『不可能、不確定、不完全』 | 本だけ読んで暮らせたら

『不可能、不確定、不完全』

読み終るのに結構な時間が掛かった本書。
読んでる最中も良く判らないことだらけで、判らないままに読み続けた。

『不可能、不確定、不完全: 「できない」を証明する数学の力』  ジェイムズ・D・スタイン/著、ハヤカワ・ノンフィクション文庫(2012)

そもそもヒトには知ることのできないもの、試みたくてもできないこと、がある。

そういったことを数学的に、つまりはほとんど真理として証明してしまった・・・。


ハイゼンベルクの不確定性原理

ゲーデルの不完全性定理

アローの不可能性定理


↑これらは、現在のところ知られている「できない」、「知り得ない」を証明した原理・定理。


物理学、数学の世界では、今後も、「できない」を証明する可能性がある。あるいは、「「できない」を証明できない」コトなんかも・・・。 ・・・パラドクス???



さて、「できない」が判ったところで、それはいったい何のためなんだ? と思っちゃう。

しかし一方で、そもそもヒトには何かを知りたいという感情が生来的に備わっているんだから、「○○のため」なんてコトにたいした意味はないんだろう、とも思う。

「できる」も「できない」も、「判る」も「判らない」も、とにかく知りたいんだ。。。


著者は、ハイゼルベルクの不確定性原理が証明されたことによってコンピュータやレーザーが開発されたように、答えがないことが判った場合でも、そのような結末によって別の興味深いこと、実用的なモノの発見に繋がることもある、って言ってる。

失敗だったゆえの驚きの展開が待っていることもある、と。



まァ、私の頭では理解できないことだらけだった本書だったが、仕事に関連した事柄もあったので、そこんとこをメモッとこう。

■ニュートンの重力理論はアインシュタインの相対性理論に取って代わられたが、実用的な使用が難しい

 相対性理論でなくとも、日常の予測・推定にはニュートンの重力理論で充分な精度の結果が得られる

 (p76)。

 これは、私個人としても常々感じていること。シナリオ地震動による構造物の振動予測に相対性理論

 は必要ないが、ニュートン力学は必須の知識だ。人工衛星などの設計や軌道予測にだって相対性理論

 は必要なかろう。

■「ヤング率」で有名なトーマス・ヤングは、エジプト学者としても一流で、ヒエログリフ解読を前進させた。

 また、医学部学生の頃、乱視の原因が角膜の湾曲が不規則になることだと診断した。さらに、光が波動

 現象であることを示す実験を行ったこともある(p.98-99)。

 これも、仕事でよく使う「ヤング率」のヤングさんに関わることで、非常に印象的だった記述。

 ヤングさんて、力学屋さんだけじゃなかったんだ・・・。

■“数値解析”についての記述(p.178-179)。解くことのできない方程式の近似解を得ること。

 この部分も、私が日常的に仕事で行っていることを端的に述べてくれている箇所。



引き続き ↓↓こちら↓↓ も読書中。こっちはもう少し判り易そう。。。かな?

理性の限界――不可能性・不確定性・不完全性 (講談社現代新書)/講談社