川上彌榮子先生が指導された八名川小と金竜小のNコンヒストリーを振り返る
理想の児童合唱とは❓
川上弥栄子(川上彌榮子)先生は、昭和58年の優勝時の課題曲「時間」の演奏を知って以来、どっぷりハマってしまい、今では私の児童合唱の基準に。
素直な発声で、体全体を使って歌う姿が私の中で理想になっています。
昨今流行りの口型や表情、髪型まで統一されている歌唱とは対照的です。
抜群のリズム感の良さ、子どもらしい明るく軽い歌声、何度聴いても飽きません。
川上先生の発声指導12項目を紹介します。
POINT発声指導12項目
- 歌いやすい声、話し声もいい声にして
- 高い音も低い音も出しやすい声、響きを変えないで
- 共鳴した声、からだに響く声
- ハーモニーする声
- 曲にふさわしい声、遊び歌とは異なる
- 子どもらしく明るい声、軽い声
- からだで歌う声、正しい姿勢から出る声、全身を使った声
- 声帯や胸などが疲れない歌い方の声
- 歌って満足感を覚える声、わめいてでなく
- 聴く人を疲れさせない声
- 聴く人に心地よい響き、心や耳に残る歌声、音楽性を求めて
- みんなの声に溶け合う声、伴奏と合っている声
現在は上野の森ジュニア合唱団指揮者で、定期演奏会等を行われているそうです。
東京近郊の開催が多いですが、私もいつか演奏会に行ってみたいです。
川上先生のご経歴をご紹介します。
1977年~1981年、八名川小学校において、NHK・民放の合唱コンクールで最優秀賞、文部科学大臣奨励賞受賞。
1982年金竜小学校に赴任、同時に音楽部を発足。1983年~1985年と3年連続、NHK全国学校音楽コンクールにおいて全国第一位の金賞に輝く。また、民放のコンクールでも3度文部科学大臣賞を受賞。
八名川小・金竜小・黒門小の各校で金管バンド及び合唱奏の指導も同時に行い、さまざまなコンクールにおいて優秀な成績をおさめている。NHKや民放テレビの教育番組や音楽番組、公式行事などに数多く出演。
現在、上野の森ジュニア合唱団指揮者、江東少年少女合唱団指揮者、上野学園大学音楽学部講師。
川上先生が指導された、学校の演奏を振り返ります。
川上彌榮子先生が指導された八名川小学校・金竜小学校合唱部の歴史
※動画のサムネイルをクリックすると、別ウィンドウで動画が再生します。
演奏曲・講評 | 成績 | ||
---|---|---|---|
江東区立八名川小学校 | |||
昭和53年(1978年) | |||
課題曲 | おーい海!(山本直純) | Nコン | 全国優秀(現・銀賞) |
自由曲 | 菜の花(大中恩) | こども | 合唱:不明 重唱:不明 |
Nコン講評 |
|
||
昭和54年(1979年) | |||
課題曲 | 出発の朝(福田和禾子) | Nコン | 東京都特別賞 |
自由曲 | けだものが来た(黒人霊歌) | こども | 合唱:全国最優秀「けだものがきた」(黒人霊歌) 重唱:不明 |
備考 | Nコンでは川上先生が「ミスをした」と発言されており、その年のコンクールの審査員の福田和禾子さんが「東京で人数オーバーのために良い演奏の学校が失格となってしまった」と書いてあったので、特別賞という扱いなのかもしれません。 | ||
昭和55年(1980年) | |||
課題曲 | 「びっくりしゃっくり」(越部信義) | Nコン | 全国最優秀(現・金賞) |
自由曲 | けだものが来た(黒人霊歌) | こども | 合唱:不明 重唱:不明 |
Nコン講評 |
|
||
演奏動画 | 「びっくりしゃっくり」(越部信義) 「けだものが来た」(黒人霊歌) 「花のまわりで」(大津三郎) 「気球にのってどこまでも」(平吉毅州) 「回転木馬」(グランツベルグ) 「ママのそばで」(インドネシア民謡) 「菜の花」(大中恩) 「おとめ座」(岩河三郎) |
||
昭和56年(1981年) | |||
課題曲 | 未知という名の船に乗り(小林亜星) | Nコン | 東京地方優秀 |
自由曲 | 菜の花(大中恩) | こども | 合唱:全国出場「月のうさぎ」(大中恩) 重唱:不明 |
台東区立金竜小学校 | |||
昭和57年(1982年) | |||
課題曲 | 光の中へ さあ君と(坂田晃一) | Nコン | 不出場 |
自由曲 | ― | こども | 合唱:― 重唱:― |
備考 |
|
||
昭和58年(1983年) | |||
課題曲 | 時間(若松正司) | Nコン | 全国最優秀(現・金賞) |
自由曲 | 五百羅漢さん(岩河三郎) | こども | 合唱:全国出場「鮎の歌」(湯山昭) 重唱:不明 |
Nコン講評 |
|
||
演奏動画 | 「時間」(若松正司) (全国コンクール) 「時間」(若松正司) (50回記念大会番組) 「五百羅漢さん」(岩河三郎) 全国優勝インタビュー |
||
昭和59年(1984年) | |||
課題曲 | わりばしいっぽん(三善晃) | Nコン | 全国最優秀(現・金賞) |
自由曲 | 山男のヨーデル(スイス民謡) ※金竜小の委嘱編曲。 |
こども | 合唱:全国最優秀「けだものが来た」(黒人霊歌) 重唱:全国最優秀「山男のヨーデル」(スイス民謡) |
Nコン講評 |
|
||
演奏動画 | 「わりばしいっぽん」(三善晃) 「山男のヨーデル」(スイス民謡) (全国コンクール) 「山男のヨーデル」(スイス民謡) 「けだものが来た」(黒人霊歌) 「汽車ポッポ」(本居長世) |
||
昭和60年(1985年) | |||
課題曲 | 花と草と風と(まいたしょうこう) | Nコン | 全国金賞 |
自由曲 | ドライ・ボーン(黒人霊歌) ※金竜小の委嘱編曲。Nコン後に「ドライ・ボーンズ」に変更。 |
こども | 合唱:不明 重唱:不明 |
Nコン講評 |
|
||
演奏動画 | 「花と草と風と」(まいたしょうこう) 「ドライ・ボーン」(黒人霊歌) (全国コンクール) 「ドライ・ボーンズ」(黒人霊歌) |
||
昭和61年(1986年) | |||
課題曲 | 山があって海がいて(南安雄) | Nコン | 不明 |
自由曲 | 不明 | こども | 合唱:全国出場「カンターテ・ドミノ(ライターマイヤー)」 重唱:不明 |
演奏動画 | 「山があって海がいて」(南安雄) 「だれも知らない」(山本直純) 「森にひびく歌声」(キュッケン) 「魔法の鈴」(モーツァルト) 「鮎の歌」(湯山昭) ※演奏年度不明
|
||
昭和62年(1987年) | |||
課題曲 | 亜麻色の風の中へ(玉木宏樹) | Nコン | 不明 |
自由曲 | 不明 | こども | 合唱:不明 重唱:全国最優秀「山男のヨーデル」(スイス民謡) |
金竜少年少女合唱団 | |||
演奏動画 | 「ぼだい樹」(シューベルト) 「深い川」(黒人霊歌) |
||
上野の森ジュニア合唱団(平成2年発足) | |||
2015年度日本童謡賞・特別賞 |
昭和55年の「びっくりしゃっくり」を初めて聴いたときの衝撃も忘れられません。
この演奏は隠れた名演だと思います。
金竜小学校赴任の9月に生徒の希望で合唱団が発足し、翌年に全国優勝されています。
しかも子どもたちにとって自由曲は初めての3部合唱だったとか。
金竜小学校が全国優勝した頃、ヨーロッパ演奏旅行を行っていますが、その記事を要約して紹介します。
ヨーロッパ演奏旅行
昭和58年の全国初優勝
「子どもらしく楽しく歌っている」という激賞を受け、初出場初優勝を果たした金竜小学校。
渡欧決定
ジュニアオーケストラ育成など、音楽育成に力を入れていた区の関係者が喜び、区の音楽熱を盛り上げるために全会一致で渡欧決定。全額公費負担での派遣であった。
ヨーロッパ演奏旅行
8日間の日程で、ウィーン少年合唱団や、各地の小学校、本場の音楽鑑賞や、ベートーベンの生家、モーツァルト記念館を訪れる。パリ・ウィーン・ザルツブルクを周る。「荒城の月」「七つの子」などを披露。
ウィーン市からの贈り物
昭和62年の金竜小創立75周年に、ウィーン市から菩提樹が届き、シューベルトの「菩提樹」を披露。
(読売新聞より要約引用)
また、昭和55年のインタビューも紹介します。
昭和55年のインタビュー
練習:やる気のある子、よっといで
- 希望者による自主参加。
- 異学年の集団に加わって色々な面で活動し、“必要な人”になること。
- 一日に一度でも良いので、“いい声が出せた”、“音がキレイに合った”という体験を持つこと。
声:下町の子でしょ❓気どって
- “もっといい顔で”、スマートに立って歌う気持ちを保たせたい。
- 何気なく口を動かしても音楽は出てこない。
- 粋な深川情緒の下町っ子、“すてきな子”になって歌うように。
音:自分で感じなさい
- 歌に合う声とは❓
➡ 歌いながら、自分がいい気持ちになったとき。
➡ 自分の声だけでなく、周りの声も聴き、合わせながら歌ったときの声。 - 競争相手は自分の声、自分たちの合唱部。
合唱好きが集まるブログはここ
にほんブログ村