『民事訴訟法概説』(川嶋四郎)
☆新司向き度→2/5
☆予備向き度→2/5
☆法科向き度→3/5
民事訴訟法の概説書。なお,川嶋先生による本格的体系書だと思われる『民事訴訟法』は4月中旬に発売予定。
図表や二色刷りといったビジュアル的工夫はなされているものの,「木を見て森を見て山を見る学修」と(帯コメントより)大風呂敷を広げている割に内容的な充実度はイマイチ。
特に,論争点と題された論点の解説が学説に偏りすぎるきらいがある。(時として不十分な)判例の紹介と学説の対立が示された後,学説をもって妥当とする「論争点」が相当数見られる。
「概説」ならば,学説の紹介は最低限に留め,まずは判例の論理をしっかりと解説してほしい(判例百選の番号が付されているので,詳細は判例集に譲るということなのだろうが,それにしても判例ではなく学説の立場をもって妥当とするのはいかがなものか)。
現時点では,教科書の類としては,『基礎からわかる民事訴訟法』をオススメしたい。
なお,『LEGAL QUEST 民事訴訟法』は別途書評にします。