『事例演習刑事訴訟法』(古江)のはしがき「設問を解く前に」を何気なく読んでいたところ、そこでは、賛同できる記述がたくさんありました。
①「解釈あるところに理由あり」
→なぜ、そのように解釈するのか、説得力ある理由付けが必要。「私は○○と解する」だけではダメ。
②「制度趣旨」は規範ではない
→「制度趣旨に当てはまるから、○○となる」という論法は成り立たない
③最高裁判例の法解釈や判断枠組みによる場合には、理由付けを書かなければならない
→理由付けのない法解釈は最高裁だから許されたもの
④求められるのは「論点集中型」
→問題の事実関係ではおよそ問題とならない点について、逐一書く必要は無い
※「論証パターン」を丸暗記して、覚えた一般論を書き写すのは問題がある
⑤事実の「評価」が必要
→事実の「評価」は要件・規範と事実とを結びつける「仲人」のようなもの
※ただし、要件該当性が明白な場合は「評価」は不要
どれもこれも、至極妥当な指摘ばかりです。
なお、④に関連して「論証パターン」の問題点が指摘されていますが、私もそのような意味における「論証パターン」でれば、当然有害無益であると思います。
私の言うところの「論証」「論証パターン」とは、①にある「説得力ある理由付け」です。
古江先生もご指摘の通り、法律の論文答案を書くに当たっては「理由付け」が不可欠ですが、該法解釈を採用する、「説得力ある」「理由付け」を試験時間内に思いつくのは、そう簡単な作業ではありません。そこで、事前に「説得力ある理由付け」を覚えておき、答案で表現できるようにしておこう、そういった意味における「論証パターン」です。
その意味では、古江先生がおっしゃっているところと大差ありません。