど」
全員
「お願いします」
猫車
「製造業の問題点を特に詳しく」
職人父は、解説を始める。
職人父
「まず日本の製造業、「物作り」というものの基本は次の通りのものだったんだ。
1. 品質 『信用して買って貰える顧客に買って貰えばよい。
2. 作る量 『我々が食っていければ好かろう。無理して作って間違いを犯せば信用されなくなる。無理して作らんでも好かろう』
3. 売値 『我々が食っていければ好かろう。材料代が払えりゃ、儲けは欲張らんでも好か。信用が大事じゃ』
それが、かつての姿だったんだ。
昔のSONYや物作り企業の根底にこういったマインドがあったからこそ、世界で信用される品質を維持し、売り上げを伸ばしてきたんだ。
ところが、今や歪な形で数字のみを追いかける状態になってしまっている。何事にも専門家はやりで、市場調査から販売まで、現今のメーカーは専門の会社に任せっ放しばかりで現場を直接確認する事も少ない。
量販店の言分に調査会社の調査の通り。確かに耳を傾けるべき物だけど、日本の場合、変な操作がされる事も少なくないんだ
それが、おかしくなる事を加速させている」
香織
「どういうことかな?」
職人X
「その点の情報操作に関しては、こう言えばいいかな。
アンケートの設問でわざと省いて意見を誘導したり、アンケートに答えてもらう当事者の層を限定したり誘導したりして結果を作る。つまり、操作された創作を結果として渡されるケースがあるという事なんだ。
「知らない物は探せないし、答える事も出来ない」からね。おかげで、バグリポートや故障レポートを何度潰された事か」
猫車
「あー、なるほどね」
職人X
「例えばね。PCで不具合や操作性の問題とか不満をお客さんが伝えたくても、詳しく説明しきれない時が多いでしょ?」
梓
「あ!確かにそうだよ。それに快適な操作とか宣伝で言ってたけど、そんな事無かったもん」
職人X
「本来、PCで動くという事と快適に操作できるという事は、イコールではないんだ。
でも、そういうイコールのイメージで販売される。買うお客もそう思うし、いろいろな教室でPCを教える時もどういった構造で中の仕組みがどうなっているかという事を教えずに操作のみを教える。
声を出して主張したくても出来ないよね?給料を誤魔化されても、数字と計算を教えて貰えず理解できていなかったら気付かないのと同じ。表現として極端かもしれないけどね」
香織
「ううむ、当事者にモラルハザードが起きているという事か。意図的にやっているのだろうか?」
職人X
「もう、無意識のうちにやっているとしか思えないけどね。悲しいかな、担当そのものが詳しくないから理解できないし、マニュアルどおりの想定しかこなせない。
マニュアル以外の思考そのものが出来ないから、モラルハザードを起している自覚すらないというか」
職人父
「そもそも、そういった事態を防ぐためにトップセールス、つまり上層部の人間そのものが勤勉だし現場に出て行っても作業をこなしてのけて、販売にも率先して前に出ていたんだ。
だからこそ、情報が正しく伝わり、それを理解して行動に反映させてくる事が出来たんだよ」
新城
「なるほど。確かに売り物を深く理解してなければ説明すらおぼつきませんよね」
職人父
「そう。現今の世の中は、きちんとした積み重ね無しに遮二無二売ろうとする。そして、その為にはコストが優先されるよね?
その為には「人件費の安い中国にでも外注しようか」ということになる。
しかし、人件費の安さがそのままコストの安さと市場での強さに還元されないのが現実なんだ。まして、中国製品の品質、安全性については以前から問題にされていたのにだよ?」
静
「人件費のコストが還元されてないというのは、どういう事なのでしょう?」
職人X
「これは、歩留まりという物をまず知ってもらっておく必要がある。
今回の場合は、実際に真っ当な商品として売り上げに繋がった製品をカウントする事で考えてみようか」
職人父
「つまり、クレームすら出ずに何らトラブル無く売り上げた場合を歩留まりが良いと仮定するよ?
製品の歩留まり及び市場クレームの処理費用と外注先の人件費のコストとのバランス(この場合は秤ではなくて、利益の残高)が考えられているかどうかなんだ。
人件費は製品の20~25%程度しかない。この金額が十分の一になれば、人件費は2~2.5%でだけど、製造工程と品質管理のために人員を派遣しなければならないことや、輸入してから再検査のために実際の人件費の削減は良くて半分。
ところが、歩留まりは自社生産なら0.99999、つまり百万個生産して不良品の発生は10個程度で、それも修理すれば商品となる程度の製品なのに、外注の場合は現地に品質管理の駐在員を配置していても、国内で再検査を行うと歩留まりは0.955~0.35と、同じ工場の同じラインで生産しているのが信じられない位のバラツキがある。
つまり、百万個生産して不良品の発生は45,000~650,000個になる。
悪いことに、輸入品であるため、不良品を手直しすることもできない。不良品は廃棄されてしまう。
仮に、この商品が国内製造で一万円であったとしよう。
百万個生産して、
売上げは、約99億円。
人件費は、約20億円だ。
外注の場合、歩留まりが0.955と仮定する。
売上げは、約95.5億円。
人件費、10億円。
外注のメリット 歩留り悪化による損が、 99-95.5=3.5(億円)。
人件費削減による利益 、20-10= 10(億円)。
差引き (メリット)、10-3.5= 6.5(億円)。
外注の場合、歩留まりが0.35なら、
売上げは、約35億円。
人件費、10億円。
外注のメリット 歩留り悪化による損、99-35= 64(億円)。
人件費削減による利益、20-10= 10(億円)。
差引き(損失)、64 -10 =54(億円)。
歩留まりの良悪極端な例を示したが、一般的にはこの数値の間を上下している。
要は、外注が品質管理の要員を派遣していても、かなり高いリスクを冒している割にはメリットが少ないことを理解して貰えると思う」
さらに、職人Xがかみ砕いて付け加える。
職人X
「それとね、歩留まりの向上にどれだけ頑張っても金食い虫で一向に改善されないのなら損失のみが積み上がる。
それに拡大しすぎて膨張すると、今度は消費の限界を超えてしまう。
行き渡れば、誰も買わないよね?
消費が縮小した時に、企業がメタボになって生き残れなくなってしまう。
そして、資源そのものも有限なのに不良品の山に変えてしまうと、後々足りなくなる事だってある。
どうやっても、根本的に無理があるとしか言えないんだ。
それに、みんな大前提を忘れて海外移転について議論しているんだよね」
香織
「大前提とは?」
職人X
「あのさあ。海外に移転するとして、製造機械どうするのさ?
中小企業が作っている高精度の部品の集積とかになっているんだよ?
代わりが利くと思う?」
全員
「あ!?」
職人X
「Intel社は、ニコンの光学装置で回路を半導体に焼き付けている。
自動車だって、日本から様々な部品を供給してアメリカで作られている。
変わったところだと、銃の製造メーカーで国防総省・御用達の Knight's Armament Company に Barrett Rifles が日本製工作機械を使用している。
海外に移転して、果たして維持できるかな?
ましてや、CO2削減で被害が波及した場合はどうなる事やら」
職人父
「それを維持している人材もセットで移動させないと、絶対に無理だからね」
職人X
「既に日本市場にたいして見切りをつけてはいるメーカーもいるけどねぇ」
梓
「それ、何処なんですか?」
職人X
「東芝。それも、ノートPC部門が一番良く分かるよ。
だって、アメリカだと日本では売ってないモデルでクアッドコアCPUを搭載した物がある。
ベースは同じなのに、日本では搭載して販売しないんだ。
しかも、新製品の予告がアメリカでは出ているのに、日本では出ていない。
他のメーカーでも、全部のラインナップを出してないしね。
日本は見捨てられつつある」
女性全員
「「「「うわー、はぶられてるのか・・・」」」」
新城
「職人Xさんに言われてたの見ましたよ。あれは確かに出す気がないというか、なんか凄く差がありすぎますよ」
職人X
「でもね、海外に移転して活路を見いだすのは必ずしも正解じゃないんだ。
素材に加工、設計や開発。全てにおいて人材をセットで移転させない限り品質維持すらおぼつかないよ。
市場として見限るのと、海外に脱出するのはイコールじゃないからね」
猫車
「鳩山政権は、トコトン日本を破壊しているわね。退路すら潰している気がするわ」
静
「為替でトラブルを引き起こすような発言をして、日本経済に打撃を加えていますものね。
本当に、亡国としか言えませんわ」
香織
「本当に、政治家として不的確としか言えないな」
梓
「うわー。あたし、卒業しても就職できるか不安になっちゃったよ」
新城
「今回、被害を受けてトコトン思い知りましたよ。しかも、さらに政治が問題を増やすんだもんなぁ。
頭痛がしてくるよ」
職人X
「以上で解説終わり。どうだったかな?」
全員
「良く分かりました。ありがとうございます」
End
追記
この後、梓ちゃんのPCは、初期化で無事復活。
データも全て無事に取り出せてます。
新城君は可哀想ですが、メーカー送りに。
しかし、初期不良が認められて無償交換になりました。 さて、こちらもあたいから付け加える事があんまりないですorz
チャイナリスクの追加ソースとしてはこんなところかな。
■【チャイナリスクに勝つ】 ---「反日デモ」は氷山の一角に過ぎない
http://techon.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20050523/104962/
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また、支那の社会構造や気質による物だけではなく、産業にとって無くてはならない物が中国では不足しつつあります。
■写真報道:太湖の汚染で、水不足(ちょっとグロ注意)
http://www.epochtimes.jp/jp/2007/06/html/d68967.html
ここまで汚れてしまうと、飲用どころか工業用水としても使えません。日本式の高性能浄水器をもってしても浄化は無理と聞きますし(可能であっても、まともに運用しないので結局同じ結果だったりもしますが)、製造業のこれ以上の展開は無理があるかもしれません。
こう考えていきますと、やはり中国への脱出はまず無理。他国にしても、やはりそれぞれの国ごとにカントリーリスクは存在しますし、何十年も前から準備しつつ地元に浸透して行った企業はともかく、今日とか明日、急に脱出しようというのはもう手遅れかもしれません。
成功したとしても、結局高精度の部品や製造機械は日本でしか作れないものですし、その辺が壊滅した後は調達がままならなくなります。
やはり、現政権を徹底批判して、軌道修正させるのが一番ローコストなのかもしれませんね…それが可能かどうかちょっと疑問ですが。
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