【司法試験】平成27年司法試験短答式試験分析(刑法) | 司法試験ブログ・予備試験ブログ|工藤北斗の業務日誌

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資格試験予備校アガルートアカデミーで司法試験・予備試験の講師をしている工藤北斗のブログです。司法試験・予備試験・法科大学院入試に関する情報を発信しています。時々弁理士試験・行政書士試験についても書いています。

総合講義(総合講義100総合講義300)や短答知識完成講座Ⅰの受講を検討している方向けに,この2つの講座のテキストの知識で,平成27年司法試験短答式試験の問題がどの程度解けたのか,検討してみました。受講の際の参考にしてみてください。去年も同じような分析をしていましたが,それをより精緻化したものです。

まずは,刑法からいきます。長くなるので,2つの記事に分割します。
民法・憲法も順次アップします。

【凡例】
◯→テキスト記載の知識だけで,確実に正解できる問題
△→テキスト記載の知識だけで正解できるが,確実であるとはいえない問題
×→テキスト記載の知識だけでは,正解することが難しい問題

総合=総合講義テキスト
短完=短答知識完成講座Ⅰテキスト

第1問 ◯
全ての記述が正誤判定可能。
ア 総合16 イ 総合15 ウ 総合17 エ 総合173 オ 総合17

第2問 ◯
記述1・3・5が判別可能。消去法で解答可能。
1 総合155 3 総合155 5 総合154

第3問 ◯ 
全ての記述が正誤判定可能
アイ 総合27 ウ 総合22 エ 総合25 オ 総合22

第4問 ◯
記述1以外の正誤判定可能。
2 総合217 3 総合133 4 短完70 5 総合217

第5問 ◯
記述2以外は,各構成要件の内容を把握しているだけで解答可能。4は,最決昭40.3.9【百選Ⅰ62】からも推論可能。
1 短完54 3 総合173・187 4 総合91 5 総合173
なお,4の選択肢について,辰巳の解説では,「判例は,通常の住居等への侵入窃盗の場合,住居等に侵入しただけでは窃盗罪の着手は認められず,遅くとも財物の物色行為のあった時点で着手が認められるとしている(最判昭23.4.17)」としているところ(平成27年司法試験短答詳解単年版238頁~239頁),「遅くとも」の理解にもよるが,本問への適用という意味においてやや正確さを欠く。(裁)判例では,土蔵等金品が置かれていることが確実な建造物への侵入窃盗については,侵入を試みる行為自体に実行の着手が認められてきている(名古屋高判昭25.11.14等)。土蔵等に侵入すればすぐに財物を窃取できるからである。
本問では,「通常の住居等への侵入窃盗」だから実行の着手が認められないのではなく(例えば,侵入当時X方に誰もおらず,玄関の脇にある下駄箱上に現金入りの封筒が置いてある場合には,侵入行為だけで実行の着手が認められる可能性がある),「金庫に多額の現金が入れて」あり,侵入行為だけですぐに財物を窃取できるわけではないから,実行の着手が認められないとするのが正しい。

第6問 ◯
全ての記述が正誤判定可能
1 総合139 2 総合102 3 総合34 4 総合139 5 総合75

第7問 ◯
①~③までは問題なく埋められる。この時点で,解答は1か4に絞られる。あとは,⑥⑦⑧のいずれかが判別できれば正解に至る(④⑤は1・4共通だから,検討する価値なし)ところ,殺人未遂罪説に関する,罪刑法定主義の観点から問題があるという批判に対する反論が入る⑧が判別しやすいだろう。若干の論理的思考力が問われているが,「確実に正解できる」に分類した。
総合62

第8問 ◯
記述ア・エ・オが正誤判定可能。
ア 短完49 エオ 総合150

第9問 ◯
記述2・3・5が正誤判定可能。なお,判例は故意の対象をいわゆる「類概念」をもって足りるとする立場には立っていないと考えられるので,注意(最判昭24.2.22参照)。
2 総合82 3 総合84 5 総合35

第10問 ◯
簡単な穴埋め問題。