European bank bail-out could push EU into crisis
欧州の銀行に対する緊急援助策はEUを危機へと追いやるだろう
ブリュッセルの機密文書によると、欧州の銀行が保有する有毒資産への緊急援助によって、欧州連合は危機に陥ることとなるであろう。


European banks may need massive bail-out
欧州の銀行は巨額の緊急援助が必要になるであろう
ブリュッセルの機密文書によると、16兆3千億ポンドの有毒資産を保有する欧州の銀行は巨額の損失を被る可能性がある。


By Bruno Waterfield in Brussels

 火曜日にアリスター・ダーリング財務大臣を含む蔵相によって議論された17ページの極秘文書は、不良資産の買取や保証を政府が試みることによって、欧州連合はより深い危機に陥るだろうと警告している。

 投資家達 ──特に欧州政府に融資している人々── がスペインやギリシャ、ポルトガル、アイルランド、イタリア及び英国といった国々の返済能力に疑問を抱いてる最中に、欧州での第二の銀行救済策が政府借り入れを増大させることに各国首脳とEU当局は共通の危惧を抱いている。

 「予想される資産評価損の推定合計額は、資産保全の予算コストが絶対値と加盟国のGDPとの比較において──実質的にも付随的にも──巨額な物となることを示唆している」EC文書を調査したデイリーテレグラフ誌はこう警告する。

 「資産保全に対する政府支援が、過重債務や金融問題に対する懸念を引き起こす規模にしないことが重要である」

 欧州委員会当局者は『資産の減損』合計が、EU銀行バランスシートの44%に達すると見積もっている。『証券投資勘定』内のいわゆる金融商品は、合計12兆3千億ポンド(13兆7千億ユーロ)に達すると委員会は見積もっており、これはEU銀行バランスシートの約33%に等しい数値である。

 加えて、主要項目数値の16兆3千億ポンドに達するよう、いわゆる『売却可能証券』が4兆ポンド(4兆5千億ユーロ)乃至バランスシート中の11%分が委員会によって加算されている。

 銀行は異なる方法で試算を説明している。『銀行勘定』に記載される貸付や他の資産は、機関が満期まで保持する事を前提としているが、『証券投資勘定』に記載された資産は現在の市場価格で評価しなければならない。他の資産は『売却可能』と分類され、市場価格で評価されることになる。

 今月後半に『有害な』銀行資産を評価するための規則立案でEU当局者が果たす役割を考える上で、委員会の提示した数値は重要である。銀行を救済するための新たな措置は、2月末のEU緊急サミットで議論されることになるだろう。欧州各国が売却した債券の値開きが広がることに、EUは深い危惧を抱いている。

 リスクや他国と比較して劣弱なEUの経済力に従い、投資家達はドイツに代わってイタリアのような国に融資するために、より高い利率を融資先の国へと要求している。大臣や当局者は処理の進行が進むにつれ、ユーロとEUの双方を崩壊へと導く悪循環のスパイラルに陥るのではないかと恐れている。

 「このような問題は財政赤字が拡大している現在の状況、公的負債水準の上昇、そして公債の自主発行への挑戦において特に重要である」と、欧州委員会の文書は警告している。

>16兆3千億ポンドの有毒資産

   __i.\_/!_
  ゝ, "´⌒`ヽ
   ノ.ノメノハノ〉〉
 |\ル.!; дノ!                 ゜ ゜
  \ k_(つ旦i'、. 
  ∠'とノ__')_)>  

 いやいやいや無理無理無理カタツムリ!
 日本円にして2424兆2299億もの不良資産、どう処理すればいいんだか…不良資産(Non-performing assets)ではなく、有毒資産(toxic assets)と表現したくなるのもわかる気がしますね。この記事は2月に発表されたものですが、好転するような材料もないですし、恐らく状況は変わってないか、悪くなってると考えるべきでしょう。

 ところで、訳文のタイトルとサブタイトル、それに付随するソースurlが二つずつある事を疑問に思った人もいるでしょう。実はこの記事、デイリーテレグラフ誌に発表された時、『European banks may need massive bail-out』(下)のタイトルで掲載されていて、そっちには具体的な数値が表示されていたのです。が、よっぽどまずかったのか、数時間後に『European bank bail-out could push EU into crisis』(上)にタイトルが差し替えられ、本文の方も具体的な数値が記載されている箇所がごっそり削除されていたりします。(ちなみに、この記事のソースは戸締りボスにいただきました。上手く訳せてるといいんだけど…)

 ストレステストの結果公表をしぶるのも無理もないです(ストレステスト、結果公表の可能性ある=アルムニア欧州委員)。
 「(ストレステスト結果の公表は)あり得る。公表するにせよしないにせよ、透明性は非常に重要だ」って、公表しないストレステストに意味があるのかな? とは思いますが、公表したらしたで、ただでさえ崖っぷちの欧州経済にトドメ刺すことにもなりかねないですし。
 IMF等はEU域内の経済対策が国レベルで行われてることに不満があるようですが、経済構造も産業に対する気質もそれぞれ違う国がEUという網に包まれてる事の方が、実は異常なんじゃないかな?などと思います。それでも好況時は矛盾も無理も出てこないんでしょうけど。
 かと言って、今になってEUを解体するというのも無理があるような気がします。GMのように、『ニューEU』と『バッドEU』に分けて不良債権処理を目指すのはどう考えても無理でしょう…それこそ戦争になりかねません。
 結局のところ『有毒資産』を塩漬けにして、嵐が過ぎ去るのを待つしかないのでしょうけど…今のEUにそれだけの余裕があるのかどうか疑問です。資本主義経済の牽引役である合衆国も、カリフォルニアをはじめとして破綻しそうな州を抱えてますし、建前はともかく実際には自国企業の保護に走ることは確実。世界経済の浮揚が数年じゃ済みそうもないくらい期待できない以上、どこかで足を滑らせて(既に滑ってね?という突っ込みは置いておくとして)世界に毒素を撒き散らして崩壊してしまいそうな気がしてなりません。
 こーいうのを見てしまいますと、地域を一つの経済圏として纏めてしまえという主張──こうした主張をする人は日本にもゴロゴロ居ますね───、非常に乱暴で危険な思いつきのような気がしてなりません。皆さんはどう思います?

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