『生物学的文明論』
この著者の20年前の大傑作 『ゾウの時間ネズミの時間』 に比べると説教じみた文調が所々あるのが気に入らない。が、それも著者の加齢によるもの、年長者としての義務感の発露なのだと思えば目をつぶれる。
私のようなヒネタ性根の者でないかぎり、著者の説明を素直に聞き受ければ良い。内容にはそれだけの価値がある。
特に若い人が読むといいのではなかろうか。中高生の夏休みの宿題・課題として、この本から何が読み取れるのかをレポートにしてみてもイイ。本書に書かれている生物のボディー・サイズと寿命(時間)とエネルギー量の関係を数式化、グラフ化して見せるだけでも立派なレポートになろう。
中年以上の読者には、世の中を眺める際に別の指標があることを読み取れるかもしれない。
↓↓ 構成はこんな感じ ↓↓
はじめに
第一章 サンゴ礁とリサイクル
第二章 サンゴ礁と共生
第三章 生物多様性と生態系
第四章 生物と水の関係
第五章 生物の形と意味
第六章 生物のデザインと技術
第七章 生物のサイズとエネルギー
第八章 生物の時間と絶対時間
第九章 「時間環境」という環境問題
第十章 ヒトの寿命と人間の寿命
第十一章 ナマコの教訓
おわりに
↓ ポピュラー・サイエンスの傑作本の一つ
ゾウの時間 ネズミの時間―サイズの生物学 (中公新書)/本川 達雄