インタビューwithキタイ花ん

左:福重春樹 右:渡邊瞬


高田:さるつかいというコンビ名について教えてください。


福重:幼い頃から、お笑いの世界に行きたいというのはあったんですよ。コンビを組むなら何がいいかなというのがありまして、小学校三年生の頃の授業中に考えていたんですよ。


高田:結構幼い頃からそういう考えをお持ちだったんですね。


福重:僕の顔見てどう思われます?


高田:完全に猿ですね。


福重:人間ですよ(笑)。猿顔ですけど人間です。


高田:失礼致しました。


福重:だからその猿要素を利用して、僕のことを上手いことしてくれる人がいたらええなあと思ったんです。


高田:『さるつかい』ということは、福重さんが使われる側?


福重:そうですね。猿に似た僕の特徴を上手くいかしてくれたらいいなという考えです。やっぱり楽したいですし(笑)。


高田:お二人はどこで初めてお会いになったんでしょう?


渡邊:放送芸術学院です。


高田:そこにお笑いのコースがあったんですか?


渡邊:はい。『お笑い芸人コース』というのがありまして、そこに二人とも在籍していました。


高田:コンビ結成の経緯についてお聞きしたいのですが。


福重:同期の人たちは、どんどんアグレッシブに動いてコンビを組んでいくんですよ。僕は人見知りなんで、自分から声掛けられなかったんです。三角座りしながら「困ったなあ」と、教室の隅を見たら、同じように三角座りをして動かない男がいたんです。


渡邊:僕も同じく人見知りで、誰かに声を掛けるというのができなかったんです(笑)。


高田:ということはクラスで最後に残った二人?


渡邊:はい。余り物コンビです(笑)。


福重:やっぱり一人ぼっちは嫌だったので、どちらからともなく歩み寄って行って、コンビを組もうかということになりました。


渡邊:最初はとりあえず組んでみるか、という軽い感じでしたね。


高田:お互いの第一印象を教えてください。


福重:肉まん!


高田:えっ?


福重:相方はその頃、肉まんみたいやったんです。


高田:現在の渡邊さんを拝見していると全くそんなイメージはないんですが。


渡邊:その頃、かなり太っていたんですよ。時間が経つにつれて僕が痩せていったんですけど、今度は相方が太ってきました(笑)。


高田:福重さんの第一印象はどうでしたか?


渡邊:やっぱり外見の印象は強烈でした。僕はどちらかというと無色透明というか、あまり特徴のないタイプなので、全く自分と正反対だなと思いました。


高田:結成当初のエピソードなどありますか?


渡邊:これからやっていこうかという話し合いをしてた際に、相方から「ツッコミとボケどっちやりたい?」って聞かれたことですね。顔を見たら担当パートは一目瞭然やろうと(笑)。


福重:一見、ボケッぽい見た目の人間がツッコミをやるという裏切りもありかなと思っていたんで。


渡邊:その時、そこまで考えてなかったやろ?


福重:うん(笑)。


高田:結成されたのは、何年前になるんでしょう?


渡邊:2005年にコンビを組んだんで、7年前ですね。放芸在学中は、二人でいる時間がかなりありましたね。


福重:さっきも言いましたけど、お互い人見知りなんで他の人たちとあまり深く絡めなかったんですよ。だから授業出てネタ合わせしての繰り返しでしたね。


高田:コンビの危機はこれまでになかったですか?


渡邊:実はこれがあったんですよ。単独ライブをやる前の時期だったので2008年頃ですね。


福重:その頃が一番危なかったですね。


高田:結成当初から現在までずっと漫才を?


福重:そうですね。コントは一昨年に『キングオブコント』の予選に出た際にやったくらいですね。


高田:中学とか高校時代、クラスでどういう存在でしたか?


渡邊:僕はイケイケのグループとそうでないグループの繋ぎ役みたいな感じでしたね。


高田:パイプ的な存在?


渡邊:そうそう。まさにパイプ(笑)。「こっちのグループにはイジれるやついてますよ」っていう感じで、二つのグループをいったりきたりしていましたね。


福重:いやらしいなあ。斡旋業者みたいやん。


渡邊:生き抜いていくためにはしゃあないねん。


高田:その頃からお笑いというのはすでに意識されていましたか?


渡邊:『M-1甲子園』に出たりしていたので、意識はしていたんでしょうね。


高田:福重さんの学生時代の思い出などあれば、教えて欲しいのですが。


福重:僕の地元は結構、柄が悪いんですよ。だからしょっちゅう絡まれてていました。


高田:恐喝されたりとか?


福重:そうですね。僕の場合、絡まれ方が特殊なんですよ。『煙草ダーツ』の的にされたりとか。


高田:煙草ダーツ?


福重:登下校の際、自転車に乗ったヤンキーとよく出くわすんです。彼らは僕とすれ違う時、僕の顔面目掛けて煙草をシュッと投げてくるんです。それが煙草ダーツです。


高田:解説ありがとうございます。


福重:一度や二度ではなかったですから。


高田:ずっと的扱い?


福重:はい。ある日僕が学校から帰っている途中、その日も煙草をくわえたヤンキーが自転車でやってきて、すれ違い様に僕の顔に一本の煙草を放ったんです。それが見事、鼻に命中したんですよ。


渡邊:コントロール抜群やな。


福重:「熱っ!」って、僕が鼻を抑えて地面にしゃがみこんでいると、ヤンキーが大きな声で「今、真ん中に当たってんから景品くれや!」って言ってきて、ジュース一本奢らされたこともありました。


高田:ご愁傷様です。


渡邊:よく考えたらそれカツアゲとちゃうなあ。ジュースは『煙草ダーツ』の商品としてもらおうとしてるもん。


福重:商品という名目やから、警察に言われても大丈夫っていう口実があったんかもしれんけど(笑)。

(後編 へ続きます)