Sailors caught between devil and the deep seaより
砂嵐と深海の合間に板挟みとなる水夫達

C.B.S. Venkataramana

 海賊問題と、比較的新しい事件である、事故に関与した船員達への、過失を理由とした有罪宣告は、船乗り達が直面している難問の一つである。インド運輸省海運総局のC.B.S. Venkataramana長官はS. Anandan氏との二者会談において、「海賊問題と有罪宣告は、ある種の職業的リスクとなっている。しかし、我々はこれらを克服するために、この苦痛に耐えなければならない」と語った。

 インドは多くの国々同様、海軍艦艇を用いた護送船団方式によって、海賊問題に取り組もうとしている。現在、4隻のインド海軍艦艇が、海賊が横行するソマリア沿岸で作戦中である。「我々は海賊の跳梁を防止する事を意図し、他国海軍と連携し協調した努力をしていく。インド海軍艦艇がフランス商船の救援に向った事があり、また、逆の事例も同様にあった。最終的な解決方法は、海賊の策源地の問題を処理する事であるが、それはすぐに実行できる方策とはいえない」と、彼は語る。

 しかしながら、海賊への対処には多数の軍艦が必要とされる事から、作戦の効果は限定的なものとならざるを得ない。Venkataramana氏は「船がペルシャ湾から地中海へと出るまでに、4日が必要とされる。船団が毎朝一組、夕方に一組出発すると仮定すると、 ─ 1日つき二組の船団が、どちらかの側から出発している ─ 貴方が保有する、16組の輸送船団の安全を確実な物とするためには、32隻のヘリコプター搭載型護衛艦が要求される」と語った。

 現在までに国連安全保障理事会(UNSC)決議は、個々の国々に海賊行為を取り締まる権限を与えている。しかし一つの主要国の主導の下、連合部隊を編成して対処に当たる事に安保理が認可を与える方が、より現実的かつ実現性が高い方策であると広く認識されていると、彼は語る。

 有罪宣告の問題に関し、各沿岸国が独自の法を作るに任せている事がこの問題の根底にあると、Venkataramana氏は考える。

「過失や関与による有罪宣告は、問題を引き起こすのだが、それに関し出来る事は殆どない」と彼は語った。インド人船員が石油流出を引き起こした事を理由として、韓国において裁かれているオイルタンカー『Hebei Spirit』を含む事例を引き合いに出し、彼は語る。「我々の船員の側には過失はなかった。このタンカーが碇泊中、韓国の会社に所属する小型船が付近を通過しようとしたと、私は理解している。アンカーロープ、もしくはその他が破断しタンカーに衝突した結果、石油流出が引き起こされた。彼らの後ろ盾を護るため、我々の船員達に非難を浴びせかけている」

造船業に問題はあるかもしれないが、これは急成長する業種でもある。

「巨大な雇用の可能性が、海事、特に海運の領域に存在する。信頼性が高く勤勉であることから、インドの船員は高く評価されている」

 造船業界についてVenkataramana氏は、自国のニッチを埋めるべく、早期に始められた極度の資本集約型産業であったと語る。

「まず第一に世界的な造船国といえば、ヨーロッパにおいてはイギリス、スペインを指し、スカンジナビア諸国においてはノルウェーとスウェーデンを意味していた。第二次大戦後は日本と韓国が大規模に参入し、世界的な造船国となった。

 自国の分だけでは需要数が少なすぎるため、一国だけでは成長できない産業ではある。しかし、巨大な雇用の可能性があるこの業種に、我々はより多くの投資をしなければならない。

 我々が有するコーチ、ヴィシャーカパトナム、ムンバイ、コルカタの各造船所は、能力を向上させている。

 船がインドで建造されるとしても、ヴァイタルパート、機関、操舵設備などは外国から輸入する事が出来るため、より多くの価値付加を行う必要がある。明るい兆しとしては、いくつかのトップ企業が国内供給と輸出のために、これらの製品を国内で生産しはじめている事であろう」と、彼は締めくくった。

>彼らの後ろ盾を護るため、我々の船員達に非難を浴びせかけている
   __i.\_/!_
  ゝ, "´⌒`ヽ
   ノ.ノメノハノ〉〉 
 |\ル.リ!゚ ヮ゚ノ!  バレバレw
  \ k_(つ旦i'、. 
  ∠'とノ__')_)> 
 Hebei号の問題が海賊の脅威と同一視されてるって話は、このブログでも何回か語った事なので特に付け足す事はありません。
 海賊の問題ですが、指揮系統が統一されてないせいで、効率的な運用が妨げられてるようですね。日本においては、他国の船舶を海自の護衛艦が救援する事すら議論の対象になったりと、頭の痛い現状ではあります。
 …海上輸送路が生命線である日本こそが、この問題に対しての率先行動が求められると思うんですけどね。太平洋戦争の敗北から、一体何を学んだのやら…派遣前の事前承認を国会に求めるとか、やってる場合じゃ無いでしょ、まったく。

 それはさておきインドの造船業。この先しばらくは需要の急増も見込めないわけで、長い間苦戦が続くんじゃないかなと思います。
 が、性急なシェア拡大を目指すのではなく、高付加価値船の建造を目指したり、部品の内製化を進めたりと、他国の事例を研究してるなぁという印象。今はまだ目立ってはいないですけど、将来的には日本造船業界のライバルとして追い上げてくるかもしれませんね。
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 話を戻しまして、Hebei TwoことChawla船長とChetan先任航海士の拘留期限が迫ってます(勘違いしてなければ、今月の21日前後)。上告審が今年6月にあるので、検察側は当然の如く延長を申請すると思いますが、大法院はどういう決定を下すのか。
 ここのところ、抗議団体の動きがちょこちょこ出てきてますし、拘留延長への動きを牽制してるんじゃないかとも思えるんですが、どうでしょ?
 この決定の如何で、今後韓国がどのように裁判を続けるつもりなのか、ある程度垣間見えるような気がします。

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