【国際問題・Hebei Spirit号】インドの組合による「Hebei Two」キャンペーン再燃[02/16]でリクエストのあった記事の翻訳です。海洋安全審判院の再調査が終わる以前の声明ですね。
では、以下翻訳
Shipping World Protests at Unfair Detention of Seafarers in Koreaより

海運業界は韓国による船員達の不当拘留に抗議する

2008年7月22日

 昨年、迷走するクレーン船とHebei Spiritとの衝突によって起きた、油濁汚染を巡る裁判で、国内の海洋汚染防止法に全く抵触していないとして、韓国の法廷によって先日無罪宣告を受けたタンカー『Hebei Spirit』の二人の商船船員の、不当で不合理な拘留の継続に対し、世界中の海運業組織体は本日、共同による猛烈な抗議声明を発した。

 無罪判決を下したにも拘らず、韓国の法廷が再審までの一年という長い期間、船員達を拘留し続けるという決定を下したことに対し、我々─ 国際的海運連合(BIMCO、国際海運会議所(ICS)、国際船舶連盟(ISF)、INTERCARGO・INTERTANKO)、国際運輸労連(ITF)、国際P&Iクラブグループ(IG)、そして香港船主協会による円卓会議 ─は、驚きと失望、そして深い憂慮を大韓民国政府と当局に伝える。このような処置は不当かつ不合理であり、明らかに人権侵害である。我々は彼らが出国許可を受けるべきだと強く信じる。

 我々はJasprit Chawla船長とSyam Chetan一等航海士の拘留の継続を決定した責任者に、碇泊中のタンカーに衝突したクレーン船を牽引していたタグボートに全ての責任があるとした、一審判決を思い起こしてもらいたい。この裁定や再審があれば出席するという彼ら自身や雇い主の保証があるにも拘らず、拘留され続けている。

 二人の船員は、昨年12月7日から韓国に拘留されているが、近年の類似事例の経験から、不当拘留の継続は二人の健康状態に、心身両面への影響を与えることが予想される。これは韓国での詳細調査に対する、彼らの協力の必要がある時まで、家族の許に帰る許可を出すことで回避できた。 

 我々の環境保護と海難事故への迅速かつ完全な調査協力を通じた、国際社会に貢献する業界としての立場は変わらない。我々は、海洋環境に意図的に打撃を与えようとする者を、裁判にかけることを約束する。

 しかしながら、今回のような船員達への有罪宣告も、世界中で協定されている国連の国際海事機構(IMO)と国際労働機関(ILO)の、海上事故の際の船員の公正処遇に関する指針に反する、不当かつ不合理で不公平な取り扱いは、我々は支持できないし、支持しない。

 我々は船員達が早急に故郷への帰還を確実なものとするのに必要な措置を、大韓民国政府に懇請する。

2008年7月22日

David Cockroft:ITF(国際運輸労連)総書記

Andrew Bardot:IG(国際P&Iクラブグループ)担当役員

Torben C. Skaanild :BIMCO(ボルチック国際海運協議会)事務総長

Tony Mason:ICS/ISF(国際海運会議所/国際船舶連盟)事務総長

Roger Holt:INTERCARGO(国際乾貨物船主協会)事務総長

Dr Peter Swift:INTERTANKO(国際独立タンカー船主協会)常務

Arthur Bowring:香港船主協会常務

編者覚書

BIMCOは国境を越えて世界中から会員が加盟する、世界最大の私有海運業組合。影響力ある重要な海事活動機関として、900以上の船主企業と1,400以上のブローカー企業、そして100のP&Iクラブ加盟企業とを含む提携団体に、実務的かつ具体的なサービスを提供する。船主メンバーは14,000隻以上の船舶合計5億2,500万積載重量トン(dwt)を保有し、世界中の貨物輸送能力の65%を占めている。

香港船主協会(HKSOA)の主な目的は、香港の船主と運行管理企業のそれと同様に、事業の上でその能力に頼ることがますます多くなる、地方の専門職と事業の利益促進と保護である。

ICS(国際海運会議所)は世界中の全国船主協会の代表によって構成されており、国際海運事業者団体の、貿易における全ての部門を代表している。海事問題に関連する海運保険や、船舶建造・運航・安全管理における法的・技術的問題において、業界での最良の実践を促進する。

IG(国際P&Iクラブグループ)は、世界中のトン数の90%を占める外洋船舶へ保険を提供する業者間において、責任保険(保護と補償)を交し合う、13の主要クラブで構成されている。各クラブは独立・非営利の相互保険協会であり、船主と用船主メンバーに、船の取り扱いと運用に関連する対第三者責任保険を提供する。各クラブは会員から選ばれる取締役会、あるいは委員会のメンバーを通して監督される。クラブは乗組員の人身事故、船上の乗客、貨物紛失と損傷、油濁汚染、難破船撤去と埠頭損壊等、広範に渉る補償をカバーしている。クラブは会員が必要としている広範囲に渉るサービスを提供しており、しばしば事故処理の法的問題と損失防止の上で主要な役割を演じている。

INTERCARGO (国際乾貨物船主協会)は1980年以来、乾貨物海運に携わる船主、経営者、運営者、労働者の利益を代表し、他の組合と緊密に協力して安全かつ高品質、効率的で有益な業界を目指す。

INTERTANKO(国際独立タンカー船主協会)は1970年以来、独立タンカー船主の代弁者となり、今日全独立タンカー船団の80%を代表している。有能で尊重されるべきプロを代表している協会であり、信頼性と安全性、そして責任感と競争力のあるサービスで業界に貢献し、液体燃料と化学製品を運ぶことで世界経済を動かしている。タンカー業界が会するフォーラムであるのみならず、会員と準会員への意見と指導のための価値ある情報源でもある。

ISF(国際船舶連盟)は、国内船主と雇用主協会を会員とする、船主のための国際的な主要雇用主の協会である。ISFが目指すのは、国際海運業界内での労働事情や人員配置、教育、船員の福祉などに関連した問題における、船主と運用業者の利益振興と代弁である。ILO(国連機関である国際労働機関)における社会的協力者としての役割は、業界に代わりこれらの活動を行うための、具体的な基盤を与えることである。

ITF(国際運輸労連)は世界中の運輸労働者を代表し、全世界での運動と団結を通じて彼らの利益促進を図る。

Hebei Spirit事件 2007年12月7日

韓国当局者へ提出された、船主と運航管理者、保険業者による見解概要要約

2007年12月6日19時18分。26万積載トン級超大型原油タンカーHebei Spiritは、泰安港によって指示される位置に碇泊した。船は衝突防止規則によって要求されている、全てのライトを灯した。

2007年12月7日7時2分。Hebei Spiritは碇を降ろして停止中、タグボート『SamsungT No5』と『SamhoT3』に曳航されて付近を通過中のクレーン船『Samsung1』に衝突された。補助タグボートはクレーン船の船尾側に位置していた。

地元の船舶航行管理局(VTS)の記録によると、タグボートとクレーン船は、タンカーの前方を右舷側から左舷に抜け、完全にHebei Spiritに接触せずに通過するコースを取った。いかなる衝突の危険性をも冒すべきではなかった。

6時51分頃、突然SamsungT5とクレーン船を繋ぐ曳索が切断し、タグボートはクレーン船の制御を失った。

その結果クレーン船は、強風の影響による潮流とクレーンへの大きな風圧のために、Hebei Spiritの後方へと迷走を始めた。

7時2分頃、クレーン船はHebei Spiritの左舷側に衝突。約11分後、船殻に開けられた穴から海へと積載している重油が漏れ出した。
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…えー、例の二審判決が出る5ヶ月近く前に、これだけの団体から抗議受けてたんですね。その意味考えないであんな判決だしちゃった韓国って一体…orz

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