Shipowners face $80bn funding gap
800億ドルの資金不足に直面する船主達

Roger Hailey - 2009年7月1日水曜日

 海事業種の不安定化に伴う従来の貸出銀行のリスク削減策実行の結果、船主は一年に800億ドルにのぼる新造船及び中古船購入資金の不足に直面する事となった。

 アイルランド銀行の海事事業部長Paul Packard氏は、次の3年間で引き渡し予定の新造船が概算で6500億ドル分存在し、そのうちの50%は銀行に委ねられていると述べている。

 海運業界は平均60%のレバレッジを利用している。彼らは新造船資金に1年で650億ドル、船舶の売買にさらに150億ドルを必要としているとPackard氏は語った。

 「したがって、合計で800億ドルが必要とされており、この分については未だ融資を受けてはいない。全てが海運関連の金融資産構成縮小を望んでいる状況下で、市場の65%を占めるトップ10の『海運』銀行を見るならば、800億ドルをどこから調達すべきか判断するのは難しい」

 リバプールで開催されたNavigatorの後援するShort Sea Congressにおいて、銀行が海運業者への融資を認めたとしても、不足している800億ドルのうち半分を埋めることしか出来ないとPackard氏は語っている。

 脆弱なバランスシート、損失、資産ベースの縮小に加え、海運業に『魅力を感じられない』という事実などの複合要因によって、商業銀行は融資を『殆ど止める』事になるだろうと彼は結論付けている。

 船主達は自身の資産を含む、他の財源を探さなくてはならない。

 「海運業界はここ数年好況にあり、賢明かつ幸運な人々は非常に多額の現金を運用しつつ、売買活動に資金を供給する事が可能であった」と彼は語る。

 輸出金融がもう一つの可能性であるとPackard氏は付け加えた。特に韓国の造船企業において、新造船注文を支援すべく船主達は交渉を持ちかけている。

 「造船は韓国に於ける主要産業であり、資金不足による機能停止を政府は望んではいない」

 日本、韓国、そして中国政府は、大規模な輸出金融機関を有しているが、それらからの財政的援助は普遍的に利用できる物ではなかったと彼は付け加えている。

 Packard氏は主要海運部門の注文書を参照しつつ、タンカー市場に占める新造船の比率は10~20%が好ましいとしつつも、現在の37%を『良好』であると語る。

 彼はドライバルク市場の新造船比率69%を「まったく恐ろしいことだ」と述べている。ケープサイズの注文は100%を超えており、「サイズが大きいほど、より酷い事になるだろう」とも語った。

 「これはあまりにも多すぎる」

 コンテナ船市場の新造船比率は45%であり、再び大型船取得の方向へと傾いていると彼は付け加えた。

 「800億ドルもの資金不足は、輸出機関や船主の資産といった他の財源では埋め切れない。そのため、これらの注文のいくつかはキャンセルされる可能性が十分にあるだろう」

 現在、主に大型船部門に於いて、注文の約30%がキャンセルされるとの見込みで見解が一致していると彼は語った。
 現時点でもキャンセルの嵐が吹き荒れている造船業界。まだまだ波は高くなる一方のようですね。
 幸いな事に日本造船業界の得意先の殆どが国内であり、経営方針も闇雲なシェアの拡大を目指してるわけでもないので影響は極小のようですけどね(日本において、契約発効後にキャンセルとなった事例は、2008年12月、日本船主が預託金を支払った後、中型ばら積み船の建造を破棄したケースが初めてとなる[日本財団:中国海事通信より])。
 それにしても、日本財団の海事通信見ると凄いですね…世界船舶キャンセル件数のうち220隻・40%が韓国に発注した物だとか。闇雲にシェアの拡大を目指すからこーいう目に。2007年までの受注推移は以下のようになってます(日本舶用工業会HPより)。
巡る因果の猫車-世界の主要造船国別受注量の推移(G/Tベース)
(クリックで拡大)

 くくく、圧倒的ではないかウリナラの受注量は…って、ここまで凄いとは思ってなかったorz
 日本がほとんど横ばいなのに対して、中韓の伸び率が半端じゃないですね。当時はこれ見て勝ち誇ってたんでしょうね~。行く手に暗礁があるのにも気付かずに。
 当面は輸出補助金などの保護政策で切り抜けようとするのでしょうけど、各国の非難も高まるでしょうし、いつまで続くことやら。

 船舶需要が落ち込むということは、主要造船国へのキーパーツ輸出も冷え込みますし、ちょっと心配ではあります。中韓の度を越した過剰設備削減で留まってくれると助かるのですが。日本もしばらくは厳しい事になりそうですね。

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