※ブログ内に顎が無い子猫の写真が出てきます。見たくない方はスルーして下さい。
ねこけんには、猫でお困りの方からの作業依頼や相談メールが毎日入って来ます。
先日私は、ある1通のメールを見て、とても悩みました。
そのメールは事故で怪我を負った仔猫を保護した方からでした・・・。
現在、事故に遭った仔猫を病院に入院させているが、獣医師からは安楽死を勧められている。
しかし、決心がつかず、生きられる可能性が有るなら何とかしたい。
仔猫の状態は、目が白濁し、舌もだらりと出ていて、顎は砕けているとの事・・・。
すでに入院から数日経過しており、仔猫は点滴だけで命を繋いでいる状態。
完治後は家族として迎えるつもりなので、ただただ死を待つような状態に耐えられないとの内容でした。
安楽死は非常に難しい問題・・・
私は実際子猫の状態を見ていないので文面だけでは、どのようにアドバイスして良いのか分かりませんでしたが、保護主さんが諦めたくないと思っていらっしゃるなら、私達ネコケンがお手伝いできることは、セカンドオピニオンとして安楽死ではなく積極的に治療してくれる他の病院を紹介する事と、転院の運搬作業をさせて頂く事ですと返信しました。
私が、上記内容をメールにて提案すると、保護主さんは積極的な治療がしたいとの事で、すぐに仔猫は転院する事となり私達は、子猫に会いました。
顎の骨が半分なくなっており、舌を出している状態でしたが、仔猫はご飯を食べたいような素振りをしたり、一見元気そうに見えました。
ニャ～と小声で鳴いたり、ゴロゴロと喉を鳴らしながら手に頭を摺り寄せたり、白濁していたという目も開いて、自力で座っていました。
しかし、仔猫からは強烈な腐敗臭が漂っていました・・・。
転院先の病院へ仔猫を運び込んで、診察を受けると、確かに安楽死を勧められても仕方が無いような状態との診断。
しかし、獣医さんは小さな命を助けるべく、先ずは砕けた顎を除去し、腐敗の進んだ箇所を取り除く手術をし、その後は仔猫の生きる力に任せるしかないと判断。
間もなく緊急手術が始まりました。
手術を待つ間、保護主さんは少し安心して下さり一度家に帰る事になり、ねこけんも次の案件に動きました。
その時、その場に居たすべての人が、仔猫が回復すると信じて、希望に胸を躍らせていました。
数時間後、携帯が鳴りました。
私はメンバーと、他の猫の正式譲渡の契約中でしたが、病院からの電話でしたので、お時間を頂き、電話に出ました。
…仔猫が息を引き取りました…
その後、私は数十分間の記憶がありません。
何故？
さっきまで元気だったよね？何で？どうして？
頭が混乱しました。
次の瞬間、転院を喜んでくれた保護主さんになんて連絡をしたら良いのか悩みました。
メンバーに促され、とりあえず保護主さんへ連絡を入れる事に・・・・
「仔猫が亡くなりました…すみません、本当にすみません」相応しい言葉が浮かばず、仔猫が死に至った経緯も上手く説明できず、情けない事に、ただ謝罪を繰り返す事しかできませんでした。
私達は直ぐに病院へ戻り、保護主さんが病院へ来て下さるまでの間、先生から再度死にい至った経緯の説明を受けました。
手術前、仔猫の見た目は元気そうで、肩に登ったり、手に頭を摺り寄せてきたりしていたけれど、実際は、砕けた顎の骨片が喉に入り込んでおり、舌は奥の方で千切れかかっていたそうです。
更に腐敗は胸の辺りまで進み、それ以上の除去は難しく、何とか砕けた顎の除去と舌の縫合をし、あとは麻酔から覚ます段階だったと。
ところが、麻酔を覚ますところで、息が止まり心臓も止まってしまったとの事でした。
私はかなり動揺してしまいました・・・。
さっきまで可愛い目でこちらを見ていた小さな命が、箱に横たわっている。
花を手向けながら、頭を撫でた。
お腹を撫でた。
食べていなかった子に、せめてご飯を食べさせてあげたかった。
ご飯を入れてあげても、気持ちの整理は付かなかった・・・。
数十分後、保護主さんが駆けつけて来た。
仔猫の箱を覗き込んだ保護主さんは、泣いていました。
マキちゃんと言う名前まで決めて、この子が退院することを、生きてくれる事を願っていた。
私達は点滴で命を繋いでいても、いつか尽きてしまう命を何とか救いたいと思い、行動に移した。
でも、救えなかった・・・
私は、何ともいえない無力感に苛まれました。
さまざまな「もし…」が、頭を駆け巡り、パンクしてしまいそうになりながら、私は保護主さんへ「力になれずにすみませんでした」と言う事が精一杯でした。
メンバーが私の代わりに「力になれずにすみません。この子のような子が、また苦しまないように、ＴＮＲをがんばります」と言ってくれました。
外は危険が沢山有ります。
怪我をした子が居たら、勇気と優しさで、どうか救ってあげて下さい。
誰にも救って貰えずに、人知れずたった1匹で旅立つ命も沢山ある中、マキちゃんは優しい保護主さんに名前を貰い、愛され、幸せな最期だったと信じています。
皆様どうか、出会った命を見捨てないで下さい。
諦めないで下さい。
結果はどうであろうと、私は、その子にとって幸せな最期を迎えられると思います。
私は小さな練馬区の中でマキちゃんが存在した事、喉を鳴らしてご飯を貰おうとした事、必死に生きようとした事を忘れません。
助けてあげられなくてごめんね・・・
マキちゃんが生まれ変わったら、今度は事故に遭う前に保護するから。
また必ず会おう。
マキちゃんのご冥福をお祈り申し上げます。
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