Half of China’s Massive Stimulus Lending Playing with Stocks, Houses, not the Real Economy
中国の大規模刺激策の半分は、実体経済ではなく株式や住宅などに投じられている

By CSC staff 上海発 2009年6月30日

 巨額に上る中国の思い切った融資のうち半分は、おそらく意図していた実体経済には流れてはいない。その代わりに不動産と株式市場に投入されており、金融システムの中で自己循環を起こしている。そのため、中国の金融監督当局は資産バブルの発生を深刻に懸念している。

 国務院開発リサーチセンターの専門家Wei Jianing氏は、融資資金の約20%が株式市場に投資され、約30%が現金市場に投資されていると自身の調査を引用し語った。これは融資の約半分が金融システムの内部で循環している事を意味しており、資産価格を押し上げる要因となっている。

 全人代常務委員会の副議長Cheng Siwei氏も同様の判断を下している。彼は第一四半期に融資される4兆5800億元のうち2兆4000億元が実体経済への投資へと回ったが、残り2兆1800億元のうち為替金融と偽装融資を除いた大部分が株式と不動産に流入しており、これらの市場へ一時的な回復をもたらしたと指摘している。

 今年の融資増大よって混乱が発生している。5月末、商業銀行による融資の合計額は、2008年の合計額を超える5兆8000億元に達している。外部経済が未だに不況を脱していない状況で、このように急速な信用拡大は非常に珍しい事と言える。中国企業間での資金需要はこれ程高い物なのだろうか? 融資が急速拡大しているにも拘らず、常に資金を切望している中小企業は何故支援を得られなかったのであろうか? そして、生産が低下し失業率が上昇しているにも拘らず、株価と不動産価格が今になって高騰しているのは何故なのだろうか?

 Wei Jianing氏によると、5兆8000億元のうち約1兆1600億元の融資が、今年初めの5ヶ月で株式市場に流入しているとされる。中央銀行が発表した数字によると、この5ヶ月の為替融資は1兆7000億元にのぼり、融資合計の約30%を占める事となっている。

 「資金が実体経済に供給されないまま循環し、金融システム内で膨張している現状を我々はバブル形成の徴候として見ている」とWei Jianing氏は語っている。「現在、急速に循環する資金は株価を簡単に吊り上げ、新たな金融バブルを発生すると共に不動産価格をも吊り上げる事となるだろう」

 融資のうち50%は実際に投資され実体経済に流入しているとWei Jianing氏は言うが、それらの大部分は政府が後援する計画に流入し、中小企業には殆ど流れ込んではいない。

 潜在的なリスクがあるとはいえ、急速な信用拡大は現在の状況下に於いては合理的なようにも思える。中央金融経済大学の金融学部長Zhang Liqing氏は、これらのリスクには銀行の不良債権比率の上昇と資産価格のバブル化を内包していると語った。経済は未だ安定しておらず、政府は金融政策を調整していないと彼は考えている。しかし、遠からず調整が必要になるであろう。

 政府はより直接的に融資資金を実体経済に投入しなければならないと、Wei Jianing氏は示唆している。まず始めに現金市場を調整し、為替金融を通じて金融システム内の循環資金を回避する必要がある。監査機関は融資資金の運用監督を強化し、中小企業に対する融資を増加させねばならない。

 国家監査局は資金の流用を察知している。最近になって中国の銀行監査評議会は商業銀行に対し融資管理の厳正化を求め、株や不動産ではなく実体経済に融資を投入する事を保障するよう要求している。
 未だに好調が伝えられる中国経済。涙ぐましい努力(ポジショントーク)にもかかわらず、実態はボロボロのようです。中国の中小企業の苦境は、こちらでも語られています→[全国の中小企業4200万社、うち4割が既に倒産、残る4割も経営危機に!―中国]
 本来、日本同様の動機で計画され、実行に移されたはずの景気刺激策が、なんだって実体経済を刺激せずにバブルの誘引材料になっているのか? 結局の所、政府が差し出したパイを閥が切り分けて懐に入れてるだけというのが真相なのかもしれません。
 今後監査評議会の指示が実働すると、確実に株価や不動産価格の下落を招く事になるわけですが、果たして中共はそれを許容するのでしょうか? また、中国各地の人民解放軍も独立採算制ですし、懐が寂しくなる事を望むわけは無いと思うのですけどね。無理押しすればあちこちから反発を招く事になりますし、かといって放置しておけばバブル崩壊という結果になって、軍の維持能力の低下を招き、さらに治安の極端な悪化を招き寄せてしまうかもしれません。軍の独立採算制を抜きにしても、バブル崩壊による雇用の悪化は、経済で繋ぎとめている中共への支持を、瓦解させる事にも繋がりますしね。

 なんか、韓国とは別の意味で詰んでるように見えるのは、私の気のせいでしょうか?

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巡る因果の猫車-中国経済がダメになる理由中国経済がダメになる理由
三橋 貴明・石 平(共著)