How China Cooks Its Books
中国の統計操作はどのように行われているか

 毛沢東時代以来、中国が経済や財政の統計を操作していたことは公然の秘密である。しかし、全てが落ち目の現在、それが可能だろうか?


BY JORDAN CALINOFF | 2009年9月3日

 今年二月、中国の地方労働省の官僚は、広東省の電子機器工場の大規模なレイオフを『手伝い』にやって来た。工場のオーナーは官僚が来た事に神経を尖らせたが、口は閉じていた。誰であれ官僚が解雇を邪魔するのは法律違反だと、彼は不平を漏らしつつ付け加えている。しかし、彼らこそが法律だったのである!そして官僚たちは、被雇用者達にレイオフを受け入れて法的な解雇手当を受けるか、もしくは『自主退職』して、より高額の前渡し金を受けるなど、好条件での取引を提示しろと彼に命じた。 

 「約70%の労働者が自主退職に応じたと私は見積もっています。これは広東中で起きている事です」と、工場主は語る。「労働省を助けても、彼らはずっと後になってからしか私を助けてくれません」

 『自主退職者』は失業者数にカウントされないため、秘密とされながらも大規模かつ公然と行われているこれらの指導は、中国の統計操作の一助となっている。政府は景気下降開始以来、約2千万人の季節工場労働者が失業したと見積もっている。しかし、シティグループのチーフアジアエコノミスト・Yiping Huang氏の見積もりによると、『自主退職』を含めた失業者数は約4千~5千万人に迫る数値になるとされている。これはドイツの労働者人口とほぼ同じ規模である。
 失業者統計と同様に、中国はGDPから小売販売高に至る生産活動に関わる数値の全てを歪曲している。この種の数合わせは非倫理的であるだけにとどまらず、危険を孕んでもいる。バラ色の経済統計作成を推し進めるならば、中国経済は崖っぷちに追いやられる事になるかもしれない。

 西側メディアはしばしば中国の統計操作を、一枚岩的な中央政府と絶対的権威を持つ北京官僚の要として描写している。しかし、地方に分散した閣僚から中央集権化された政府の生み出したものまで、問題は様々である。

 統計を歪曲したり捏造すべしとする圧力は、おそらく中国の上昇志向からきているのであろう──それは激しいものである。
 「中国は毎年、年間GDP成長目標を発表している。彼らの文化において、政府は目標を達成しなければならない。さもなくば、彼らは『面目を失う』事となるであろう」と、中国・欧州国際ビジネススクールのLujiazui国際金融研究センター次長であるGary Liu氏は述べている。「例えば、政府は2009年のGDP成長率8%を確実な物としたいと発表し、その目標に取り組む事が政府官僚の最優先事項となってしまった」

 しかし、地方自治体や省政府の当局者達がしたのは、実際には数値を玩ぶ事であった。彼らは少なからぬ自立性と権力を保持しており、経済統計を操作するだけの利己的な理由も持っている。彼らが中央政府の経済目標を達成、もしくは超過した場合、より高い役職や多くの金銭で報われる事となる。「(彼らの提示する)GDP(値)が高ければ高いほど、地方官僚の昇進機会が増える事となるだろう」と、Liu氏は説明している。

 統計分野におけるこの種の創造性の発露は、中国では目新しい物ではない。1958年、毛沢東主席は中国の粗鋼生産量を伸ばし、15年以内に英国のそれを追い抜くと宣言し、中国中の村々を動員している。村人達は法外な生産目標達成に向けた無駄な試みのために裏庭に鉄鋼炉を建設し、鍋やフライパンを溶かし、さらには自らの家具を鋼炉の燃料として用いることすらした。これらの努力は役に立たない銑鉄を産み出し、労働者達の多くを農業から遠ざけた結果、大躍進政策による猛烈な飢饉の主原因となってしまった。
 支那の失業者数算定にこんなからくりが。単純に職の無い求職者数から求めてるわけではなくて、自主退職した人間はカウントしないって、こりゃまた凄い算定方式。
 農民工含めたら失業者数1割超えるんじゃないかと言われてますが、実際にはそれですら甘い想定のような気がしてきました。

 さて、改革開放政策に転じて久しいわけですが、未だに支那はノルマ至上主義という旧共産圏の呪縛から逃れられていないようです。それ故、電力消費量や原材料輸入が低迷しているのに経済成長を遂げてたりと、変な数字ばかり出てくるんでしょうね。
 半万歩譲って、北京の当局が正直に自分達の把握している数字を発表しているとしても、地方から上がって来る数字がこの調子じゃ、まともな経済計画など立てられるはずもありません。
 実情を反映しない無理な計画は、記事にもありますとおり大躍進政策の再現となって、支那を破滅に追いやるかもしれません。そうなりたくなかったら、論功行賞のあり方について大幅な改革をすべきだと思うのですが、それが出来るものやら…旧共産圏の名残だけで片付けられる問題じゃなさそうですし、なかなか難しいのかな~


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