クライミングシューズの選び方 | 元なにわ娘のボルダリング日記

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なにわ娘も今や東京のコンクリート砂漠でOL生活…
もはや『娘』とも言えない年齢になりましたが、そこはご愛嬌ということで。ぼちぼち再開します。

「シューズ選びに失敗したことなんてない!」

と言い切れるクライマーは世の中に一体どれくらいいるだろうか。
足型が合わない、サイズが大きすぎる・小さすぎるなどなど、
私自身これまでのクライミング人生で幾度と無くシューズ選びに失敗してきた。

まぁ自分にぴったりの“ベストシューズ”というのは多かれ少なかれそうした
苦い経験を肥やしにして自分で見つけていくものなのかも知れないけれど。
でも…

いかんせんクライミングシューズって高いですやん。
失敗したらフトコロ痛いですやん。

人生を豊かにするための趣味なのに。
楽しい趣味があるから働く意欲が沸くのに。
その趣味に嫌な思いをさせられたらそれこそ本末転倒。
何ですか、私シューズ買うために働くんですかと。

そんな悲しい思考にハマってしまうクライマーが一人でも減ったらいいな
という思いから、これまで蓄積してきたシューズ選びのポイントを
いつか文章にまとめようと思っていた。
けど、なかなかうまく情報が整理できず、今までズルズル…

ら、見つけてしまった。ものすごーくいい記事を。
私が何人もの諭吉とサヨナラして身に付けたノウハウがとてもわかりやすく、
より多角的に、そして論理的にまとめられていた。
転載・流用の許可をいただいたのでご紹介しちゃう。

この記事は東京都武蔵村山市にあるジム「マーブー」さんの
オンラインショップに掲載されているもの。
詳細はぜひリンク先の記事を読んでいただきたいのだけれど、
念のため構成をここに記しておく。

■試し履き
■初心者に適したシューズ
■クライミングシューズとは
■クライミングシューズの使い方
 ・エッジング
 ・スメアリング
 ・フットワークの両極端
■フッキング性能
 ・ヒールフック
 ・トゥフック
 ・特性だけで判断するのは正解なのか
■クライミングシューズの特長
 ・ゴムの性能(摩擦力)を利用する
 ・足全体の力を爪先に伝える
 ・見た目
■タイプ
 ・レースタイプ
 ・スリッパタイプ
 ・ベルクロタイプ
 ・ベルクロ付きスリッパタイプ

ご覧いただくとわかるとおり、記事は「技術(フットワーク)」と「シューズ」の
2つの観点でまとめられている。
つまり、どのような足技が存在し、クライミングシューズのどのような性質が
それらを実現させているのかを体系立てて理解することでシューズ選びの
失敗をなくそうというわけ。足型とヒールカップ形状のページは特に参考になる。

爪先形状に関する解説(記事より抜粋)


これでかなり多くの人がシューズ選びの迷える子羊から
脱出できるのではないかと思う。
けれど、せっかくなので、ここに私がこれまで溜めてきたノウハウも
少し記しておこうと思う。私の場合は「課題」、「スタイル」の側面から。
クライミングの知識が多少必要になってくるので、万人向けとは
言えないかもだけど、どこかで誰かの参考になれば幸いかなと。


■課題
課題に合わせてシューズを選ぶ…文字にするとこうなるのだけれど、
これは「課題ごとに違うシューズを選ぶ」という意味ではなくて。
厳密には「自分がトライする課題の傾向を分類してそれに合った
シューズを選ぶ」ということ。

たとえば、自分がトライしている(もしくはする予定の)課題が
スラブなのか垂壁なのか被りなのか。
カンテなのかツライチ(一枚岩)なのか形状壁なのか。
ヒールフックを多用するのかトゥフックが肝なのか…
つまり、傾斜・形状・内容などの切り口で課題をカテゴライズし、
それぞれに必要な要素をシューズに求めていくということですな。

私の場合、どっかぶった課題では「足を残すこと」を意識するので、
ダウントゥ・ターンインが強くてフリクションのある、
いわゆる「かき込み性能が高いシューズ」を用意する。
フェースや薄被りでは剛性のある、立ち込みに適したシューズを。
スラブやスメアリングが必要な課題では剛性が低くて足裏感覚が
得やすいものを選び、なおかつサイズを大きめにして足先の可動域を
さらに高めやすく。
シビアなヒールフックが出てくる課題では小さめでレースアップを
選択して脱げにくく…という感じ。
なので、同じシューズでもハーフずつサイズの異なるシューズを
揃えることもある。

このように課題をカテゴライズし、それぞれのカテゴリで最も適した
シューズを用意しておくというやり方はひょっとしたら「やりすぎ」
なのかも知れない。
けれど、実際問題としてシューズには“得手不得手”が存在するし、
すべての課題に完璧に対応できる、本当の意味でのオールラウンドな
シューズというのは恐らく存在しない。
完登を目的としているならば、こうしたこだわりを持ってもいいと
個人的には思っている。

一般的には「かぶり用」「フェース用」「ヒールフック用」「トゥフック用」の
カテゴリでシューズを複数所有する人が多いみたい。
したがって、購入前にシューズの情報を拾う際は、
「強傾斜で評価の高い靴」「トゥフックがばっちり効くシューズ」
といったキーワードでまず探してみて、その上で足型やヒール形状などの
合うものを絞り込んでいけばいい。


■スタイル
これまたオタクな話になってくるけれど…
どんなことでも継続していると、次第に自分の型というか
スタイルみたいなものが出来上がってくる。
クライミングの場合は、バンバンパワフル系とかしなやか女豹系とか
ガッチリスタティック系とか。
…って自分で書いといてアレだけど何なんだこのネーミング。

それはさておき具体的な話。
まぁこれは一概にそうだと決めつけることはできないのだけど、
たとえばパワーが少なく、足をしっかり決めながら登るタイプの人は
柔らかい靴より硬めの方が合っていたりする。
これは、手で引く力が足りない分を足で補う形になるので、柔らかい靴だと
負けてしまって足が痛くて仕方ない…なんてことになるからだ。

逆に、引き付ける力が強くて足を切って登りがちな人は硬い靴だと
弾いてスタンスが拾いにくいので、フリクションと足裏感覚を重視して
シューズを選んだ方がよかったりする。

このへんの話になってくると、前述した「課題が持つ要素」はもちろん
「好み」なども関わってくるのでかなり難しい。
まぁとにかく、そういった自分のスタイルに合わせてシューズを選ぶのも
1つの方法ですよというお話。

ちなみに私は自分のクライミングはわりとバンバンいくタイプだと
認識しているけれど、かと言って男性ほどのパワーもないので、
柔らかすぎるシューズやノーエッジ系は選ばないようにしている。
また、保持力不足をヒールフックで補うことが多いので、
どんなカテゴリのシューズであっても一定のヒールフック性能を
求めるようにしている。


と、気が付けばこんな長文日記に…ぎゃー!
このほかにも人工壁か岩かといった「環境」や「気候」、「岩質」などの
要素で選ぶ方法もあるのだけれど、そのへんまで書くとエライことになるので
興味がある人は周りの経験者に聞いてみてください。 ←丸投げ

まぁこの長文日記をご覧いただいてもわかるとおり、
クライミングシューズというのは実は選ぶのがとても難しい。
少なくとも私は非常に奥が深いものとして捉えている。

クライミングシューズを色で選びましたという話を聞いたことがある。
それはそれでアリな方法だし、否定するつもりはもちろんないけれど、
シューズの特性や選び方のポイントを知れば、マイベストシューズに
もっと早く巡りあうことができるかも知れない。

ここに書いたことはあくまでも私見であり、結局のところシューズ選びに
正解はないのだけれど、マーブーさんの記事やこの日記がきっかけで
痛むフトコロを押さえる人が、涙で枕を濡らす人が1人でも減れば幸いである。

みんなが自分にピッタリ合うシューズに出会い、
完登という素晴らしい経験を積み重ねていけますように。

<追記>
最後になりましたが、記事の転載・紹介の許可をくださったマーブーさん
どうもありがとうございました!