『ハヤカワ ミステリ マガジン No.653』 | 本だけ読んで暮らせたら

『ハヤカワ ミステリ マガジン No.653』


ミステリマガジン 2010年 07月号 [雑誌]


「特集 マイクル・コナリー・パーク」 に釣られて購入。


マイクル・コナリー・著/古沢嘉通・訳の短篇が5編。


■ 『父の日』 

 炎天下の駐車内に15か月の赤ん坊を置き忘れて死亡させた事故に対するボッシュの違和感。

 事情聴取の場面を描いた地味な状況設定。ボッシュと相手との会話、ボッシュの思考過程が描かれている

 だけなのだが、それが実に面白い。 ボッシュの勘が事情聴取に結実する!

 短篇にも関わらず、結末に余韻まであるスゲー作品だ。


 『エコー・パーク』の後の長篇 『 The OVERLOOK 』 から登場するボッシュの相棒イグナシオ・フェラスが

 先に短篇で日本初御披露目。


■ 『捜査の切り口』

 33年前。パトロール警官になって2日目のボッシュが出くわした女性の死体。

 状況は殺人だったが、事件は解決されることはなかった。

 現在。ボッシュが選び出した当時の事件調書には「掌紋」が証拠としてファイルされていた。

 33年前からは格段に進歩した現在の科学捜査データベースに照らし合わせた結果から判明する新事実。

 その新事実を携えて、ボッシュはかつての指導パートナーであり、現在は地方警察の署長をしている男の元

 を訪ねる・・・・・。

 因果応報。。。


■ 『ちかみち』

 児童向けホラー。 つまらん。 が、コナリーもこういうの描くんだ、って云う紹介?


■ 『真夜中を過ぎて』

 真夜中の町を走る男の姿を目撃した少年。 男はシャツとシャツに包まれた拳銃を生垣に隠した。

 それを取り出した少年は、自分の車のグラブ・コンパートメントに入れた。

 その直後、強盗事件を捜査中の警察官に止められた少年は目撃した男の人相風体を告げる・・・。


 巧い。ウマ過ぎる。 結末は判っているのに・・・。 過程が、プロットがイイんだ! さすが物語職人。


■ 『マルホランド・ドライブ』

 マルホランド・ドライブ・・・、コナリー作品には良く出てくる地名。

 ロサンジェルス北方の山岳を走るワインディング・ロード。そこで、車がガードレール突き破って落下した。

 事故現場にやってきた交通事故鑑定人の因果応報の物語。 出来過ぎの結末。


“当たり”は 3/5。 6割。 さすがコナリー。 高確率。



この特集には、コナリの描いた短篇作品の他に、コナリーのエッセイが1篇とその他2編も収録されている。


■ 『ヒエロニムス・ボッシュ』  マイクル・コナリー/三角和代・訳

 コナリーが語るボッシュ。


■ 『夜より暗き闇をゆく最後のコヨーテ  マイクル・コナリー賛歌』  郷原宏


■ 『マイクル・コナリー長篇全解題』

 今までに翻訳された全長篇の要約紹介



コナリー・ファン必見。