インタビューwithキタイ花ん
左:三井美智子 右:緑川まり


高田:コンビ名の由来を教えて下さい。


緑川:相方のみっちゃん(三井)の同期でガゼル西口という猫の物まねをするピン芸人がいているんですけど、その人がコンビ名を考えるのが好きなんです。私たちも「この名前にしたい」という強いこだわりもなかったので、ガゼル西口につけてもらいました。


高田:緑川さんがNSCの29期で三井さんが31期なんですよね。先輩と後輩のコンビですが、コンビ結成にいたるまでの流れを教えて下さい。


三井:私は去年NSCを卒業したんですが、NSCの時はコンビを組んでいました。その後、解散して、それからは今のコンビを組むまでずっとピン芸人をやっていました。


緑川:私も同じような感じですね。コンビを組んでいて解散して、ピンでやっていたんですけど、ずっとコンビ志望だったんです。ガスマスクガールと私は同期なんですが、ガスマスクの山本君にその事で相談してたんです。


三井:私も同じくガスマスクの畠山さんに相談してたんです。「それやったら二人でコンビ組んだら?」って感じでアドバイスをされたので結成にいたりました。だからガスマスクガールのお二人が私たちのキューピットなんです。


高田:コンビを組まれる前はお互いにどのような印象を持たれていましたか?


緑川:私は「ちょっと怖いなあ」って思っていました。何を考えているかわからないようなネタをしてたんで……。


高田:ちなみにどんなネタだったんですか?


緑川:2分ぐらいのネタでボケが1個しかないんです。その最後のオチにいくまで1分50秒ぐらいはずっとフリをやり続けてるんです。逆に言えば度胸のある子やなと思ってました。


高田:三井さんはあえてそういうネタの構成にされていたんですか?


三井:そうですね。シュールな笑いが好きなんで。


高田:三井さんは緑川さんの事をどう感じておられたんですか?


三井:なんか“できそうな人”やなって。


緑川:上から目線やね(笑)。


高田:やはり女性同士のコンビというのを念頭においておられたんですか?


三井:私は女性同士が良かったです。


緑川:私もそうですね。


三井:去年のキングオブコントにキタイ花んセカンドに出ているマザー周とコンビを組んで出たんですけど、なんか違うというか……。


高田:それは具体的にいうとどういうところが?


三井:うーん。そうですね。なんというか、その……。


緑川:みっちゃんは男の芸人を異性として見てしまうんですよ。


高田:他の女芸人さんはあまりそういう事がないんですか?


緑川:そうですね。だからそういう意味で相方は珍しいタイプだと思います。『付き合うのなら芸人』って公言していますから。


高田:好きになってしまうんですか?


三井:はい。すぐに好きなってしまいますね。


高田:今、誰かときめいている芸人さんはいらっしゃいますか?


三井:ズンズンホイホイの太郎ちゃんです!


緑川:実名を出すな(笑)。


高田:コンビ組んでからお二人の息はすぐに合った感じでしたか? 最初はお互いどんな事をしたいのかわからない訳じゃないですか?


緑川:今は私たち漫才をやっていますけど、最初はコントをやりたかったんですよ。


高田:なぜ漫才をやられるようになったんですか?


緑川:コントを作ろうとしていた時に相方がネタを書いてきてくれたんですが、ボケが少なかったんですよ。しかもグロくて(笑)。そんなこんなでコントはあまり上手くできなかったんです。その時にM-1の予選が近かったんで、じゃあ漫才やってみよっかって思って実際にやってみたら漫才が楽しくなりだして、今にいたるという感じですね。


高田:今はコントよりも漫才といった感じですか?


緑川:機会があればコントもやってみたいんですが、漫才の中でコントをしている部分もありますから。


高田:先ほど三井さんの書いてくるネタはグロいというお話がありましたけど、グロテスクな笑いがお好きなのか、それともグロそのものがお好きなのか、どちらでしょう?


三井:グロは気持ち悪いんで嫌いです。グロテスクな笑いが好きですね。


緑川:昨日もみっちゃんが私に報告してきたんですよ。「赤い服を着たダックスフンドが道路で真っ二つに割れていた」って笑いながら……。


高田:ダックスフンドが割れていた?


三井:はい。見事なまでに真っ二つでしたね。


高田:お亡くなりになっていたという事ですよね?


三井:はい。完全に死んでいましたね。


高田:そういうのは苦手なんですか?


三井:ダメですね。気持ちが悪いです。早く誰かに片付けてもらいたいです。


高田:ご自分で片付ける気は?


三井:ないです。だって気持ち悪いですから。


高田:なるほど……。お二人が最も影響を受けた芸人さんとなると、誰になるんでしょう?


三井:私はジャルジャルさんですね。あの人たちを見てNSCに入る事を決めたぐらいですから。


緑川:影響を受けたかと言えるかは微妙ですけど、ダウンタウンさんが好きで『ごっつええ感じ』はよく見ていました。


高田:学生時代とかどういう存在でした。よく周りを笑わせたりとか?


緑川:私は高校生の時に友達と即興コントをやったりしていました。


高田:その頃からお笑い芸人になろうと考えていらっしゃったんですか?


緑川:それは全然なかったですね。私は就職というものが嫌だったんですよ。それからどうにかして逃れたくて、それで就職する前に好きな事をしようと考えたんです。そういう流れで23歳の時にNSCに入りました。


高田:三井さんはどんな学生生活を送っておられましたか?


三井:私は山梨出身なんですけど、友達が一人もできなかったですね。面白くなかったんで、辞めました。その後、大阪に出てくるんですが……。


高田:それはNSCに入るためにですか?


三井:そうではなくて大学に入るためですね。大阪にある大学に合格して、こっちへ出てきたんですけど、友達ができなくて面白くなかったんで、辞めました。


緑川:みっちゃん、生涯で友達の総数は何人やったっけ?


三井:一人。


高田:友達が欲しくてできないのか、それとも必要としないのか、どちらでしょう?


三井:欲しいけどできない方ですね。


高田:内気で話しかけられないとか?


三井:むしろ、お前から話しかけて来いと思います。


緑川:みっちゃんは自他ともに認める自己中なんです。


高田:その唯一いらっしゃるお友達とは今でも交流があるんですか?


三井:大阪に出てきてから、連絡取ってないですね。


緑川:あんまり仲良くないやん。


高田:率直に言うと三井さんは人間関係が苦手な方ですか?


三井:苦手ですね。でもそれが逆に良かったと思っています。もし自分が人間関係に悩まないような人だったら、お笑いをやっていなかったと思うので。


高田:芸人さんってそういう方が多いんですか?


緑川:どこか屈折している部分はあると思いますね。


高田:自分の持っているコンプレックスを武器にして笑いを取ったりとか?


緑川:それはあると思いますね。器用な人なら芸人にならずに社会に出て適応していけると思うんですが、芸人になる人ってそれができないんですよ。だから言ってみれば『社会不適合者の集まり』かもしれないですね。まあ、私も含めてなんですけど。

(後編に続きますので、下へ読み進めて下さい)