インタビューwithキタイ花ん

高田:まず初めにお笑い芸人を目指そうと思ったきっかけを教えて下さい。


バイク:23歳ぐらいの時に働いてまして、その時は美容師をしていたんです。ちょっと仕事がしんどくなってきたので、どうしようかなって悩んでたんですけど、その時に、僕の地元(兵庫県の加古川)の友達から「NSC一緒に行こうや」って誘われたんですよ。彼は僕がお笑いを好きだったというのを知っていたから誘ってくれたんでしょうね。23歳だったので、まだ方向転換できるかなと思ったので、じゃあ行こうかなと。そんな感じでした。


高田:昔からみんなを笑わせていたんですか?


バイク:みんなで一緒にワイワイするのは好きでしたね。


高田:小さい頃はどんなテレビ番組を見ていましたか?


バイク:僕ね。そんなにマニアックな物は見ていないんですよ。本当にみんなが見ていたベタな番組なんですけど『とんねるずのみなさんのおかげです』とか『ウッチャンナンチャンのやるならやらねば!』とかはよく見ていましたね。


高田:先ほど、美容師をやられていたというお話をされていましたが、NSCに入る前にご両親の反対とかはなかったですか?


バイク:美容師をしていた時は三年間、無遅刻無欠勤だったんですよ。これは僕の予想なんですけど、親はそれを知ってるんでちゃんと働ける子やって思ってくれている節はあったと思います。


高田:バイクさんのブログ『サロンド日誌』を読んでいると、仲の良い芸人さんのカットをしてあげているみたいですね。あれは、どういう場所で?


バイク:家ですね。僕の家の場合もありますし、相手の人の家の時もあります。後はbaseの階段の所でやったりとかもありますね。


高田:バイクさんは、約二年ほど帽子屋お松さんと『街の帽子屋さん』というコンビを組んでおられましたよね。その時に、キタイ花んに出ておられましたが、手応えはいかがでしたか?


バイク:NSCを卒業してから、すぐにキタイ花んの方へ出させていただいたんですが、順位でいいますと、たまに5位とかあったぐらいで、大体は真ん中辺りをうろうろしていました。base吉本のプレステージも受かりませんでしたし、実績としては今いちでしたね。


高田:2006年の2月からピン芸をやられていますが、やはりピン芸の方がやってみてしっくりくるというのはありましたか?


バイク:街の帽子屋さんを解散してから、結構いろんな人とコンビを組んだりしたんですけど、最終的にはピン芸に落ち着いていますからね。ただコンビ時代を振り返ってみると、自分がちゃんとやっていなかったなというのはあると思います。


高田:それはどういう部分ですか?


バイク:どこかで相方任せにしていましたね。


高田:コンビの時にネタ作りというのはされていましたか?


バイク:全くしていなかったという事はなかったですけど、やっぱり相方が中心となる場合が多かったです。


高田:だから一人になった事で、何とかしないとという感じになったんですか?


バイク:追い詰められた事で、もうやるしかないって開き直れたと思うんです。


高田:ピン芸をやり出して現在の芸風になるまでに、時間はかかりましたか?


バイク:半年ぐらいかかって、今のキレ芸みたいになりました。やっぱりお客さんの反応ってダイレクトに返ってくるんですよ。それまで結構スベってたんですけど、今の感じになってからは、割といい反応が返ってくるようになりましたね。


インタビューwithキタイ花ん

高田:元相方であるお松さんとは、コンビを解消した現在でも仲がいいみたいですね。


バイク:はい。今年も一緒にM-1の予選に出たりしましたし、今でも関係は続いています。


高田:実は僕、約二年前にバイクさんにインタビューさせていただいてるんです。57回のキタイ花んで優勝されて、その次の58回の時だったと思うんですが。


バイク:もう二年になるんですか? 早いですね。自分で言うのもなんですが、あの月はすごく波に乗れていたんですよ。他のインディーズのライブでも、出たら優勝みたいな感じだったんで、かつてない程の“勢い”がありましたね。


高田:ずばり現在はどうでしょう?


バイク:ちょっとその時に比べると、勢いが落ちている気がするので、また盛り返さないとダメですね。僕は調子に乗りやすいタイプなので、いったん勢いが出るといいんですけど。


高田:最近、何かはまっている事があれば教えて下さい。


バイク:トランスフォーマーですね。アニメのトランスフォーマーを見ていたんですけど、映画で盛り上がった事で、過去のアニメの玩具もリバイバルで売られ始めたんで、懐かしくなって、たくさん買ってしまいました。変形させられるんですけど、それをやっている時がすごく楽しいです(笑)。


高田:自分でオタクだなと思いますか?


バイク:むしろ逆ですね。オタクではないと思います。ただヴィレッジバンガードにはめっちゃ行きたいですけど(笑)。どちらかというと広く浅くというタイプなんで、決してマニアックではないと思います。


高田:マニアックでない事が、芸人をやっていく上で強みになる事というのはありますか?


バイク:それが共感を呼ぶというのはあるような気はします。マニアックはマニアックで演者側に受けたりするので、羨ましいですけど、自分にはない資質なんで、マネしてもしょうがないですからね。


高田:今後の目標を教えて下さい。


バイク:もっとよく笑う事です。


高田:最近、笑えてないんですか?


バイク:そうなんですよ。もしかすると年齢の事が関係しているのかもしれません。今、29歳なんですが、来月の17日で30歳になるんです。極悪連合さんが「30歳になる直前とかは嫌やったけど、なったらなったで別に気にならんようになるで」って言ってはったんで、30歳を超えるとまた開き直れるかもしれません。


高田:他の目標は何かありますか?


バイク:親には色々と迷惑をかけているので、もっと売れて親孝行したいですね。

取材・文 高田豪