日本の製造(ものづくり)の空洞化はとまらない。 | ”秋山なお”の美粒ブログ

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 日本は、ものすごく閉鎖的な、ある意味、一つの日本日の丸カンパニーだった。勤勉で、技能的で、優秀な国民だった。サムライジャパンだった。MADE IN JAPANの製品は安心で、優秀で、新幹線も、ほぼ、定時ではしり、1分でも遅れたら、その一分の遅れを車内放送でわびる国だった。それは、ある程度、国内で、規制があり、それぞれが、それぞれの役割に準じて、お金が回る仕組みだったからである。タクシーはタクシーで、業界から守られ、中小の小売り業者の場合も、大型店舗が、規制で出店が限られていた。だから、その場の地域でそれぞれが生きてこれた。つい最近まで、そうアメリカのリーマンショックまで、アメリカの投資バブル戦略と中国の市場開放成長路線の2つで、日本は、何とか生きてこれた。リーマンショック以降、日本の製造の空洞化は止まらない。ものづくり日本は、完全にいずれ消滅する。



 日本の根本的な問題は、資産のデフレである。日本は高度成長から、どんどん、がんばってきた。インフレ経済である。そして、バブル崩壊を経て、リーマンショックまできた。ものづくりするには、設備が必要である。多くの企業は借金をした。うまく立ち上げようとしたとき、その需要がすでに消えていた。大手製造業の下請けも、仕事ほしさに、新規に設備をいれた。激しいデフレと不景気のダウンストリームが押し寄せた。資産は半減した。しかし、借金の額は変わらない。今の日本の根本的な構図は、お金が回らないという点である。



 不景気である。企業のすこし稼いだお金はどこにいくか。ほとんどが、借金の返済であるから、銀行へと吸い取られていく。銀行はそのお金を投資して、活かさなければ、つぶれてしまう。金貸しが銀行の仕事だからである。当然に、デフレのダウンストリームのところで、お金は回さない。お金が前に転がらなければ、利にならない。銀行はアップストリームの流れの中でなければ、生きていけない企業だからである。だから、汗水かいて働いたお金は銀行へいき、そのお金は、インフレのところへ投資される。今の円高を維持しているのは、逆にいうと、日本の中小零細企業がまじめに借金を返済しているからである。まじめに返済しなくなれば、一気に円安になる。いずれ、その時期がくる。返したくても仕事がなくなるからである。



 日本の大企業は、親方日の丸になれた企業である。どこも、多かれ少なかれ東電と似たような体質をもっている。なぜなら、日本人だからである。残念だが、日本のものづくりの空洞化はとまらない。そして、日本から、ものづくりそれ自体が必然的に消える。ネット社会、情報化時代、均質化の時代、日本で出来るものは、他でもできるということ。日本しかできないという時代は終わった。



 これから、日本の中小零細企業は、ばたばたと崩壊していく。それは、後継者がいないからである。今、現在、生きていられるのは、製造加工業である。インターネットや通販がある以上、専門の小売り以外は、不要になる。そして、中堅の同族製造メーカーは、間違いなく、だめになる。なぜなら、会長に退いたおやじに、そろそろ、お迎えがくるからである。同族会社のまわりは、大抵イエスマンである。アップストリームの流れであれば、問題ない。しかし、ダウンストリームの流れでは、どうにもならない。そう、修羅場を潜り抜けてきた百戦錬磨のおやじ、えぐいおやじと従業員からは思われているそのおやじと、会社の中で、むすこという地位で生きてきた後継者とでは、経営者の質がちがう。ある意味、日本はそういうえぐいおやじがいる多くの中小企業に支えられていままで生きてきた。そういうえぐいおやじがこの世から消えていく。そういう会社は、二つの選択肢しかない。消えてなくなるか、外部から人が入ってきて、同族を経営から外していくかである。



 言葉は悪いが、そういう愛すべき、えぐい・えろおやじが、未練はあるだろうが、向こうへいくことになる。今現在、がんばっている同族系統の会社のほとんどがそのパターンである。なぜなら、戦後、日本人として、一生懸命に復興と繁栄をささえ、その会社の社員と自分の家族のために、がんばってきたからである。逆に、えぐい、えろおやじだから今まで生きてこれたのかもしれない。あと、5年はどこももたない。崩壊は一年でおきて、一年で終わる。



 空洞化が進む日本で若者は、技能と言葉を学ぶべきである。日本民族は、ユダヤ民族と同じように、世界へと出稼ぎにいくようになる。ユダヤの人は、それでも日本人を羨望するはずである。海に守られた山河ゆたかな緑に包まれた平和な国があるのだからと。